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Tinatin Kajrishvili『Citizen Saint』ジョージア、神の使いを誰も歓迎しない町

2024年アカデミー国際長編映画賞ジョージア代表。Tinatin Kajrishvili長編三作目。その鉱山の広場には、地元の鉱夫たちから守護神とされてきた、鉱夫の格好をした"聖人"像が十字架に掛けられている。毎朝鉱夫たちが仕事前に挨拶に訪れる他、地元住民の祈りの場になっていた。ある日、修復のために聖人像は十字架から降ろされて地元の美術館に収蔵されるが、翌日には消えてしまった。そして、同じタイミングで謎の青年が鉱山町を訪れる云々。実物が現れると反応も様々で、最初に青年を案内した老人は、最初に青年の奇跡を目撃した人物でもあり、10年前に落盤事故で失った息子に再会するなど様々な恩恵を受けている。一方で、事故で足を失った夫のために毎日祈り続けていたマリは、青年に"あの祈り聴こえてたんだろうな?"と強めに尋ねていたり、炭鉱の偉い人は"ここは我々が我々のルールで治めているんだから君は天上で見守るだけでいい"と恫喝していたり、青年の出現を嬉しいこととして捉えている人は少なそうだ。神が人々の祈りに応じて派遣したのかもしれないのに、多くの人がそれを信じてないというのが興味深く、信仰の形骸化というか、相手が見えないからこそ応えがなくても安心していられるのかなと思うなど。ただ、現場で働いている鉱夫たちはほぼ登場せず、外にいる人たちにしかスポットが当たっていないのは不思議だった。鉱夫たちは安全祈願がしたいだけで、それ以外はどうでもいいのかもしれない。炭鉱町に神の使いが降り立ったら実は誰も歓迎しない、という悲しい現実が残るのみ。その指摘自体は興味深いが、それ以上はなかったのでだいぶ物足りなかった。

・作品データ

原題:მოქალაქე წმინდანი
上映時間:100分
監督:Tinatin Kajrishvili
製作:2023年(ジョージア, ブルガリア, フランス)

・評価:60点

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