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【物流戦略優良企業紹介】ZARAの革新的な戦略に迫る!

お金って、手元にあったら嬉しいですか?

こんばんは。

今日は他企業紹介をしていこうと思います。今日の注目企業はアパレル業界のZARAの物流における取り組みをご紹介していきます。

在庫型のビジネスモデルにおける、「利益率」の改善をしたい方にはお勧めかもしれませんね。

ファッション業界大手ZARA 本社はスペイン

早速ファストファッションの最大手、ZARAを見てみましょう。

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ZARAといえば、スタイリッシュなファッションで知られているかと思います。本社はスペインにあります。1975年に最初の店舗が創業されました。

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アパレル業界ではフォーエバー21が破綻に追い込まれるなど決して追い風ではない中で生存し続けているZARA。ZARAの強みとしては、

●ZARAは売り切り御免型
●ZARAは欧州の自家工場で計画生産
●ZARAは最速二週間から一ヶ月で商品をつくることができる
●ZARAは48時間以内にFedExで世界中の店舗に商品を送ることができる
●ZARA店舗はストックを持っておらず、店頭にある商品が全てである

などが挙げられています。中でも、「48時間で世界中に商品を送れる」は他業界を含めても異例の早さです。ここにZARAの強みがあります。

輸送手段は費用高の「空輸」

ZARAではそもそも鮮度の高い商品を提供することが経営戦略になっています。同社では、これを実現するために、物流センターをスペインに配置、スペインおよび近郊国で生産してスペインに納品し、そこから航空便を使って全世界の店舗に納品するという物流ネットワークを組み上げています。

この航空輸送、通常の海上輸送が数日〜数ヶ月のリードタイムなのに比べて4日〜7日程度で輸送することができます。

その代わりに航空品では費用が跳ね上がります。これは一例ですが、とある会社ではワイン100ケースをアメリカから日本へ搬送する際に比較をすると、海上輸送の¥23,500に対して航空輸送はその約73倍の173万円かかるそうです。

速いが高い、というのが一般的な航空便に対しての評価であり、物流においてはコスト高と捉えます。これは物流業界でいうある意味の「ご法度」で、それなりの緊急時のみに使う、というのが定石でした。

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在庫回転率を上げるZARAだからこそ、実現可能なビジネスモデル 

zaraの販売形態を業界内他企業と比較をすると

●商品の回転数が早い
 →ZARAはコンペティターの3-4倍の在庫回転率で店頭在庫以外の在庫は各種外部倉庫等には置かないため外部倉庫賃金などは基本かからない
●アイテム数は年間11,000sku
 →コンペティターは年間2,000 - 4,000skuなので、値引きなしで基本的には販売、滞留品は約10%(コンペティターは17-20%) 
●ZARAは値引きなし通常価格で85%売ること
 →コンペティターは60%なので、値引きなしで基本的には販売、滞留品は約10%(コンペティターは17-20%)

この在庫回転率で運転することにより、航空便での費用高を取りながら最短のリードタイムで商品を展開することができるため、売れ残りなどの資産整理損を削減することができます。減らすことで会社全体として不必要なお金をモノに変えない、という決断をとっています。

SDGsのような環境配慮をするという点においても、要らないものを作らない選択をしているZARAは素晴らしいですね。

ZARAは売り上げ[sales]向上、というよりは利益[revenue]最大化を行うことを目指していると言えるでしょう。

こう言った経営を行なっている結果、Forbesが選ぶ世界で最も価値のある企業で46位にランクインしています。

スペインでは売り切れ御免のビジネスモデルを消費者も感覚的に理解しているせいか、ZARAの年間来店訪問回数は他社に比べて約5倍強とのこと。

このビジネスモデルを実現するのはZARAのショートタームの製造スパンによるモノであり、さらにはcubeと呼ばれる倉庫へ各サプライヤーなどが地下鉄でつながっているため素材供給等も迅速に行うことが可能となります。

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ZARAは素材自体4種類のみを購入するそうで、この時点で商品の売れ行きの違いによる素材余り/欠品のような偏在が起こりづらいんです。

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製品の50%をヨーロッパ・スペインで行っており、陸路続きであることが地下鉄による素材供給等を実現します。基本的には自社製造なので外部倉庫費用やOEM費用などはあまりないとのこと。

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製造された商品はスペインのサラゴサにあるハブ拠点を経由してヨーロッパ各地へ展開されていきます。このサラゴサにあるハブ拠点から陸路と空路が使われています。

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会社としてキャッシュを持つことの大切さ

ZARA中には、こんな言葉があるそうです。

Buy low, sell high, Buy on credit, sell on cash

現金主義であり、利益主義である姿勢が伺えます。在庫方のビジネスにおいては機会損失を恐れるあまり在庫過多の傾向が非常に多く、なかなか利益率が上がらない、という声はよく聞きます。

そんな中在庫型ビジネスにおいてはZARAの姿勢は非常に学べるものが多いかもしれませんね。

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私的には、 Short Lead Time = More fashionableという言葉がすごく心に刺さりました。笑

コロナウイルスのような有事の際にも現金があることが次の一手を生むことできます。

今回はZARAのケースを紹介しました。物流における優良企業についてはまたフォーカスしていきたいと思います。

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