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マリア・シュペト『The Days Between (官能)』ベルリンの夜空の下で

当代最強の女優の一人ザビーネ・ティモテオの初期主演作品。『官能』という残念な邦題が付いているがこの際無視する。大学の食堂で働くリンは、ベルリンの兄夫婦宅に居候しながら恋人の家と職場を往来する日々を送っている。世界大会を間近に控えた競泳選手の恋人は朝から晩まで練習漬けで、リンには構わずに放置気味。そんな時、彼女は留学生として日本から来ていたコウジと出会う。二人の間をフラフラと漂い続けるリンとその刹那的な生き様が時間の空費として可視化される。

祖母が亡くなったというエピソードやリンへの想いが日本語で語られ、ここには字幕が付いていないので、恐らく日本人以外はこの部分を"意味の分からない音"として捉えられているのだろう。ぴっちりとした意思疎通が図れない相手との会話のぎごちなさというのが、兄夫婦の営む"家族生活"という"規範"から弾かれたリンの状況を端的に示している。兄夫婦はお世辞にも仲がいいとは言えない感じもまた"規範"の一部と言えるのかもしれない。

自転車に乗って夜明け前の駐車場をぐるぐる回ったり、トンネルを駆け抜けたりする何気ない映像がとても良い。冒頭の噴水でスイカを叩き割るシーンが意味不明なインパクトがある。

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・作品データ

原題:In den Tag hinein (邦題:『官能』)
上映時間:118分
監督:Maria Speth
製作:2001年(ドイツ)

・評価:80点

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