しの、すこし話をさせてね。 彼女は口を開かない 俺はさ… 君が好きだ。 好きだよ。しの。 今…君に伝えることが愚かだと思ってくれていいんだけど、あのね。 君が好きだったんだ。 君が死にたいと思うことも、君が逃げたいと思うことも、もう止めないし、慰めないよ。 でももう君を離さない、君を見捨てない。 君が嫌いな全部を俺も嫌いでいてあげる。 だから、小さな独白を、俺の話を少し聞いてくれないかな。 あれはまだ俺が幼くて、稚拙で、幼稚で、愚かで、愚鈍で、まるで頼りない、小
彼は記憶の混濁を起こしています、毎朝起きるたびに別の記憶を話していて、いまいち話にとっかかりが見えませんし、彼の話はとても整合性がなくって… それでも、少しずつわかってきました しかし…彼の話の中に出てくる荒金みゅうという人物は彼女、篠崎さんの旧姓で、彼は知らないはずなのです。彼の話はどこまでが本物の記憶で何処からがおかしくなってしまった記憶なのでしょうか… おかしくなった、だなんて本人の前で言わないでくださいね後藤さん。 もちろん、私は彼を救いたい、勝手なことかもしれんが。
雨音が滴る、何者にもなれなかった自分が何かになろうと思えたその日、君はまだ笑ってくれていた、日に日に目を合わせなくなって、幼い苛立ちを君にぶつけて君を避けてた、君の眼に映っていない気がした、自分が嫌だったから。 君のための偽善が、君にだけ認められなかったから、何故かは知らないし、考えたりもしてない。 だから今君が何してるのかとか全然知らないけど、 なんで一人でこんなところにいるんだよ。 なんで一人でこんなところでずぶ濡れになって泣いてんだよ！！！！ 中学一年梅雨、ジメジメ
君…誰…？？ え〜？？？ 俺はねぇ〜優佳だよ〜女の子みたいな名前でしょ？俺は〜保健室で居眠りしてたらね隣で暴れ出した君を見て、びっくり‼️ついつい話しかけちゃったんだよね〜 あぁ、そっか…って…いま、授業中じゃないの？？ ん〜？俺は寝ててもいいんだって？ なるほど？ 名前は…なんで？ 先生がねぇ〜呼んでたんだけど、長いからしろくんって呼ぶことにした〜。ねぇねぇ君はさ〜、好きなものとかある〜？ 好きなもの…か…あんまりそう言うの考えたことないな…自分が…好きって思ったら…
篠崎さん、篠崎さん！ はい！！なんですか！先生！！ 明日転入生がくるのよ、だから学級委員の篠崎さんが案内してあげてくれない？ え！！？転入生ですか！！男の子？ えぇ、宮崎県って遠いところからくるのよ。 え〜！！？？？ こんにちは！！しろつちくん！！！ えっ…と…こんにちは… 私ね！！！！学級委員の篠崎みゅうっていいます！！ あぁ…よろしく… 先生が案内してって言ってたから！お迎えにきたの！！！！ そっか…多分先生もお家まで来いとは言ってないと思うけどな… でもね！！私が1番
じゃじゃーーん！！！！基也が作った！天文部だよ！ …はぁ…？そちらの男の人が基也さん？ いや！それはがく！ そうか…それはどうも…初めまして… え？初めまして… 天文に興味があってこの部活に来られたんですか？ いや…愛永さんに連れてこられて…人が足りないそうで… 人が足りない？あ〜そうかそうか… いや〜！！！しろくん！！私はしろくんと楽しい楽しい部活動をですねぇ！！ それで俺が好きな天文にしたわけね そう！しろくんと一緒に楽しい時間を！！ いや、部活絶対の学校で部活入るのだる
春、風で膨らんだカーテンに、淡い桜の匂いがこびりつき、期待の声や不安の声が、鳥や虫の鳴き声にかき消され、花の芽吹きに心を躍らせ、空の蒼さに打ちひしがれる。 小さな小さな手のひら、握り返せなかったその手を、まだ思い出す。 目を閉じるたびに声が聞こえる お前が死ねばよかったんだ、この人殺し また、同じ夢を見て、同じようにベッドで目が覚める。 1992年春、僕は隣の大分県へと引っ越し、しばらくの間カウンセリングを受けていたママは泣いていた、父は失望していた、姉は怒っていた、僕
宮崎県延岡市 神楽坂、7丁目、交差点前。 蝉の声がうるさく聞こえる。心地よい香り。手に残る、温かい感触。 ずっとこのまま、いたいと思った。入れると思った。想って、いた。 目の前で人形のように弾け飛ぶ、自分と同じくらいの背丈の子。 心地の良かったはずの香りが、酷く汚い鉄の匂いに変わる。 温もりは熱いくらいに変わり僕の手からだんだんと体温を奪っていく。 あぁ、本当に…本当に。 どうしてあの時僕も死んでおかなかったんだろう。 これはまだ僕が幼少期、まだ宮崎県延岡市に住んでい
池川堊 紅華中学1年、生徒会執行部庶務 周囲からの評判良し、成績平均程度。 交友関係は広く浅いといった印象 年齢の割に礼儀がしっかりした子で溌剌とした印象 幼少期宮崎県延岡市にて、交通事故に巻き込まれPTSDの症状あり、延岡市内の精神科病棟入院後緩和、軽度の発達障害（文字のバランスが崩れる程度）と、PTSDの症状に付随した軽度の精神的な課題点あり。
皆さんにお知らせがあります、1年6組の篠崎みゅうさんが先日から行方不明になっているそうです、何か心当たりのある生徒は、職員室か、担任の先… って、今日学校で話があったんだ、しの、これからどうしようか。 しろくんが、したいようにして…いいよ？迷惑は…かけられない…し そんなこと！！！…あぁ、ごめんね、大きい声出しちゃって… 肩を振るわせた彼女を見て暗いものが込み上げる どうしてあの時、あの日、俺は止められなかったんだろう。 お腹…空いたでしょ？ご飯買ってきたよ、あんまり
池川さん？意識が戻ってるなら、お返事してください？池川さん？？ あの…しの…篠崎みゅうさんは、どうなりましたか？ …今は、あなたの話をしてるのよ、池川さん。 心中すると、来世でもまた会えるらしいんです、僕は来世でも、彼女のそばにいられないんですかね。 …私達は医療班で、貴方は患者、貴方が目を覚ましてから刑事さんと話したっきり、また寝たきりになっていたの、だからね？私たちにも何もわからない、貴方がどうして、こんなことをしたのか、教えてもらえるかしら？ 話す必要が…あるんです
池川堊（いけかわしろつち）19歳 紅華大学文学部心理学科2年、精神科病院への入院経験あり。被害者とは小学生から高校までの同級生。 君はどうして心中なんてしたのかな？堊くん、学校での評価も家族の評価もとても高い、君がそんなことをする人間だと信じられないという人がほとんどだ、どうしてこうなってしまったのか、私に教えてはくれないかな？ しののことが…篠崎さんが好きでした。愛していました、僕は彼女に死んでほしくありませんでした。 僕は救えなかったんです。 また、殺しました。
他の国から見る日没が違うように、今足元に広がる夜景も、日本で見るものとは違って不思議な魅力がある。 こんな形で海外に来るなんて思わなかったね。 …… 怖いの？ ううん、ありがとね、最後まで付き合ってくれて、ずっと友達でいてくれて… 友達…友達か… 最後まで、愚かな自分に嫌気がさす、ただそばに入れるだけで良い、そう思ってた、彼女が幸せになるなら、俺に止める資格なんて… しろくんは…さ、後悔してない？ …なにが？ いや、最後まで私がわがままに付き合わせて、寂しいからって
