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ミレーの絵、「ありきたり」を切り取る力

こんばんは。

みなさん今宵はいかがお過ごしでしょうか。


突然ですが、みなさんミレーという画家をご存知でしょうか
もちろん知ってるという方もいらっしゃるとは思います。
ここで紹介しておいてなんですが、私はこの作家が特段好きというわけではございません。

みなさんご存知、『落ち穂拾い』

この絵をはじめてみたとき、この絵のすばらしさが全く分からなかったんです。
色彩や構図、画風の素晴らしいのかもしれません。しかし、わたしは登場人物にまったくもって魅力を感じません。

ただのそこらへんにいるおばさま方が、牧場のお手入れをしているだけ。
日常を切り取り、うまく芸術へと落とし込めているからこの絵は素晴らしのかもしれませんが、それを言われてもまだ私にはこの絵の良さというものが理解できないのです。

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同じミレーの絵なら、私はこっちの作品ほうが魅力的に感じます

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ジャンフランソワー・ミレー『肥料をまく農夫』

『落穂拾い』で感じることができなかった、ミレーのありきたりな日常を切り取るセンスを、私はこの絵から初めて感じることができました。

生まれた時からずっとこの街で暮らしている。
僕は8人兄弟の長男だ。長男が家業を継ぐということは当たり前のことだし、もう父親も長くは働けないから、家業を継ぐつもりだ。
学生時代には、パリのきらびやかさにあこがれてた時期もあったよ。けど、家族を養うためにひたすら家業の農業をして暮らすことが僕の使命であって、パリで洗練された雰囲気をまとうことは一円にもならない。
将来や今に不満はとかは、別にない。

近所に住んでいた可愛い幼馴染の女の子は、パリの洋品店を営む二十も離れた紳士と結婚したらしい。
子供もいるそうだ。さぞかし可愛いだろう。幸せならそれでいい。自分の境遇と比べるなんて、そんなことはばかばかしい。

幼馴染のこととは特に関係ないんだけど、僕にはまだ妻がいない。

24にもなって結婚してないなんて、この村では異常なことらしい。
でも、周りの仲間はそんな変わり者の僕を受け入れてくれる。

みんないいやなんだよ。すこしばかり気が強いやつが多くて、滅入るときもあるけど。

でもそんな賑やかさに心地よさをおぼえるんだ。
あぁ、この街で生涯を終えるのも悪くないな。

そうだ、今日は妹の誕生日だから、早く仕事を終えてうちへ帰らなきゃ。




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