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要介護度のミステリー。

だいぶ前だが、テレビを観ていてすごーく驚いた。

おばあちゃんが、高齢者の経済的な悩みについてインタビューを受けていた。

そして、テロップがおばあちゃんの胸のあたりに出ている。

A子さん、85歳、要介護度5

要介護度5!?

要介護度5のおばあちゃんが、ベッドに自力で腰掛け、インタビュアーの質問にしっかり答えている。時々唾液を拭うように口元に手をやっている。

これで要介護5は、いくらなんでもあり得ない。

なんかちょっと、この裏側に、関係者の色んな思惑が見え隠れするのは私だけ?

要介護度は、認定調査員が本人の様子を実際にみて調査票にまとめ、主治医の意見書も踏まえた上で要介護度認定審査会において決定される。そして、要介護度が上がるにつれて、利用できるサービスの量も幅も拡がるし、入所できる施設の種類も増える。ただしその分、同じサービスを使っても、要介護度が高い方が利用料金も高くなる。とは言え、利用者負担は収入に応じて1〜3割で、あとは国の予算で賄われるのだ。

つまり、要介護度が高くなれば、利用者が支払う料金は若干増えるものの、それ以外は事業所、利用者共に悪いことはない。

困るのは、定期的にくる更新時に要介護度が下がってしまうこと。

今まで使えていたサービスを使えなくなってしまう場合があるからだ。実際、役所勤めの時には、多くのケアマネージャーが窓口を訪れた。
「介護度下がって困っちゃってるんですけど…。」

ただ、これは要介護度が下がったのだから介護サービスが減っても大丈夫、というある意味では理にかなった考え方に基づくものであり、おかしくはない。
でも、実際にはデメリット的な影響が出る場合が多いため、認定調査や審査会では「優しい調査、優しい審査」が行われているのが実際である。

ほかにも介護現場の実情など色々細かな説明は必要になるが、結論、現制度下では要介護度は維持もしくは上がった(悪化した)ほうが無難であり、うまく回るのだ。

要介護度が下がったということは本来喜ばしいはずであるのだが、結局は誰も喜ばない。だけど、制度がこうである以上、こんな感じになってしまうのもわかる。

要介護度が下がるもしくは上がらないことに対するインセンティブが本人にも介護する側にも与えられれば、要介護者自身も頑張るし、介護する側も身体機能改善のために尽力するし、結果的に介護予算を減らせる方向に動くと思うんだけど…。

やっぱりこの介護制度、抜本的な見直しが必要。



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