見出し画像

世界に展開中!こしあん派にも朗報。発売50周年"あずきバー"を分析

 こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。

 先日、日本のテレビ番組「ガイアの夜明け」を観ていたところ、井村屋の「あずきバー」が2023年で発売50周年を迎え、商品リニューアルや国内外でのイベントや海外展開などについて取り上げられていました。
 前回「人気アイス( 氷菓)」について分析しましたが、私は氷菓の中では「あずきバー」が特にお気に入りなのですが、「あずきバー」はシリーズ累計販売、年間3億本も売れているそうです!
 今回は50周年を迎えた「あずきバー」について分析していきたいと思います!

 前回のアイス(氷菓)分析はこちらから↓


井村屋 あずきバー

あずきバーの歴史

 井村屋は1963年にアイス事業を始めましたが、和菓子屋として認知されており、アイス市場で苦戦していました。そんな時に初代社長の井村二郎氏が“うちにはあずきがあるやろ”と言ったことをきっかけに、「井村屋が得意とするぜんざいを凍らせて、アイスにできないか」との発想が生まれたそうです。
 「あずきアイス」市場は当時まだ確立されていませんでしたが、試行錯誤を重ねた商品開発を行い、あずきを均一に入れる技術だけでなく、北海道産のあずきを使ってあんこに加工することで味とコストの競争力を高めることに成功。そして1973年に「あずきバー」の発売を開始しました。
 その後も改良を続けながら、「あずきバー」は井村屋の代表的なロングセラー商品となりました。

Knowns Biz調べ:あずきバー購入者のデモグラ

 あずきバー購入者のデモグラ構成比をみると20代後半~50代前半が多く、アンケート回答者全体(グレーのグラフ)と比較​​すると30代後半以上の割合が多くなっています。
 他のブランドと比較すると性別は男性の方がやや多いです。

Knowns Biz調べ:あずきバーの7Journey

 7Journeyを見てみると認知率は高めですが、そのなかでやや好意的ではありますが最近購入していない​​巻き戻し層や潜在顧客層が高めです。

Knowns Biz調べ:あずきバー購入者の年代別比較

 年代別比較を見てみると40代以上の好感率が高く出てます。過去の購入率は20代前半から45%超えていますが現在購入率は低めです。巻き戻し層は20代・30代が多いのかもしれません。

Knowns Biz調べ:あずきバーのブランドイメージ

 ブランドイメージでは、「伝統・頑固さ」「家庭的・安堵感」「深み渋み・落ち着いた」が上位に来ており、前回の人気氷菓の分析とは違った結果に。井村屋は元々和菓子事業で展開した会社であり、あずきバーも発売から50年と歴史の長い商品であることが理由でしょうか。

どんな人が購入している?

Knowns Biz調べ:あずきバー購入者の個人価値観
Knowns Biz調べ:あずきバー購入者の社会価値観
Knowns Biz調べ:あずきバー購入者の消費価値観

 あずきバー購入者のサイコグラフィックを見てみると、個人価値観は“健康志向”“時間にシビア”“倹約家”な方が多いようです。
 社会価値観では環境や社会、家族や人との繋がりを大切にする方が多く出ていますが、一方で自分の経験や得た情報を元に行動をする"ゴーイングマイウェイ”も上位に来てバラエティ豊かなのは、幅広い年代に選ばれているからでしょうか。
 消費行動は“ノスタルジー消費”や社会的問題にも目を向けている“エシカル消費”の方が多かったです。
 歴史が長い商品そして購入者も30代後半以上が多いので、“ノスタルジー消費”が上位に来ているのは納得ですが、“エシカル消費”はなぜでしょうか。

エシカル消費に繋がる理由は?

 その背景としては、食への安全・安心の意識が高まる中「あずきバー」は「添加物を使用しない」「砂糖の種類や量を見直す」といった、時代や嗜好の変化に合わせて改良が行われ、安心して食べられるアイスとして半世紀にわたり愛されているからだと思います。
 今回のリニューアルでは原材料のコーンスターチをあずきパウダーに変更することで、使用原料を減らし、クリーンラベル化(食品パッケージの表示内容が明確でわかりやすいこと、またはその表示の仕方が簡潔であることを望むこと)したそう。またあずきパウダーを使用することで、更にあずきの風味を活かした商品になりました。


引用元:井村屋公式サイトより「あずきバーシリーズ」リニューアルのご案内

 また、購入者の比較的少ない子供や若い世代に向け食育的アプローチも行っているそうです。全国の保育園や幼稚園であずきバーを配布する食体験だけでなく、生豆の配布や莢(さや)からの収穫体験などを行っています。そういった活動も“エシカル消費”にも繋がっているのでしょう。

 あずきバーのラインナップは現在5種類あり、中でも有機砂糖と有機小豆を使った「オーガニックあずきバー」も販売しており、小さなお子様からお年寄りまで幅広い世代に食べてもらえる工夫をしているそうです。

引用元:井村屋公式サイトより「オーガニックあずきバー」
Knowns Biz調べ:あずきバー購入者の声

 あずきバーといえば、その硬さへのイメージが強い方も多いのではないでしょうか?消費者の声では“あずき本来の美味しさ”と“硬さ”に関するものが多数でした。硬さに関しては賛否両論ありましたが、ポジティブな意見が多かったです。
 その理由はあすきバーの硬さは使用原料のシンプルさにあります。添加物や乳原料不使用で空気含有量も少ないため、あのカチカチになるそうです。

「こしあんバー」数量限定発売

引用元:井村屋公式サイトより「こしあんバー」のご案内

 「あずきバー」の発売50周年を迎えたことを記念し、「こしあんバー」を2023年8月28日より全国の量販店・スーパー、井村屋ウェブショップにて数量限定で順次発売します。
 「生あん」の段階から自社で一貫製造、皮を極力取り除きなめらかに仕上げた自社製造の「生あん」に、自社原料「あずきパウダー」、砂糖の一部には氷砂糖を使用。そしてミネラル分の多い球く美みの塩、とこだわりの原料を使用し、すっきりとした上品な甘さとコクのバランスが特長だそうです。

つぶあん派VS.こしあん派

引用元:ウェザーニューズ社「あずきの日」アンケート

 今回の「こしあんバー」の限定発売に至ったのは和菓子を巡ってたびたび巻き起こる“つぶあん派”と“こしあん派”の論争でした。ウェザーニューズ社が実施したアンケート調査結果によると、“つぶあん派”が58%、“こしあん派”が37%、“あんこを食べない”が5%とされています。

 井村屋の代表商品「あずきバー」はあずきの風味と“粒感” を支持されながらも、その一方、“こしあん”タイプのバーアイスを求める声も毎年寄せられていたそう。

Knowns Biz調べ:あすきバー消費者こしあん派のコメント①
Knowns Biz調べ:あすきバー消費者こしあん派のコメント②

 Knowns Bizのあずきバー消費者の声にも“こしあんバージョンがあったら更にいい”というコメントが多かったです。
 今回の50周年を機に、井村屋が長年培ってきたあずきの加工技術を活かし、なめらかな“こしあん”の食感とあずきの繊細な風味を楽しめるという「こしあんバー」。
 数量限定発売ですが、好評であれば定番商品になるかもしれないですね!

Knowns Biz調べ:あずきバーのブランドスイッチ分析

 ブランドスイッチ分析を見てみると、現在「あずきバー」購入者が他に検討するアイスとして選ぶのが「森永チョコモナカジャンボ(アイスミルク)」や「森永ピノ(アイスクリーム)」でした。
 あずきバーが氷菓なので他の氷菓が互換になるのかと思いきや、意外に感じましたがブランドイメージや消費者の声をみて感じたのは、あずきバーは氷菓というジャンルではなく、あずきバーという確立されたジャンルなのかもしれません。

海外展開もしている「あずきバー」

引用元:井村屋公式サイト「マレーシアでのあすきバー販売のお知らせ」

 井村屋ではあずきを使った商品を通して、日本の食文化や和菓子の魅力を世界に発信しています。

 アメリカでは2010年からのあずき商品の製造販売を開始。冷凍大福餅や和風アイスクリームなど、あずきを中心とした商品を展開し、あずき文化を広めています。
 アメリカで近年問題になっている肥満が原因の生活習慣病にも効果があるので、あずきの健康食品としての側面も積極的にPRしているそうです。「あずきバー」は既に香港やシンガポールなどにも海外進出しています。

 2021年9月にはマレーシア国内のアイスクリーム市場進出に向け「IMURAYA AZUKI BAR」を発売。

 これまで各国に「あずきバー」を輸出してきましたが、現地での生産は初です。マレーシア人口の約60%を占めるムスリムの方々も安心して召し上がっていただけるようハラール認証を取得している原材料を使用しているそうです。
 今後日本国内から生産・輸出と、現地工場で製造販売の2パターンで、更に世界シェアを拡大していきそうですね!

7月1日は「あずきバーの日」

 あずきは古くより、縁起の良い食べ物、健康の源として毎月1日と15日に食されています。この良き風習を今の時代へ継承していくため、また皆さまの健康に寄与したいという思いからあずき製品を多く取り扱う井村屋グループが「毎月1日はあずきの日」として制定し、日本記念日協会より認定を受けました。
 そしてあずきをたっぷりと使用した「あずきバー」を食べて暑い夏を乗り切っていただきたいという思いから本格的な暑さを迎える7月1日を「井村屋あずきバーの日」として2007年に制定・認定を受けたそうです。

2023年の「あずきバーの日」のイベント

 今年2023年の「井村屋あずきバーの日」は、全国3会場(東京、大阪、名古屋)にて、無料で「あずきバー」を配布するサンプリングイベントを4年ぶりに開催したそうです。また発売50周年記念して今年は北は北海道・南は九州と「祝50周年 井村屋あずきバー」の文字花火の打ち上げと、コレド室町テラスにて「あずきバー」の夏祭りも開催。わなげ、スマートボール、ヨーヨーすくいの3つの屋台などの展開やノベルティのプレゼントなどもあったそうです。

引用元:井村屋(株)公式X より

 まだ続いている50周年キャンペーンもあるので、気になる方は公式サイトも見てみてくださいね。

まとめ

あずきバー購入者の特徴
・​​30代後半以上の年齢層、やや男性が多い
・健康志向・時間にシビアな人が多い
・ノスタルジー消費、エシカル消費

 現在はつぶあん派・こしあん派どちらの方も購入されている「あずきバー」ですが、「こしあんバー」が今後どのような反響があるのか楽しみですね。
 50周年を向け世界にもどんどん羽ばたいている「あずきバー」。世界中で「あすきバー」を目にするようになる日も近そうです!

筆者のひとこと

 子供の頃はそんなにあんこやあずきが好きではなかったのですが、大人になるにつれて好きになったものの1つです。つぶあん派かこしあん派と聞かれると悩ましいのですが、水羊羹などはこしあんが好きなので近日販売の「こしあんバー」、私の次の一時帰国まで販売してほしいと思いました。
 マレーシアは比較的に近く行きやすい国なので、「ハラル認定のあずきバー」もいつか試してみたいと思います!
 また余談ですが、今回の分析の中で“世界で一番硬い食品は鰹節で、二番目はあずきバー”と知りました(笑)。硬いのを齧るのも乙ですが、無理せずゆっくり食べましょう!

 この記事を読んで「面白かった!」「参考になった!」と思っていただけたら、スキを押していただけると嬉しいです。
 他にも色々なジャンルの記事がありますのでフォローもお待ちしてます!

Knowns Bizとは?

Knowns Bizは、「消費者のイマ」を知ることができる、消費者データを大量にストックしているデータプラットフォームサービスです。ブランドやアニメ、タレントなどのデータが揃っているのでデータ取得の手間なくすぐに使用することができ、デモグラや価値観の属性データと掛け合わせることで、あらゆる切り口で分析可能です。データサイエンスを扱いやすく、もっと身近にすることで、思いもよらないマーケティングの文脈を創出し、新しいマーケティングアイデアを生み出します。

詳細・お問い合わせは

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?