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失敗と成功と自分とチーム①

高校三年生の1年間は人生で最も濃かった1年間だったといっても過言ではない。

日々の学校生活に部活動と持てるもの全て、いやそれ以上を両方に投入した本当に濃密な時間だった(男子校だったので恋愛は割愛)。

日本一になる、つまり高校アメリカンフットボールで言うと、アイシールド21で有名になった「クリスマスボウルで勝つ」という目標を、同じ目標を持つ仲間と愚直に目指すという一年。恐らく仲間に聞くと「あの日々には戻りたくないけど、あの日々があって本当に良かった」と口を揃えて言うほどに辛いけどかけがえのない一年だったと思う。加えて、附属校だったため大学受験がなく、世の中の高校三年生よりは勉強に割く時間が少なくて済んだのも良かったと思う(今それで苦労している面もあるけどそれは置いておいて)。


よく「成功体験は人を成長させる」、「失敗で人は成長できる」というような言葉を聞くが、それ自体は正しいとは思うけれど本質的には如何に「自分で考え抜いたか」が成長できるかどうかだと思っている。失敗や成功はあくまで結果に過ぎず、それに至るまでどのように目標を定め、現状を棚卸ろし、目標とのギャップを認識してそれを埋める行動を考えて実行していくかと言うことが一番大事であり、この過程が省略されコーチや周囲の仲間にただ言われたことをただやっているだけでは、努力を積み重ねるメンタルと実行力は鍛えられるが、真に自分で成長していく力は養われない。つまり、周りが積極的に関与して助けてくれる部活動などの組織下では一定の成果を出せるが、ひとたびそう言った組織を離れると何をすれば良いんだろう状態になる可能性を含んでいる。


この観点からも、高校3年間はある意味でラッキーな一年だった。前年まで長くチームを率いていて、前年には遂にクリスマスボウルまで導いた監督が本場アメリカに1年間留学することが決まり、もちろんコーチの方々はいたが、フルタイムで練習を見てくれる方がいなくなり、実質練習の企画、運営、実行は学生に任せられることになった。

正直、最初は絶望した。何で留学に行くんだ、何でよりによって自分の高校生活の集大成のこの一年なんだ、こんなんじゃ勝てるわけがない、と色々な負の感情が自分の中を逡巡し続け、まるで暗闇で迷子になったように何も前が見えずに苦しんでいた。


とは言いながらも時間は過ぎてチームは始動していき、僕は副将兼オフェンスリーダーというチームの中核を担う役職に就いた。

ここから全てが変わった。


つづく。


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