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深い顧客理解で勝つ「丸亀製麺」と「はなまるうどん」のターゲット戦略の違い

 こんにちは。knowns インターンのKakizaki Hanaです。

 早いもので今年も年の瀬ですね。皆さまにとってどんな1年でしたでしょうか?

 ところで、皆さんは”年明けうどん”をご存じですか?
”年明けうどん”は、2008年に香川県のさぬきうどん振興協議会が始めた取り組みで、元日から1月15日までに白いうどんに紅いトッピングを添えて食べることにより、その年の人々の幸せを願うものです。
紅いトッピングの具材は自由で、梅干しやにんじんやイクラ、紅いあん餅など様々です。うどんは、太くて長いことから、古来より長寿を祈る縁起物とされてきたそうです。

 今回は、さぬきうどんのチェーン店の「丸亀製麺」「はなまるうどん」を取り上げたいと思います。そば・うどんチェーン店の中で最も高い認知度の2大うどんチェーンでもあります。

そば・うどんチェーン店「認知度」×「満足度」マップ

そば・うどんチェーン店の利用者は?

 まず初めに、そば・うどんチェーン店全体をどのような人が利用しているのか見ていきたいと思います。

そば・うどんチェーン店のサイコグラフィックの特徴上位

 個人価値観の「倹約家」「コツコツ貯金タイプ」、社会価値観の「出世優先」「ワーカーホリック」と、そば・うどんチェーン店の利用者は、仕事を優先し、なるべく手軽に食事を済ませたい人が多そうなことがわかります。

丸亀製麺・はなまるうどんの利用者

 次に、「丸亀製麺」「はなまるうどん」を利用している人の特徴を分析していきたいと思います。まずは、消費者のブランドイメージを両ブランドで比較してみます。

現在購買者のブランドイメージ比較分析

 やはり両ブランドともに、そば・うどんチェーン店利用者が求める「コスパ・経済性」「利便・合理性」のイメージが非常に高く、利用者の期待を満たしています。

現在購買者のデモグラ比較(左:丸亀製麺、右:はなまるうどん)

 性別、婚姻有無、子供有無には目立った違いはなく、年代の構成比にやや違いがあります。どちらもともに35-39歳を中心に人気を集めており、丸亀製麺は、働き世代を中心に幅広い世代に支持されており、「はなまるうどん」は、45-49歳の支持者層も獲得し、働き世代がやや厚めの構成比になっています。
 居住地からは、どちらも関東の支持が厚いことがわかります。
同じ関東を中心に人気を博している「丸亀製麺」と「はなまるうどん」のターゲット層の違いを立地の面からより深堀したいと思います。

関東の都県別店舗数 各公式サイトより集計 2022年12月現在

 実際の店舗数と照合すると、それぞれの4分の1以上が関東にあることがわかります。

東京23区の店舗数ヒートマップ 各公式サイトより集計し独自に作成 2022年12月現在
(左:丸亀製麺、右:はなまるうどん)

 特に店舗数の多い東京で、店舗数上位のヒートマップを作りました。
両者ともに千代田区を中心に店舗数が多く、それ以外は異なる区への出店が目立ちます。
千代田区以外を比較すると、「丸亀製麺」は、都心から少し離れた住宅街が多い地域に店舗が多く、おもにファミリー層を狙った出店戦略とわかります。「はなまるうどん」は、都心でオフィス街に多く展開しており、オフィスワーカーを主なターゲットとしているようです。

 ターゲットユーザーがわかったので、顧客とどのようなコミュニケーションを取り、どのように思われているのかをみていきたいと思います。

≪Knowns Bizについて簡単にご紹介≫

ファミリー層を中心にファンを拡大する「丸亀製麺」

 親会社 (株)トリドールホールディングスの経営理念「食の感動で、この星を満たせ。」に基づいて、「丸亀製麺」は、毎日、各店舗で小麦粉からうどんを打っています。
子どもの健康を気遣う親心に刺さりそうですし、何より打ち立ての美味しいうどんが、本場讃岐に行かなくても、手軽に食べられる感動体験に勝るものはないでしょう。
 その他、ファミリー向けに工夫している点として、注文の際うどん1杯につき1枚もらえるクーポン「うどん札」サービスがあります。※おにぎりや親子丼だけ注文した場合はもらえません。
うどん札は、10枚で対象のうどん(並)と交換できたり、3枚で無料トッピングできたりと、家族で行くとすぐにたまるサービスです。また、「釜揚げ家族うどん」という6人前の家族セットがあり、人数が多ければ多いほどお得にもなっています。

「丸亀製麵」公式サイトより


 さらに、「うどんで日本を元気にプロジェクト」というTOKIO(ザ!鉄腕!DASH!!のDASH村のイメージで親しまれている)との共創プロジェクトによって、より食材への拘りとファミリー層へのアピールができています。2022/11/29(火)から放送されているTVCM「唯一無二!俺たちの豚汁うどん」篇のイメージが強いと思いますが、それだけでなく子ども向けの食育プログラムやキッチンカーで食を支える生産者へ笑顔とうどんを届けるプロジェクトなども行われています。

「丸亀製麺」現在利用者のサイコグラフィック
特徴度:そば・うどんチェーン店利用者内での比較

 「丸亀製麺」の現在利用者は、そば・うどんチェーン店利用者に対し、「エシカル消費」が1番に高くなっています。エシカル消費とは、社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うことです。子供の未来をふくめ、社会課題に対し熱心な顧客を施策に比例して獲得できていることがわかります。

「丸亀製麵」のGoogle検索数順位と顧客の声

 Google検索では、「店舗」のほか「テイクアウト」「持ち帰り」がランクインしており、店舗以外でいわゆる中食の利用客も多いのがわかります。消費者の声でも、子連れで行きやすく、麺のコシがあるという口コミが多々見受けられます。

オフィスワーカーをターゲットとする「はなまるうどん」

 立地と合わせ、サービスやメニューで「はなまるうどん」がオフィスワーカー向けに工夫している点としては、「うどんチケット」という回数券があり財布を持ち歩かずに済むこと、カレーライス(小)やミニ塩豚丼などうどんと組み合わせて食べられるメニューや鶏千唐揚げ定食など定食(ご飯大盛り無料)も充実していることが挙げられます。
これは、親会社(株)吉野家ホールディングス「うまい、やすい、はやい 」という経営理念に基づいた価値観をチェーンメリットを生かした大量仕入れによるコストダウン、吉野家系統であることを生かせるはなまるうどんだからこそできる工夫です。

「はなまるうどん」公式サイトより 
「はなまるうどん」のGoogle検索数順位と顧客の声

 Google検索分析では、セット売りはランクインしておらず、消費者の声でもうどん+αで利用しているという口コミは少なかったので、よりセットを強く売り出すことではなまるうどん派を増やせるように思います。

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まとめ

 「丸亀製麺」は、店舗ごとに小麦粉から作られている麺で、素材にこだわりたい子育て世代の心を掴んでおり、TOKIOとの共創プロジェクトで、今後より多くのファミリー層の獲得が期待されます。
 「はなまるうどん」は、うどんだけでなく様々なご飯を早く安く食べたいという層の胃袋を掴んでいますが、このセット売りはまだあまり知られていないため、ファン層の獲得に伸びしろがありそうです。

Knowns Bizとは?

 Knowns Bizは、「消費者のイマ」を知ることができる、消費者データを大量にストックしているデータプラットフォームサービスです。ブランドやアニメ、タレントなどのデータが揃っているのでデータ取得の手間なくすぐに使用することができ、デモグラや価値観の属性データと掛け合わせることで、あらゆる切り口で分析可能です。データサイエンスを扱いやすく、もっと身近にすることで、思いもよらないマーケティングの文脈を創出し、新しいマーケティングアイデアを生み出します。
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