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発泡性ワイン/シャンパーニュ【WSET Lv.3/JSAソムリエ・ワインエキスパート1次試験対策】


自分のWSET Lv.3受験は終わりましたが、頭の整理も兼ねて記事にしていきます。
この記事の写真は、全てフランスシャンパーニュを旅した時のものです。

シャンパーニュ製法=
伝統的方式(Traditional Method)

これは上質の発泡性ワインで最もよく使われる方法で、費用と時間がかかりますが高値で売れるものになりやすい製法です。

それでは、シャンパーニュの醸造方法を確認していきます。



1.収穫(英:Harvest 仏:Vendange)

シャンパーニュ地方では破れていないブドウを房の状態で収穫することが義務付けられています。
なぜなら果皮の色を出さずにそっと絞るため。
機械で収穫すると、粒の状態でしか収穫できないため認められません。
したがって、事実上手摘みでの収穫に限られます。

美しいアイ村のブドウ畑
(リシャール・フリニョー オーナーが畑をガイドしてくれました)


2.圧搾(英:Pressing 仏:Pressurage)

収穫の済んだブドウは直ちに圧搾場に運ばれ、搾汁されます。

3.果汁清澄(英:Settling 仏:Debourbage)

圧搾により得た果汁をタンクに入れ、12〜24時間静置し、果汁に含まれていた不純物を沈殿させます。


4.アルコール発酵
(英:Alcohol Fermentaion 仏:Fermentation Malolactique)

清澄の済んだ果汁を別の容器に(ステンレスタンクや木樽など)に移し、一次発酵=アルコール発酵が行われます。
完全に辛口で、風味に特徴はなく、高い酸味をもつワインが出来上がります。

ステンレスタンク(ランソン社での様子)
木樽(こちらもランソンにて)


5.マロラクティック発酵(MLF)
(英:Malolactic Fermantation 仏:Fermentation Malolactique)

アルコール発酵後、オプションとして行います。新鮮味を残すため、これを避ける生産者もいます。
ゴッセ(Gosset)という生産者はMLFを行わない生産者の代名詞とされています。リンゴ酸のピュアな味わいを大切にしている生産者です。


6.調合(英:Blending 仏:Assemblage)


品種やクリュの異なるワインを組み合わせます。
ノンヴィンテージの場合はリザーヴワインも加え、品質の安定化とスタイルの一貫性を図ります。多くの生産者はノン・イヴィンテージの商品では特にハウススタイルの発泡性ワインを作ることを目指します。
収穫年ごとに天候や品質変動があったとしても、毎年このハウス・スタイルを維持する助けとなるからです。


7.瓶詰め(英:Bottling 仏:Tirage)


調合の済んだワインに”リキュール・ド・ティラージュ”を加えて瓶詰めします。このリキュールはワインに糖と酵母、酵母の栄養分、清澄剤を混ぜたものです。


8.瓶内二次発酵(英:Second Fermentation in Bottle 

仏:Deuxieme Fermentation en Bouteille)


リキュール・ド・ティラージュにより瓶の中で再び発酵が起こり、炭酸ガスが発生します。この工程でアルコール度数はおよそ1.2〜1.3%上昇します。
酵母によって生成された炭酸ガスがワインに溶け込んで、気泡を作ります。
こうしてボトル内には5〜6気圧に相当する圧力が生まれます。


9.瓶内熟成(英:Maturaion Lees  仏:Maturatioin sur lies)


二次発酵後のシャンパーニュは水平にして、暗く、涼しい熟成後に保管されます。熟成期間はノンヴィンテージで15ヶ月以上(そのうち澱と共に熟成させる期間は最低12ヶ月)、ヴィンテージで36ヶ月以上と定められています。
二次発酵で生じた澱がボトルの壁面に沈殿します。
酵母の自己分解(yeast autolysis)
アルコールの二次発酵が終了すると、酵母は死滅して澱となって瓶内に沈殿します。数ヶ月すると死んだ酵母細胞が分解し始めて、化合物をワインの中に放出する。このプロセスのことを酵母の自己分解といいます。
こうした酵母はパンやビスケット、トーストといった風味をワインに与えます。WSETではこの酵母の自己分解が講義中に強調されることが多かった印象です。


10.動瓶(英:Riddling 仏:Remuage)


熟成後、瓶内に残った澱を取り除くために行う。
ピュピトルと呼ばれる穴の空いた木の板にボトルをさして、毎日8分の1、もしくは4分の1ずつ左右に回転させながら水平状態に回転させながら、水平状態から徐々に傾斜をつけ、最終的に倒立させます。こうして澱を全て瓶口に集めます。


ピュピトル(ニコラ・フィアット社にて)

11.澱抜き(英:Disgorgement 仏:Degorgement)


動瓶によって瓶口に集めた澱を取り除くため、倒立状態のボトルの瓶口をマイナス27度の溶液に浸し、澱ごと凍らせます。
その後、王冠を抜栓すると、瓶内のガス圧により凍った澱の塊が飛び出す仕組み。


ピュピトルに入れられた瓶。
澱が瓶口に集まっているのがわかります。 
(ルイナール社にて)
垂直になった瓶。
こちらも澱がはっきりと見えます。
(同じくルイナール社にて)


12.糖分調整(英仏:Dosage)


最終的な甘味調整のため、リキュール・デクスペディシオンまたはリキュール・ド・ドザージュと呼ばれる液体を澱抜き後のシャンパーニュに添加します。この糖分は酸味とのバランスを取るために使用され、風味の発達を助長します。


13.打栓(英:Corking 仏:Bouchage)


澱抜きとリキュール添加の後、速やかにコルクを打ち込み、金属製の止め板と針金を組み合わせたミュズレで固定します。


WSETでは醸造工程を全て書き出せるように指導されましたが、それ以上に重要なこととして、発泡性ワイン用のブドウ栽培で必要なことは何か?が説明できるように強調されました。
テキストにも書いてありますが、必要なことと理由は下記の通りですね。

ブドウは理想的には非発泡性ワインに使われるものに比べて糖度が比較的低くなければならない。
なぜならば、発泡性を得るためのアルコールの二次発酵において、ワインのアルコールが1.2〜1.3%上昇するから。
つまり醸造者は一般に10〜11%の辛口ベースワインの生産を目指す。


JSAの一次試験は今年もCBT形式なので、醸造工程を事細かく書く必要はありませんが、どういった順番でそれが行われるのかを頭の中で整理する必要がありそうですね。


マイィ村の黒ブドウ
(マイィシャンパーニュへ向かう道中にて)




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