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パトリック・タム『The Sword』不幸を呼ぶ名剣=妖刀を巡る旅

超絶大傑作!!馬鹿みたいに面白い。不幸をもたらす妖刀を巡る物語だが、悪の組織あり、久しぶりに再会した幼馴染あり、ロマンスあり、復讐ありというてんこ盛り展開を奇跡的なバランスで成立させている凄まじい映画。冒頭で足のない情報屋の爺さんが大量の鳩に囲まれて書斎にいるシーンから既に強烈。主人公は隠遁した凄腕剣士を探す若い剣士で、その旅の途中で悪者から追われる少女を助けたり、いつの間にか結婚していた幼馴染に出会ったり、彼女とのロマンスが再燃しかけたり、その夫が明らかに悪そうな輩だったり、ロマンスを覗いて傷心の少女が逃げちゃったり、幼馴染夫の右腕的な男に襲撃されたり、そのまま気絶したところを凄腕剣士の知り合いに助けてもらったりする。こんな背景情報や設定の拾い集めみたいな展開すらワクワクするのだから、全員が揃って主人公が不幸を呼ぶ妖刀を手にした後半からは彼の周りには不幸が渦巻いていき、加速度的に面白くなる。

次作『Love Massacre』ほどじゃないが不気味なシーンもあって、左から消えた人が次の瞬間に右からから画面に入ってきたり、怪異でも映り込んだのかというタイミングで背後を取られたり、感傷的な音楽が敵の登場でぶった切られたりする。静と動を見事に混ぜ合わせたチャンバラも、笑ってしまうほど見事な人体切断を含めて素晴らしい。特に"囚われの姫"のいる櫓で上下方向の切り合い→櫓崩壊の一連のシーンとか面白すぎる。これがデビュー作とかどうかしてるでしょ。

追記
途中で助けた少女=凄腕剣士の娘、石川恋にしか見えなかった。

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・作品データ

原題:名劍
上映時間:85分
監督:Patrick Tam
製作:1980年(香港)

・評価:99点

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