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【他者の記事の感想】胸が熱くなる体験記。

「GENCOS|ドイツパン修行録」氏の作品が面白かったので紹介します。

ノンフィクションだそうです。恐れ入りました。面白いというか、それを通り越して筆者に対し憧れや尊敬の念を抱きました。


単に異業種への挑戦ということであれば、二十代なら珍しくない話でしょう。
しかし、修行の場を異国に設定し、語学もイチからの習得となれば話は別です。
私がパン職人を目指したとして、ドイツのパンに憧れていたとしても、ドイツまで行って修行しようとは絶対に思えない。行動できない。
パン職人に憧れた人ならパンの勉強は喜んでするでしょう。が、「パンの勉強のための語学の勉強」を乗り越えられる人は、たぶん少ない。
偉人伝が好きな私に言わせてもらうなら、主目的に付随して生じる傍流の必要能力まで獲得してみせるのは、偉大な人の共通点でもあります。
無論、語学そのものだけでなく、異文化への適応や、日本とは異なる社会システムの中で生活を確立させることには様々な苦労があったであろうことが推察されます。


私の好みの問題かもしれませんが、夢を追いかける人の話には胸を熱くさせられますね。
特に二十代の方のチャレンジは、自分がいまいちそういう風に生きられなかった分、憧れと尊敬が生じます。

学生時代、さくらももこ氏の『ひとりずもう』という青春をテーマにしたエッセイを読んで胸を熱くした時のことを思い出しました。
文体こそさくらももこ氏の軽妙なそれとは異なりますが、味のあるイラストを挿みながら、整然とした語りで体験を描写する本作は、(筆者様の狙いではないかもしれませんが)エッセイとして十分な読みごたえを感じました。



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