「速い思考」をコントロールし、「思考のクセ」をアップグレードしよう。

「思考のクセ」を意識したことはありますか?

人間の脳は、生まれてから今に至るまで、膨大な量の選択を繰り返してきました。

その選択の多くは無意識に行われているもので、それぞれの「思考のクセ」が存在します。

ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンは著書「ファスト&スロー」の中で、

【意訳】人間の脳にはシステム1(速い思考)とシステム2(遅い思考)がある。前者は直感や経験に基づいて瞬時に選択を行い、後者は集中力を必要としてじっくり考えた上で選択を行う。

と提唱しています。

「速い思考」とは、簡単に言うと直感のようなもので、「考えよう」とせずに瞬間的に結論を出すため、本人にとっては無意識の選択です。

逆に、「遅い思考」では時間をかけてあらゆる条件を意識して判断を下します。そのため、エネルギーを多く消費します。


日常生活のほどんどの場面で動作している思考は、「速い思考」によるものです。


例えば、

いきなりボールが飛んできたので、目を瞑って避けた。

これは、典型的な「速い思考」の例になります。

或いは、

朝、嫌いな人とすれ違ってやる気がなくなった。

というような感情の動きも、脳神経科学によれば「速い思考」によるアクション命令ということになります。

このような「速い思考」が、最初に述べた「思考のクセ」なのです。

日常生活のほとんどが自分の「速い思考」(或いは「思考のクセ」)によって演出されているとすれば、それはどのように決定されているのしょうか。


結論を申し上げると、「思考のクセ」はこれまでの回数によって傾向が決まっています。

例えば、昔からボールが来たら右に避けていた人は、今後咄嗟に出る動作も「右に避ける」となります。

また、無意識に人の悪いところにイラッとしてきた人は、今後もイラッとしてしまいます。

これは、脳神経科学で言うシナプス回路の結びつきの強さで説明でき、いわゆる習慣によるものです。


では、「速い思考」でより良い選択を行えるようにするためにはどうすれば良いでしょうか?

それは、「速い思考」の動作を認識し、意識的により良いアクションをとることです。そしてそれを繰り返し、習慣化することです。

続ければ、クセとなり、無意識化します。


雨が降ったら萎える、という感情の変化を自分で感じたら、あえて笑顔を作ってやったー!と言ってみます。

気持ちがこもっていなくても、雨が降るたびに喜びの動作をすることで、脳が錯覚を起こし、雨はハッピーなものだと認識します。

そうすると、雨が降って萎えるという無意識の感情の動きが、雨が降ったらなんか幸せな気持ちになるという無意識の感情の動きになります。


雨を喜ぶ必要はないかも知れませんが、これは日常のあらゆる場面で私たちを助けてくれる脳の仕組みです。

まずは「速い思考」を捉えるというメタ認知から始まります。

(メタ認知については割愛するので調べてみてください。)


そして、自分にとって都合のいい速い思考をダウンロードするために、事象に対して意識的なアクションを習慣化させてみましょう。

継続は力なり。習慣の魔力を味方につけましょう。


written by Hideaki Shimoshige

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