不二家コラボ?ペコちゃんコラボ?次々と発表されて気になる戦略に注目
こんにちは、ノウンズライターのSです。
不二家といえば長年愛されるカントリーマアムやホームパイが有名ですが、最近はちょっと攻めたネーミングの「チョコまみれ」という商品が好きで筆者はよく食べています。「チョコまみれ」は売上も好調のようです。
そんな不二家ですが、不二家×他企業ブランドのコラボだけにとどまらず、自社企業キャラクターであるペコちゃんが不二家の広報番長を飛び出して他企業ブランドの広報活動も行っています。
今回はそんな不二家&ペコちゃんのコラボ戦略について分析したいと思います。
こんなブランドもある?分析してみてほしいなど
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不二家とは
不二家は1910年創業のケーキなど洋菓子を中心に菓子類の製造販売を主とする老舗の食品メーカーです。町のケーキ屋さんとして洋菓子店も運営しつつ、「ミルキー」や「カントリーマアム」「ホームパイ」といったロングセラー商品の製造・販売も行っています。
不二家の認知率は93.9%と大変高く、好感率も良好です。
具体的に不二家を好きだと思っている人で分析すると、特に女性・40代からの支持が高いようです。
菓子の製造・販売だけでなく、2020年より日本将棋連盟と共に叡王戦の主催も担っておりプロの棋士達が対局の合間に食べるおやつの提供、といったような幅広い活動を行っています。
不二家の企業イメージやブランド認知度向上に寄与するために作られているのが企業キャラクターの「ペコちゃん」です。
消費者のイメージとしてもケーキや美味しいというイメージと同じくらいペコちゃんのイメージが強いようです。
ペコちゃんとは
知っているよ!という方も多いと思いますが、ペコちゃんは不二家の企業キャラクターであり1950年生まれの6歳の女の子です。
1990年代後半にはペコちゃんが世界の伝統衣装を着た小さな玩具が付いたお菓子が発売され大ブームとなりました。筆者もスーパーにいくと買ってもらっていた記憶があります。
通常企業キャラクターというと、所属する企業の広報としてブランドの認知度や好感度をあげるために活動します。しかしペコちゃんはこの74年の間、様々な活動を通してペコちゃん自身がブランドとしての地位を築き上げ、今や1人で展示会も開催できるほどのキャラクターとなっています。
ペコちゃんに好感を持っている人のデモグラをみると、不二家同様に女性からの支持のほうが大きいことが分かります。
さらに年齢別にペコちゃんの認知・好感・誘引についてみてみました。
年齢問わず幅広く認知されている事が分かります。特に60代は93.9%とかなり高い認知度です。若年になるにつれて認知度が下がっているので「当たり前に」ペコちゃんを知っているという世代ではなくなっているのかもしれません。
好感度についても60代はかなり高い結果となっています。60代が全体を押し上げているので20〜40代の好感度が低いように見えますが、それでも50%弱と高い好感度を示しています。
10代は認知度が低いにも関わらず好感度が高い点が特徴です。10代からすれば今流行りの「平成レトロ」のカテゴリーとしてレトロで可愛い!エモい!キャラクターなのかもしれません。
ペコちゃんが気になる!という人はペコちゃんに対して
愛らしい
かわいい
親しみ
定番・伝統
明るい
といったポジティブで歴史のある正統派なイメージを持っているようです。
企業キャラクターにおけるペコちゃん
Knowns Bizには2024年6月現在、55種類の企業キャラクターが登録されています。
その中でも誘引率×認知率で見てみると
キョロちゃん(森永製菓)
ペコちゃん(不二家)
コアラのマーチくん(ロッテ)
ガチャピン(フジテレビ)
カールおじさん(明治)
ポンタ(ロイヤリティマーケティング)
クー(日本コカ・コーラ)
お父さん犬(ソフトバンク)
たべっ子どうぶつ(ギンビス)
が上位にランクインしました。
ペコちゃんは誘引率ではキョロちゃんに少し及ばずですが、認知率は1位でありペコちゃんが広く認知され・愛されているという結果を示しています。
≪Knowns Bizについて簡単にご紹介≫
不二家とペコちゃんの代表ブランド・ミルキー
ペコちゃんは不二家の企業キャラクターとして不二家商品の様々なプロモーションを行なっていますが、その中でも不二家といえば、ペコちゃんといえば、で思い浮かぶのは「ミルキー」ではないでしょうか。
ミルキーは1951年に発売し、ペコちゃんが初めてプロモーションに使用された不二家のロングセラー商品です。「ミルキーはママの味」というキャッチフレーズも音付きで脳内再生されるぐらい聞き慣れたものです。
競合ブランドと比較しても、ソフトキャンディ市場において高い認知率と積極的ロイヤル層の多さが分かります。
具体的にミルキーを認知している人を見てみると、男性より女性の方が少し多いようです。
また、年齢でみると40代以降が高めで若年になるにつれて認知度が低い事が分かります。
若年層の認知度が低い事から、ミルキーの課題がどこにあるかを検討するために、年代別のファネルを見てみました。
10〜20代は認知度は低いですが、認知後の購入率が38.8%と30代以降の26.7%と比較するとかなり高い割合となっています。若年層の認知率を改善する事でミルキーの売上に貢献できそうです。
しかしミルキーは30代以降には劣るとはいえ、10〜20代でも認知率76%、現在購入29%と広く愛されている商品である事が分かります。
幅広く認知され購入されているのは、ミルキーの新しいブランディングの成果なのかもしれません。
2022年よりミルキーのブランドキャラクターとして上白石萌音さんが就任しています。
上白石萌音さんを起用し「世の中、いやされすぎて、ちょうどいい」や「わたしのままでいい」というキャッチフレーズでPR活動を行うことで、従来の30〜40代の女性に加え10〜20代の男女にアプローチしたい意向が見えます。
起用の効果が出たのか、10〜20代を対象に2022年3月頃と2024年3月頃の積極的ロイヤルを比較すると大きく伸びている事が分かります。
今までのお母さんのような包み込む優しさに加えて、「世の中、いやされすぎて、ちょうどいい」や「わたしのままでいい」つまり、「癒されたい」「認めてほしい」という10〜20代の気持ちに寄りそう新しいブランディングが受け入れられている結果と言えそうです。
また、Y2Kや平成レトロといったトレンドやミルキーの淡い色合いなど、ペコちゃんやミルキーのビジュアル部分も若年層の支持に繋がっていそうです。
通常長く愛されているロングセラー製品ほど若年層には弱い傾向にありますが、ミルキーはペコちゃん宣伝隊長時代を経て、若年層をターゲットとしたブランディングが成功を収めているようです。
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不二家のコラボ
ここまで不二家・ペコちゃんについてそれぞれ調べてみました。ここから本題の不二家&ペコちゃんのコラボ戦略について分析していきたいと思います。
不二家のコラボとは不二家と他企業ブランドとのコラボ
ペコちゃんのコラボとはペコちゃんと他企業とのコラボ
として以下分析してみます
不二家のコラボについては2023年に実施されたファイナルファンタジーと現在進行形でコラボ中のONE PIECEについて分析したいと思います!
ONE PIECE(アニメ)
一昨年、歌手のAdoとコラボした映画が大ヒットした事で目にした方も多いのではないでしょうか。1997年に少年ジャンプで連載がスタートした、海賊王を夢見る少年モンキー・D・ルフィを主人公とする海洋冒険ロマン漫画です。
ワンピース(アニメ)は10〜30代の男性がとても気になる作品のようです。
ペコちゃん起用の不二家を代表するブランド「ミルキー」では従来の30〜40代の女性に加え、10〜20代の男女にアプローチを進めている点について先述しましたが、ワンピース(アニメ)を支持しているのはミルキーがアプローチしたい層に当てはまりそうです。
ではワンピース(アニメ)の主人公であるモンキー・D・ルフィのイメージはどうでしょうか。
正義感がある
元気がある
頼りになる
といった背中を押してくれるようなイメージに加え、ジャンル平均と比べると
明るい
楽しい
といったポジティブなイメージを持たれています。
ペコちゃんの持っている
かわいい
愛らしい
親しみがもてる
といった精神的距離が近く優しいイメージに、モンキー・D・ルフィのポジティブなイメージを合わせることでミルキーが目指す「癒されたい」「認めてほしい」という若年層の気持ちに寄りそうというミッションにプラスαの効果を与えているのかもしれません。
不二家×ONE PIECEのコラボによって、不二家にとってはミルキーを始めとするロングセラー商品を若年層へ、ONE PIECEにとっては不二家の支持層である40代以降の世代へ、アプローチできるお互いの不得手を補うチャンスとなっているのでしょうか。
ファイナルファンタジー(ゲームソフト)
ファイナルファンタジー(以下FFと表記)はスクウェア・エニックス(旧スクウェア)によって開発され1987年の発売以降、シリーズ作品としてリリースされている日本で生まれたRPGゲームです。
認知度、購入意向、購入において30代・40代が中心となっています。また、性別で見てみると認知度は男女ともに高い結果となっていますが、購入意向・現在購入となると男性が中心となっていることがわかります。
現在購入層としては男性かつ30〜40代となっており、ワンピース(アニメ)と同じく男性中心の支持層ではありますが年齢層は少し高いようです。
今回のコラボをきっかけに不二家・ペコちゃんの支持層である30〜40代女性と同世代で、FF支持層である30〜40代男性に向けて不二家・ペコちゃんをアプローチする機会創出なのかもしれません。
FFのイメージについても見てみました。
期待感・ワクワク
かっこいい
カリスマ性がある
というような日常に煌めきを感じさせてくれるようなイメージは、背中を押すような効果があるのかもしれません。ONE PIECE同様に憧れや期待感と言ったポジティブなイメージは自己肯定感を高める演出ができそうです。
FFの支持層は30〜40代中心とはいえ、購入意向は10〜20代も低くはありません。ミルキーの「誰かに認めてほしいという10〜20代の気持ちに寄り添う」というブランディングに、FFも+αの効果を期待しているのかもしれません。
不二家×FFコラボは凄まじい人気でFFキャラがペコちゃんタッチでプリントされたミルキー缶は即日完売、後日再販となりました。
実際に消費者のイメージ変化について時系列で見てみると、2023年10月のコラボ開始後チャンス層が増え、きっかけ待ち(認知はしているが、購入意向はない)が減っている事が分かります。
積極的ロイヤルについても右肩上がりです。
ペコちゃんのコラボ
ペコちゃんについては2023年にコラボしたシュウウエムラと既に4回目となる星野リゾートとのコラボについて分析してみます。
シュウウエムラ
シュウウエムラといえば1967年に誕生した世界に誇る日本発のメイクアップ アーティストブランドです。全国の百貨店を中心に展開しており、クレンジングオイルがとても人気です。
最近は横浜流星さんがブランドアンバサダーを務め、男性向けのアプローチも進んでいるようですがやはり現在購入層は圧倒的に女性が中心となっているようです。
20代〜50代まで幅広く認知されており、特に20代からの支持が強いようです。
ペコちゃん×シュウウエムラは「少女のように無邪気に気持ちを解放」や「遊び心」といったキーワードでミルキーコラボ同様に自分自身を好きになるようなメッセージを感じます。
自己肯定感を高めるメッセージは若年層へ響きそうですが、ペコちゃんという懐かしい・愛着のあるキャラクターとコラボをする事で、シュウウエムラの購入意向はあるけど購入に至っていない人が多い30〜50代の購入を後押しできそうです。
また、ペコちゃんにとってもこれからも支持を増やしたい若年層への露出アップとなり、ペコちゃんの認知度が上がることで結果として不二家の購買層の幅を広げることに繋がるのではないでしょうか。
星野リゾート(ホテル)
星野リゾートは1914年に軽井沢にて創業した老舗の日本企業です。
ラグジュアリーホテル「星のや」を始めとした、数々のブランドを展開しており海外進出も行なっています。
星野リゾートはどちらかというと少しお高めなイメージですが、今回ペコちゃんとコラボしたのは2019年に開業した「BEB(ベブ)」という「ルーズに過ごすホテル」をテーマにしたカジュアルブランドです。
「29歳エコひいきプラン」という3名まで1室平日15,000円で宿泊できるプランもあり、若者をターゲットとしている事が分かります。
ホテル市場の中で、すでに認知度や好感度はとても高い結果となっています。
また、年齢別で見ても幅広く好感が持たれていることが分かります。
星野リゾートにはいくつかのブランドがあり、価格帯も様々ですが「高級」「憧れ」「高い」「ラクジュアリー」等、費用がかかるイメージがあるようです。
ペコちゃんとのコラボを通して、星野リゾートは単価の高い「星のや」や「界」ではなくカジュアルに利用できる「BEB(ベブ)」の認知度アップを図っているのかもしれません。
さらに特別プランの施策を通じて認知だけではなく利用を促し、若年層の好感や支持の獲得を図っているのではないでしょうか。ペコちゃんの好感度は10〜20代で50%近くありますが、年齢が上がるともっと高まります。ペコちゃんとのコラボは若年層だけでなく、幅広い層に利用のきっかけになりそうです。
2021年から始まったコラボも2024年で4回目のようなので好評であったことが伺えます。
こちらもシュウウエムラ同様にペコちゃん人気が結果として不二家の認知度アップに繋がりそうです。
Knowns Bizを使った資料を見てみたい方へ
まとめ
今回は不二家と不二家の企業キャラクターであるペコちゃんにフォーカスし、コラボ施策について分析しました。
企業キャラクターとしては珍しくペコちゃんは不二家を飛び出して様々な企業から引っ張りだこでコラボしています。また不二家としてもFFやONE PIECEといった作品とのコラボを通して新しいファン層の獲得に繋げているようです。
不二家とアニメやゲームのコラボが、2次的効果としてペコちゃんの幅広い人気へと繋がっており、その結果ペコちゃんが様々な企業とのコラボに引っ張りだことなり、それぞれが良い循環をし、不二家ブランドを支えているのではないでしょうか。
どんどん新しいタッグを進めていく不二家・ペコちゃんからこれからも目が離せません。
≪本記事は新しいバージョンのダッシュボードを利用しております≫
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