ワークライフバランスを見直し、人生を豊かにする
三宅香帆さんの著書「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読みました。
この本のタイトルだけを見ると、読書家による「もっと読書しましょう」みたいな啓蒙活動に思われるかも知れませんが、決してそんなことはありません。私見ですが、本書のタイトルを言い換えると「なぜ働いていると『スマホばかり見て趣味を楽しめなくなるか』」という意味合いになると思います。そしてざっくり言えば、本書で著者が伝いたいことは、
「現代は『働きすぎ』で趣味を楽しむ余裕がなくなっている」
「ワークライフバランスについて、考え直してみてはどうか?」
ということだと受け取っています。
私自身は、本書で著者が読者に伝えたいことについて、ポジティブな感想を持っていますし、十分に理解できます。
私の人生を振り返ると、ブラック企業でサラリーマンをしていたときは、心身共に不健康で不安定でしたし、趣味を楽しむ余裕などなく、暴飲暴食などの不健康な手段でストレスを紛らわす毎日でした。このような時間を過ごした日々は、私の人生においてマイナスのほうが多かった時代だったように思います。
それに比べて、現在は母の介護をしながらの生活をしているため、以前に比べて経済的なリスクは増していますが、介護と自分自身の時間をコントロールできていて、健康的で穏やかに暮らせていると思います。
とはいえ、全ての人にお薦めできるかと言えば「No」です。一人一人の事情や考え方は異なります。特に家族を持ち、子育てをしている人達にとっては、「子供の将来を守る」という観点からも、自分自身のことを後回しにして働き、「子供により良い環境や経験を提供してあげたい」と思うことも一つの考え方だと思います。
そう・・・確かにそうなのですが・・・
私は読書が好きで月に5、6冊のペースで本を読んでいるのですが、それでも読みたい本がいっぱいで追いつかない・・・。それだけ好奇心を駆り立てられる小説や物語、知見を広げる材料があることを、とても幸せだと感じています。
音楽に関しては、私にも「推し」がいますし、そうでなくても、今も昔も素晴らしい音楽がたくさんあります。テレビは最新の音楽チャートを紹介していますし、ラジオを聴けば昔懐かしい音楽が流れてきます。それでも、私が知らない楽曲やミュージシャンも多く存在するはずで、それらを全て知ることなんて不可能だと感じています。
同様のことは映画やドラマ、アニメや漫画やゲームなどにも当てはまると思います。
また、アウトドアや旅行、スポーツなんかもありますし、そのなかには若くて体力があるときにしか出来ないこともあるように思います。
「人生を豊かにする経験をしないまま、仕事に追われるだけの人生を過ごすことが、本当に幸せなのか?」
その問いかけに対して、少し立ち止まって考えてみることに価値があるように思いますし、本書はそのきっかけになってくれるように思います。
私自身にとっても、
「自分にとって、最適なワークライフバランスとは?」
「それを実現するために何をどうすべきか?」
という問いかけについて再考し、見直したくなるような一冊になったと思います。
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