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Xhanfise Keko『Mimoza, the Spoilt Child』アルバニア、甘やかされた少女の成長譚

東欧の子供映画を観よう!企画。"アルバニアのキアロスタミ"ことジャンフィセ・ケコ(Xhanfise Keko)による中編作品。団地の狭い中央広場では子供たちが肘がぶつかるほどの距離で別々の遊びをしている。そんな中で今回は、友人と喧嘩ばかりしている高慢な少女ミモザが主人公となる。ミモザの悪びれもしない表情や、彼女に詰められたときの友人たちの渋い顔がリアルすぎて面白い。そのうちに完成した反ミモザ集団にハブられた際に、大縄跳びをする楽しそうな彼女たちの表情を仰角のスローモーションで撮っているのが憧れの心象風景として完成度が高い。子供たちの性格とかその時々の感情がバシッとワンショットで分かるのが、子役の素に近い部分を役としてまとめあげるケコの手腕なのだろう。逆ギレしたミモザは自宅に籠城するが、人形を前半の友人たちと同じように描くことで、物言わぬ人形との遊びの虚しさを強調する。それら全部を40分弱にまとめるスマートさも良い。

・作品データ

原題:Mimoza llastica
上映時間:44分
監督:Xhanfise Keko
製作:1973年(アルバニア)

・評価:70点

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