イランとアラブ|気になる中東
アラブは、アラビア語を話すアラブ民族。イランはペルシャ民族でペルシャ語なので、全く違う。アラビア語とペルシャ語の字体は日本人から見るとどちらも同じように見えるが、全く異なる言語だ(同じアルファベットを使っていても、英語とフランス語が全く異なるのと同じ)。
アラブ諸国にはアラブ連盟という国際組織があり、かつてはパレスチナ問題を中心に対イスラエルという旗頭で団結していたが、最近はその団結もほぼ崩壊している。以前のアラブの盟主と言えば、エジプトとシリア。この2国は「アラブ連合共和国」を名乗っていたこともある。しかしエジプトは「アラブの春」によるムバラク政権崩壊後に大きく混迷。シリアもここ10年に渡る内戦で多くの難民を生む事態となり、かつての威信は地に落ちた。
代わって中心となった新・アラブの盟主はサウジアラビアだ。
現在のイランとアラブ諸国をめぐる関係を図示してみた。
青い箱が主要なアラブ諸国だが、このようにバラバラの状態となってしまっている。この中で、ムハンマド・サルマン皇太子による権力掌握が進むサウジアラビアとイランとの対立関係が、目下の大きなポイントだ。
かつてのことを思えば、サウジが米国とここまであからさまに緊密な関係を築いていることには隔世の感がある。
逆に言えばこの相関性も、決して固定的ではなく、中東では状況によって敵になったり、味方になったり、今後も移り変わっていくだろう。
このように図示してみると、今後の中東安定化の鍵を握るのはトルコかもしれない。背後に見え隠れする米ロのいずれとも一定の関係性があり、イスラム教徒が人口の99%を占める国でありながら世俗主義を貫く。イランの核開発にも一定の理解がある。したたかな政治家、エルドアン大統領の動きにも注目したい。
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