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マックvsモス 勝ち組バーガーチェーンが選んだ真逆のポジショニング戦略

こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。

先日日本へ一時帰国をしたとき、最終日のフライト直前で運命的な出会いがありました。
11月30日。その日の朝便でベトナムへ戻る予定だったのですが、搭乗の20分前に冬の風物詩・マクドナルドの"グラコロ"がちょうど発売初日だということを知りました。
「これは食べるしかない!」と時間のない中、店舗へ駆け込み、無事購入。急いで食べたことで少しやけどしてしまいましたが、"グラコロ"を食べることができ、今回の日本滞在はかなり満足のいく締めくくりとなりました。

そんなハンバーガー好きな私ですが、前回の記事で「モスバーガー」に触れたこともあり、今回はハンバーガーチェーンについて比較分析をしてみようと思います。

圧倒的二大巨頭「マクドナルド」「モスバーガー」

まず記事を書くにあたって「Knowns Biz」で“ハンバーガー”と検索をかけてみました。

 ハンバーガーチェーンの認知度×満足度

マクドナルドとモスバーガーの満足度・認知度が他のハンバーガーチェーンと比べて圧倒的に高いです。

ハンバーガーチェーンのブランドランキング

またハンバーガーチェーンのブランドランキング(現在購入率)においてもマクドナルドに次ぐのはモスバーガーです。

ハンバーガーチェーン転換率

ハンバーガーチェーン転換率で見ても、認知率及び購買意向率、転換率共に上位を占めています。
筆者自身、もしこの2店舗が並んでいたらどちらも選び難い安定のハンバーガーチェーン二大巨頭…今回はこの2つの人気店、マクドナルドとモスバーガーを分析してみたいと思います。

コスパのマクドナルド、健康志向のモスバーガー

マクドナルドの7Journey
モスバーガーの7Journey
マクドナルドとモスバーガーのイメージ比較

「マクドナルド」の認知は非常に高く、97.7%です。現在購入している「顧客」も72%、購入経験がない・1年以上購入していない人(チャンス+巻き戻し)は18.8%と低く、先に触れたブランドランキングでの上位となる理由が伺えます。

上記イメージや消費者のコメントでも「安くて提供が早く美味しい」「思い立ったらすぐ行ける」などコスパの良さや利便性、親近感に関する意見が多いです。

ポジショニング分析(絆・親近感/利便・合理性)

ポジショニング分析においても「マクドナルド」は親近感と利便・合理性では圧倒的上位に君臨しています。

ポジショニング分析(自然・無加工/安心・安全)


一方「モスバーガー」も認知は高く97.3%、現在購入している「顧客」も40.7%います。購入意向があるにもかかわらずこの1年買っていない「巻き戻し」層が40%近く、購入経験がない・1年以上購入していない人(チャンス+巻き戻し)は45.2%と「マクドナルド」よりも高めです。

「モスバーガー」のブランドイメージは「上品・ラグジュアリー感」や「クール・ワイルド」「ナチュラル・天然」などが「マクドナルド」よりも高めです。
安心・安全・自然などのブランドイメージが他のバーガーチェーンより高いのもポイントです。

また”認知あり”からの”購入意向あり”への転換率をみると「マクドナルド」は91.8%「モスバーガー」は87.4%と両者とも高く、どちらも認知者にとっては魅力があるハンバーガー店となっています。

しかし「モスバーガー」に関しては現在購入率が過去購入率を下回っており、最近購入していない消費者のコメントを見ると「美味しいし、安心食材だけど単価が高い」「近所に店舗がない」「提供までの時間が長い」などの意見が見られました。

では、それぞれの顧客(現在の購入者)にどんな特徴があるのか見ていきたいと思います。

幅広い年代から支持される「マクドナルド」、ミドル世代の「モスバーガー」

マクドナルド現在購買者のデモグラ(回答者構成対比)
モスバーガー現在購買者のデモグラ(回答者構成対比)

「マクドナルド」の現在の購入者は、年代では、20代後半〜50代前半の構成比が高く出ていますが、その他の年代でも97%以上と割合は比較的高めです。
低価格なだけでなく、ハッピーセットやドライブスルー、モバイルオーダーなどの幅広い客層やシーンに合わせた商品ラインナップや提供方法にも力を入れており、子供連れの方や学生にも利用しやすい印象です。

「モスバーガー」は30代~50代が購入者層の中心となっています。
価格がマクドナルドより割高な分、生野菜は全て国産、そしてつくり置きをせず注文を受けてからつくるアフターオーダー方式にこだわっており、学生〜新社会人の購買は少ないですが働き盛りのミドル世代の消費者が多く見受けられます。

どんな人に選ばれている?

では、どのような人が「マクドナルド」や「モスバーガー」の消費者になっているのか、個人価値・社会価値・消費価値の3つの項目をそれぞれ見てみます。

マクドナルド消費者の分析

マクドナルド購入経験者の個人価値観
マクドナルド購入経験者の社会価値観
マクドナルド購入経験者の消費価値観

「マクドナルド」の購入経験のある方は必要以上に他人の目を気にしてしまうガラスメンタルでありながら、時間にルーズで快楽思考的な面もあり、衝動買いや夜更かしなどを自分にとってよくないと思いながらもやめられないタイプと読み取れます。

その一方で社会的側面では外に出るよりも自分のテリトリー内にいることを好み家族を大事にすることを重きに置いています。消費についてはコスパ重視であまり冒険をしない傾向にあります。

これを踏まえると、マクドナルドの購入経験者は、時間に追われているために提供時間が短い「ファストフード」を好む、倹約家で家庭的な人物像が浮かびます。

マクドナルド購入者のコメント①
マクドナルド購入者コメント②

購入者のコメントではやはり①コスパがいい②商品の提供スピードが早いという意見が多いです。
その”ジャンキーさ”を楽しむために購入するという方や季節商品の多さや子供向けメニューに含まれるおもちゃの種類の豊富さに対する満足の声が見受けられました。

一方、“サムライマック”シリーズでは単価が少し高い分、つなぎが入っていないジューシーな100%肉厚ビーフを使用しているなど、少しお金を出してでも味を追求したい層へのメニュー開発も行っています。

また商品に対するコメントだけではなく、“CMが面白い”という声もありました。マクドナルドの広告では人気芸能人やキャラクターを起用したものが多く、その結果幅広い世代に向けてスピード感をもってアピールできているのだと感じました。

モスバーガー消費者の分析

モスバーガー購入経験者の個人価値観
モスバーガー購入経験者の社会価値観
モスバーガー購入経験者の消費価値観

「モスバーガー」の購入経験がある方の個人価値観は柔軟な思考を持ちつつも自己愛強めで、マクドナルド同様、必要以上に他人の目を気にしてしまうガラスメンタルが特徴です。

社会価値観においては社会問題にも当事者意識を持っていたり、家族を大事にする、周りの空気を乱すような人を嫌う生真面目さが目立ちます。
消費価値観は限定ものに弱く、直感でいいと感じたものを購入する傾向にあるようです。

モスバーガー購入者のコメント①
モスバーガー購入者のコメント②

購入者のコメントでは他社と比べて割高な部分に触れつつも①安心・安全②注文してから出来たてを食べられるという意見が多かったです。

またヴィーガンやアレルギーにまで対応をしていることに関しても評価が高く、契約農家から仕入れている野菜が豊富に入っていることもヘルシーで身体にいいイメージを持っている購入者が多いです。

その他、フランチャイズ店を大きく展開することにより、地域密着商品の開発や日本ならではの“ライスバーガー”やバンズをレタスに置き換えたバーガー“菜摘(なつみ)”の火付け役にもなっており、マクドナルドとは違った独自の路線を突き進んでいます。

さらに自社で食育プログラムを行うなど、企業自身の活動が消費者の社会価値観にマッチしていることがわかります。

まとめ

コスパや手軽さで選ばれる「マクドナルド」。
全国的にも店舗数が多く、約2900店舗(2022年4月統計)となっており、立地も駅前、商業施設内、空港内などあらゆる人の集まる場所に出店されています。

私自身、日本滞在中に「マクドナルド」を目にしない日はなかったです。
その手頃な価格・提供の早さ・入手のしやすさで、幅広い年代から選ばれています。

一方、食材の品質や安全性で選ばれる「モスバーガー」。
マクドナルドに次いで全国2位の店舗数ですが、約1300店舗(2022年4月統計)と、マクドナルドの半数以下の店舗数となっています。
しかし今後は住宅街出店だけでなく、一等地への出店も視野に入れているとのことです。

食材の新鮮さ、安心・安全性、時間とお金をかけて食べられることに対してのプレミアム感やマクドナルドの手軽さとの差別化に成功し、根強いファンが多いモスバーガー。
今後一等地に出店した場合どうなるのか注目していきたいですね。

また2022年でモスバーガーは創業50周年を迎えます。
記念キャラクターの誕生や成増の1号店の愛称変更・記念商品の販売、東武鉄道や有名プロレスラーとのコラボ、モスファンに向けてのトリビア書籍販売やオンラインショップの開設など、地域だけでなくより人々の生活に密着したブランド確立に様々な形で注力されています。

こちらも見逃せません。

互いに正反対の強みを活かし、それぞれのポジショニングに成功している「マクドナルド」と「モスバーガー」。

さまざまなバーガーチェーンがある中でも地位を確立できているのは顧客がもつイメージの差別化が鍵になっているのではないでしょうか。

私自身どちらも大好きで、現在どちらも住んでいる街にない身としては選べないですけどね・・!

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