急上昇ワードでよく聞く【デジタルツイン】って何!? 今更聞けない人向けに解説
流行の言葉に惑わされず、しっかりと咀嚼して受け答えできることがビジネスにおける相手への信頼になります。
先日紹介した、ソフトバンク基調講演における「スマボ」などのような流行する言葉を常にキャッチアップしていくことが大切です。
今回はその中でも巷でよく聞く「デジタルツイン」について解説していきます。
デジタルツインは、現実世界を仮想空間で作る
デジタルツインとは、
「リアル(物理)空間にある情報をIoTなどで集め、送信されたデータを元にサイバー(仮想)空間でリアル空間を再現する技術」
言葉にするとややこしいのですが、端的にいうと現実世界を仮想空間上に作り出し、その中で未来をシミュレーションすることです。
近年、なぜこんなに「デジタルツイン」という言葉が出回っているかというと、技術の革新だけではなく国や都道府県などの行政が発信を進めているからです。
その一つに、東京都の「スマート東京実施戦略」が挙げられます。
この戦略では、「いつ」「誰でも」「どこでも」「何でも」繋がる東京を構築する、というのが目指している方向性です。
中でも「何があっても」というのがコロナウイルスのような感染症や東日本大震災などで分断された繋がりというものを構築する、という意思を感じますね。
メリットは未来がわかること
デジタルツインを推進するメリットとして、
●工場などの設備保全、事前トラブル予知
●現場工程改善
●カスタマーサービスの向上
が挙げられます。
<●工場などの設備保全、事前トラブル予知>
今回のデジタルツインの恩恵を受ける筆頭が製造業になります。とりわけ向上の「設備保全」に対する期待は高いと言われています。
従来は今までは工場内で設備トラブルが起きた後、製造部門からのレポートや顧客からのフィードバックをもとに検証をして設計を見直していく必要があったが、工場内部に取り付けられたセンサがデジタルツインに連携することで、リアルタイムにデータを収集・分析し、エラーや故障の原因を切り分けることが可能となります。
また、リアルタイムに収集されたデータを活用できるデジタルツインでは、素早く原因を特定し、試作を行い、改善することができるようになりました。事後対応だけでなく、事前に予知ができるようになるのも大きなメリットですね。
<●現場工程改善>
デジタルツインは製造体制を最適化し、最適な管理を実現することで、製造のリードタイムを短縮することに可能となります。リアルタイムで人員の稼働状況や負荷のデータを収集・分析することで、最適なスケジュールで最適な人員を配置して製造プロセスを最適化し、リードタイムを短縮します。
さらには人員配置をどのようにするか、や人数自体をどうするかなどの運営自体もシミュレートが可能なため、現場の勘などに頼ることなく必要条件を事前に見積もることが可能となります。
また、人員数が最適になった結果、コスト最適化も可能となる。これまでは「やってみないとわからない」からデジタルツインでは「試算できるから安心して当日運営ができる」となるわけです。
<●カスタマーサービスの向上>
顧客に対するきめ細やかなアフターサービスも可能となります。顧客の対応を一つ一つデジタル化して事前行動と事後行動に傾向が見れた時には、事後行動の前に先手を打つことが可能となる。
支える技術 AI IoT VR
これらのデジタルツインを支える技術に入っていきましょう。
①AI
日本語で「人工知能」と訳されるAIは、ビックデータのような膨大なデータを効率的に分析することに長けています。
従来のコンピュータとAIとの違いは、状況に応じて人間と同じような判断と対応を適切に行うことができます。従来のコンピュータは事前のプログラムで「値が1以上ならばAの行動」、「0ならばBの行動」、「それ以外ならばCの行動」というように、事前に設定されたプログラム通りの動作しか実行できません。つまり人間が事前に想定できる以外のことはしないのが大きな違いになります。AIのあるコンピュータは自ら考え、学習をしていきます。
デジタルツインにおいては、仮想空間で再現された物理空間の高精度な学習をした上での分析が、再現性のある事象であればAIで実現ができる。デジタルツインの実現には欠かせない技術でしょう。
AIの具体的な技術については下記を参照いただけたらと思います。
② IoT
従来インターネットに接続されていなかった様々なモノ(センサー機器、駆動装置(アクチュエーター)、住宅・建物、車、家電製品、電子機器など)が、ネットワークを通じてサーバーやクラウドサービスに接続され、相互に情報交換をする仕組みです。「モノのインターネット」という意味で使われています。
IoTであらゆるモノのデータを収集することさえできれば、デジタルツインの実現に向けた第一歩になります。
最近ではGoogle Homeなど消費者の行動をデータ化しようと企業もIoTデバイスを導入している。
③VR
VRとは、「Virtual Reality」の略で、「人工現実」や「仮想現実」と呼ばれる技術で、現実世界に仮想空間を描画することによって、「今ない空間」を表現することができます。
仮想空間を現実世界のように見せることができるVRもデジタルツインには欠かせない技術です。デジタルツインは、物理空間を再現した仮想空間の中でさまざまな将来を予測することから、仮想空間で起きた不具合やエラーを視覚化することで、物理空間へのよりリアルなフィードバックが得られます。
デジタルツインに適応できるビジネスマンがより重宝される
デジタルツインの台頭により、現実世界と仮想空間を交錯させることによって今ある状況の未来を予知予測できるようになりました。
今後はより「勘」や「経験」から「ファクトで未来を語る」時代になるかと思います。
こういった技術に飲まれずに、うまく適応してより良い未来を作っていける人材になれると、社会にとっても個人にとっても素晴らしい未来が得られそうですね。
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