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どんなときもWiFiの無制限プランが破綻|ICTと社会

「どんなときもWiFi」を提供する株式会社グッドラックは、10月31日をもって無制限プランの提供を終了すると発表した。

確か去年の年末くらいに、ゴールデンタイムのテレビで大々的にCMをやっているのを見たが、MVNO(仮想オペレータ)としてMNO(設備を持つ通信キャリア)から卸しを受けて提供しているはずなのに、月額3,480円で無制限使い放題とはいったいどういう仕組みなのか、全く理解できなかった。会社でも雑談の中で話すと、誰もが首をひねっていた。

例えばほとんど使わないライトユーザと、たくさん使うヘビーユーザとが混在していて、平均すれば定額無制限にしても採算がとれる仕組み、とかいうなら分かる。だがこういったサービスに群がるのは、超ヘビーユーザばかりのはず。成り立つ訳がない。

・・・と思っていたらサービス終了。2月頃からトラフィック輻輳によるトラブルが発生し、総務省から行政指導も出ていたらしい。

こんなことになるのは当たり前であり、意図的な詐欺行為と言っても過言ではないのではないか。

通信ビジネスは儲かると思うためか、過去にも確たる事業的裏付けがないために途中で立ち行かなくなった事業者がある。例えば、電力系PHS事業アステルを買収しながら、そのサービス運用に行き詰まり破綻した「YOZAN(鷹山)」

2008年に破綻しているが、YOZANが設置したPHSやWi-Fiの基地局設備は撤去もできないままのものが残っており、場所を貸したオーナーさんたちを今も悩ませている

また格安IP電話を謳い、「中継サーバ」の設置費を投資する多くの出資者を集めたものの、全くの詐欺だった「近未來通信」

当時、全国紙に全面広告をたびたび載せており、私も知り合いから「どうなんですかね?」と相談された。「あれは怪しいですよ」と忠告したが。

社長は今も海外逃亡中らしい。

私たち通信のプロから見れば、「あれ、なぜこんなことができるんだろう、おかしいな?」と思うが、素人さんはついついうまい話、未来を予感させるような言葉の魔力に騙されてしまうのかもしれない。

通信事業はビジネスモデルやアイデアだけでは絶対にうまくいかない。技術力や財務的裏付けが必ず必要である。楽天モバイル(MNO)が赤字だといって大騒ぎしている人がいるが、設備産業である以上、先行投資は避けられない。数年間は赤字が続くのが当たり前である。騒いでいる人は無知としか言いようがない。楽天は本業のEC事業の収益で、この赤字をカバーしていく事業計画を立てているのである。それだけの赤字を出してでも、モバイル通信事業を軌道に乗せるだけの財務的基盤がなければ、そもそも通信事業へ参入する資格はないのだ。

まあ、どんなときもWiFiは、ビジネスモデル自体が破綻しているという、問題外だが。

騙されれば出資者やユーザも不幸である。

どうすれば騙されないか。この「ICTと社会」マガジンを読んで、勉強していただきたい!(笑)

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