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オリヴィエ・アサイヤス『Disorder』虚無に堕ちた若者たち

アサイヤスマラソンの記念すべきスタートを飾るのは彼のデビュー作である本作品。楽器店に侵入した男女三人組が店主にバレたので殺してしまい、それを言えずに放置しておく罪悪感や気まずさから発生する虚無が周りの人間にも波及していき、人間関係が変質していく様を描いている。とは言ったものの、基本的には仲間内の惚れた腫れたの繰り返しで、秘密にしていた不倫関係が表面化してくるといった感じ。大きな間違いに対して誰からも責められないという地獄を味わう三人は、それぞれがバンドの主要メンバーでありながら"一人にしてくれ"と連呼することで自分を守り続け、ロンドンへ向かう旅の途中で一人ずつ道を外れていき、成功を目前に控えたバンドは散り散りになっていく。低血圧気味な青い映像は彼らの憂鬱をそのまま色に変換したかのような圧迫感があり、鮮やかな色すらも退廃的に見える。

後半になればなるほど報道も言及もされない殺人という大犯罪への罪悪感や焦燥感が増していき、非現実的な側面も強調されていく。犯罪映画のジャンル解体をいとも簡単にやってのけてしまった。

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・作品データ

原題:Désordre
上映時間:88分
監督:Olivier Assayas
公開:1986年11月12日(フランス)

・評価:80点

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