リンパ管細静脈吻合手術

11/15
10:30に病棟に入院。
昼食を食べてからシャワー。
シャワーを上がってからインドシアニングリーンを足の指の付け根と踝の付近に片足計3箇所打ち込む。割と痛い。
先生「あれ?痛くない?」
訳が無いだろ。
明日のリンパ管細静脈吻合手術の為だ。
左腕には点滴用の針が入れられ固定された。

明日は朝イチの手術、手術開始は9時ジャスト。
実家の父母はこの病院まで来るのに片道1時間40分かかる。間に合うだろうか。不安がよぎる。
局所麻酔だから意識はある。それがなんとも不安だ。いっそ寝かせておいてくれはしないだろうか。
病棟の消灯は22時と早い。
薬を飲んで21:30に就寝した。

翌日11/16、朝6時に目が覚めた。
朝ご飯は絶食である。幸い水だけは飲んでよかった。手術は4時間かかるらしい。
暇だしお昼ご飯はどうなるんだろうとか考えながら過ごした。
紙パンツの前後がどちらかわからずトイレで首を傾げる。
術衣でウロウロするのは胸元が寂しい私には少し恥ずかしい。
8:30両親到着。母の顔を見て少し安心する。
手術室への移動は点滴台を持って徒歩で向かう。
髪の毛を纏めるヘアキャップが上手く被れず母に手伝ってもらう。
手術室の扉が開く。部屋用スリッパを脱いで塩ビスリッパに履き替える。
ここで両親とお別れ。
私の頭は尿道カテーテルのことでいっぱいだった。

私が下肢リンパ浮腫になったのはおよそ10年前の2008年である。その前から前兆はあったのだが病院に行っても、太ももの付け根の腫れは太ったからだろうとか、ナマズ顔のでっぷりした医者に言われて終わった。
あのナマズ顔は今でも嫌いだ。
10年経った私の脚でリンパ管細静脈吻合手術がどの程度出来るのか、何本繋げられるのか、開けて探してみないとわからない。
効果なんて、半年から1年後にならないと分からない。
それでもやれるうちにやっとかないと、もっと出来ることが少なくなる。
私は原発性のリンパ浮腫だった。つまり原因不明のものである。
だから圧迫療法の弾性ストッキングもバンテージも10割負担だ。
メディのフォルテのクラス2のパンティストッキングタイプなんて3万円する。
通常それを2枚交互に履いて6ヶ月効果が持つという。
私は1枚で1年くらい履いている。お金が無いからだ。
手術が成功してもその圧迫療法は続けなければいけない。
でも手術しようと決めたのだ。

尿道カテーテルは思いの外にゅるりと普通に入っていった。恥ずかしかったのは恥ずかしかった。
それよりも恥ずかしかったことがあった。
昨日打ったインドシアニングリーンが赤外線ライトを当てられ光る、私の下肢のリンパ液。
右脚は通常。左脚はモヤがかかったように脚全体が光っていた。全体にリンパ液が滞留している。
思わずシュールだと思ったのは左の大陰唇が光っていたことだ。
ピカーっと。
それはもう素晴らしくリンパ液の滞留を示しているのだが、大陰唇が光っているのだ。
私は鼻水が出るかと思った。

手術が始まる切られる部分に次々と局所麻酔が打たれる。
もうちょい打ちますとかなんか声かけてくれるんちゃうんかいと思ったのは仕方ない感じの打ち方だった。まぁそんなもんだろう。

左右のモニターで先生2人による手術箇所の映像がリアルタイムで見られる。
ぐ、ぐろい。
見たくないので瞑想を始める。
先生「ここ見える?これが静脈ね」
見せないでくださいお願いします。
しかし慣れてしまえばなんとも興味深い。
リンパ液の滞留からタンパク質が細胞にひっつきまくり圧迫してリンパ液を流しても太いままとなるのはこういうことか、と分かるコラーゲン状の脂肪細胞。
それをピンセットで割く先生。割かし痛い。
昨日手術担当の看護師さんが言っていた台詞を思い出す。
看護師「リンパ管が見つかった時に動いてしまったらまた探すところから始めないといけないから絶対動かないように!」
痛いがまぁ我慢はできる。今思えば麻酔を追加してもらえばよかっただけの話なのだが、持ち前の根性で何故か我慢する方向へとシフトしてしまう私であった。
あー腕が固まってきて痛いなー。
肩と肘がぶち壊れそうだなー。
そんなことも漏らせないまま、尿はカテーテルによってダダ漏れなまま、手術時間の4時間が過ぎた。
傷口は縫われている。チクチクする。
看護師「今縫ってます、痛くないですか?」
私「あーチクチクしますね」
看護師「え!?感覚あるんですか!?」
私「ええ、まぁ……」
割と驚かれた。

そんなこんなで両足で9箇所開けて、吻合出来たのは7箇所。
取り敢えず1週間から2週間は安静に。
でないと折角吻合した箇所が潰れてしまうのだという。
手術室から病棟へ戻り遅い昼ごはんを買ってきてもらって食べた。
普段白米を絶っている私はおにぎりをリクエストした。
母にあーんをしてもらって、ペットボトルにストローをさして寝たままの食事だった。美味しかったのと、子供に戻ったみたいで少し嬉しかった。

1週間、私は入院した。
寂しくて鬱だった。
退院前日、伯父と伯母がお見舞いに来てくれた。小さなケーキを2つ買ってきてくれた!
マッハで食べたのは言うまでもない。
入院生活、なんとか頑張れたのは24時間で消えるInstagramのストーリーの反応。
ネガティブなことは残しておきたくなかった。
変われるなら変わりたいと決めてTwitterもROM専になったのだ。
自販機まで痛い手術跡を気にしつつ歩いて110円で買って飲みまくったカフェオレがなんとも美味しかった。

半年から1年後、効果が無ければ、次はリンパ管移植手術となるだろう。
私はいつ就職できるのだろう。
躁鬱は落ち着いてきたが気を許しては行けない、あいつらは直ぐに足を引っ張ってくる。
でも転職サイトを3つも登録しているのは焦りからだ。

これが私のリンパ管細静脈吻合手術の体験談だ。

#リンパ浮腫 #手術 #体験記

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