函南

無職。アラサーの波にもまれながら難病指定外の難病患者歴10年。文学を大学で学ぼうとする…

函南

無職。アラサーの波にもまれながら難病指定外の難病患者歴10年。文学を大学で学ぼうとするも何故か漢文ゼミに配属されゆるい卒論で卒業。ブライダル、葬儀会社勤務経験によって人の人生の、その人の哲学に興味を持つ。双極性障害にて精神障害2級。

最近の記事

#4

1年で辞めてしまった会社。 その表現は少し間違っている。 2月26日に最終面接をし、その場で合格を言い渡された私は、数日後の翌月、3月入社となった。 私が入社したのは所謂結婚式案内所だ。 最初の数ヶ月は業界の歴史や100幾つある取引先の価格帯や長所・短所、チャペルの雰囲気やバンケット(披露宴会場)の収容人数等などをある程度把握することに費やした。 それと同時に専用システムの扱い方と入力の仕方の決まり事。 ほぼ毎日空いてるブースで同期と共にノートを広げ自学の毎日。 おかげで私

    • #3

      会社を電話で辞めてから抗うつ剤の効果か、寝てばかり過ごして、実家の祖父母の喧嘩と父母の決定的な透明な溝と、弟の一家の栄光のような学歴に、田舎の周りの目に、苦しくなって私はまた一人暮らしの部屋に戻った。 帰る場所が二つあるとはなんと便利なのだろうと思っていた。 あの頃の記憶はすごくまばらだ。 寝てばかり居たからだろう。 実家では持って帰ったWILLCOMが圏外だった。当時はまだ私はスマフォではなかった為、恋人とのWILLCOMとSoftBankの10分だけの無料通話、切っては

      • 愛しのブス

        後悔の日々というのは深く刻まれるものだ。 そして癒されることが無い。 愛しのブスになれなかった私は、一方通行のLINEを辞めようと思った。 「忙しくて死んでない限りは返事します」 そう言ってくれた彼は、それをもうとっくの昔に忘れているに違いない。 もう何回一方通行の言葉を送ったのか。 私が出会った時は彼には彼女がいた。 いつ別れたのかは知らないが、失踪に近い彼女の答えに深く傷ついた彼は「女性不信ですから」と言っていた。 彼の口から彼女が居たことも、失踪されたことも聞かされて

        • #2

          「あんた、仕事選んでないで早く決めなさいよ」 電話口でそう母親に言われた。 私の新卒就活は失敗に終わった。 業界全て受けて全て落ちた。 卒業年になってバイトも辞め、卒論の提出締切と車校の予約で詰め詰めになっている1月末になんとか引っかかった企業は、大学サークルの延長で作ったような適当な会社だった。 卒業までは研修に参加させられ、脚が悪いと申告しているにも関わらず片道2時間ママチャリを漕いで営業に行かされた。 もう無理です事務に変えてください私は事務で採用されたはずですと懇願

          赤い地球

          今年は新年早々に追いかけていたバンドがボーカルを残して解散する。掲げているバンド名だけ残り、メンバーが入れ替わる。「人間関係」が問題なのは明白な終わり方だ。悲しかったのは、いつでもどこでもお前らがいるから、ステージに立てるんだよ、と全員が体現しているライブを何度も見ていたのに、という気持ちが宙に浮いたままだということ。 「いつから私への気持ちが無くなってたの?」 恋愛のそれと似ている気持ちだと思う。 つまり私の平成最後の年明けは悲しみへのカウントダウンでしかなかったのだが、

          赤い地球

          #1

          鉄塔に登り眼下に見えるは白花の群。 小さな白いあの花々はジャスミンのように香り立つ、それはまるで儚く可憐なか細い女性の指に見える。 ああ、あのようになりたかった。 私は鉄塔の頂上でグレゴリオ聖歌を歌う。 雲間から光が差し込み、それは神が地に突き刺した剣のようだ。 荘厳なるこの光景はどこか心地好く、懐かしい気持ちになった。 目が覚めると真夜中の3時半くらいだった。丁度良い時間だ。 4時になると分厚いコートを羽織り、煙草とライターをそのポケットに詰め込み、外に出かけた。 煙草は

          傷口に酒を塗れ

          緊急連絡先を書いた紙を、「親は離れて暮らしているので直ぐには来られません」と添えて玄関先に置いて過ごしたことがある人は、多くないと思う。 今年私はとてつもない嵐の真っ只中にいた。 大好きな人が立つライブのステージを見ても心が揺さぶられなかった。 遂にはそのライブにさえ行けなくなった。 新卒で就職に失敗し、就活戦線に疲弊して不眠症になっていた私は直ぐに自律神経失調症となった。 それは年々悪化していき、遂には双極性障害と診断を受けた。 職歴はトータル数ヶ月働いただけしか無

          傷口に酒を塗れ

          リンパ管細静脈吻合手術

          11/15 10:30に病棟に入院。 昼食を食べてからシャワー。 シャワーを上がってからインドシアニングリーンを足の指の付け根と踝の付近に片足計3箇所打ち込む。割と痛い。 先生「あれ?痛くない?」 訳が無いだろ。 明日のリンパ管細静脈吻合手術の為だ。 左腕には点滴用の針が入れられ固定された。 明日は朝イチの手術、手術開始は9時ジャスト。 実家の父母はこの病院まで来るのに片道1時間40分かかる。間に合うだろうか。不安がよぎる。 局所麻酔だから意識はある。それがなんとも不安だ

          リンパ管細静脈吻合手術