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三島由紀夫論2.0

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#江藤淳

ある死をめぐる考察 静子が殺されたことは明らかにおかしいのだ

ある死をめぐる考察 静子が殺されたことは明らかにおかしいのだ

 吉田和明の『太宰治はミステリアス』(社会評論社、2008年)は太宰治を聖化しようとする太宰ファンたちの神話を突き崩そうという試みであり、少なくともこれにより太宰の死に顔は微笑んでいたという神話は明らかに突き崩されているように思える。しかし太宰ファンではない、ただの太宰信奉者ではない、単なる浅はかな太宰作品の愛読者であるこの私にとって、太宰の死体がぶよぶよであったことなどはどうでもいい。ここから始

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「イカは皮つきでは刺身にならない」(江藤淳) イデオロギーは引きはがせるか

「イカは皮つきでは刺身にならない」(江藤淳) イデオロギーは引きはがせるか

 「イカは皮つきでは刺身にならない」と江藤淳は語るが、げそは皮をむかない。果たして文学作品からイデオロギーをむくことなど可能なのだろうか。

 これも実にありふれた今ではどこにでも転がっている三島観だ。石原慎太郎、野坂昭如他、三島由紀夫に近しい作家たちからこの程度のことが言われていたのは事実。しかし細かい点を指摘すれば、三島は『鏡子の家』で挫折したわけではなく、新境地として思い切ってぼんやりとした

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