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ジョアン・セーザル・モンテイロ『シルヴェストレ』そして私は星の下に孤独となった

モンテイロ長編三作目。15世紀のポルトガルを舞台にした歴史劇。主演は当時16歳で映画初出演(『おなかすいた、寒い』よりも前)のマリア・デ・メディロス。川以外の屋外背景は書割、屋内もセット感あふれるハリボテなので、物語は結構生々しいのに絵本でも読んでるみたいな、或いは絵画を見ているような不思議な気分になる。また、シーケンス間は超自然的に時間が省略され、二つあるらしい原作の接合が明らかに不自然なのも、逆に本作品の浮遊感を高めている。領主である父親の留守中に扉を開けるなと言われたスサーナとシルヴィアの姉妹が、巡礼者に扉を開けてしまったために、スサーナは犯されてしまい、巡礼者の手を切断して追い出したシルヴィアはつきまとわれることになる。紆余曲折を経て男装兵士として戦場に出たときの名前が題名のシルヴェストレとなる。途中で登場するドラゴンが『ニーベルンゲン』のトカゲドラゴン並にちゃちい。戦場に出る決意をしたシルヴィアと引き留めようとするスサーナの押し問答が機械的で可愛い。

・作品データ

原題:Silvestre
上映時間:120分
監督:João César Monteiro
製作:1981年(ポルトガル)

・評価:80点

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