記事一覧
小説【REGULATION】《10話》「クソガキ」
《10話》「クソガキ」
──この少年は何を言っているんだろう?
「み、見えてるって…どう言う意味だよ…」
「いや、だからさぁー言葉の通りだよ。おっちゃんは俺の事が見えてんだなって思っただけ」
おっちゃんは俺が見えてる?
何だよその、まるで見えている方が不思議だと言わんばかりの口振りは…。
勘弁してくれ。
もしかして、こいつもまた宇宙人とか何とかの類か?
それとも宇宙人の次は、幽霊とかそこら辺のや
小説【REGULATION】《9話》「GOKURAKU」
《9話》「GOKURAKU」
「──着いたな」
四方八方どこを向いても、巨大な看板や高層ビルが立ち並ぶ、ここはまさに都会のど真ん中。
そんな街並みに、遠慮するかのように立っている、小さな赤い看板。
看板には〝ネットカフェ〜GOKURAKU〜地下1階〟と記載されている。
最後にここに来たのは三、四年前だったかな?
見たところ、その頃とほとんど変わっていないようだ。
俺は、小さな看板の横にある細い階
小説【REGULATION】《8話》「butterfly effect」
《8話》「butterfly effect」
その時、
一匹の青い蝶が羽ばたいた…。
俺が目を覚ましたのは、その日の夕方だった。
ベットから体勢を起こした俺は、座ったまま時間を確認した。
時計の針は十六時四十五分を指していた。
──良かった。あと一分早く起きていれば、嫌な気分になっていた所だった…。
俺は両手を上げ、目一杯背伸びをした。
「んー…」
随分と長い二度寝をしてしまった様だ。
お陰
小説 【REGULATION】《7話》「5W1H」
《7話》「5W1H」
とんだ災難だ。
確かに俺は、毎日何か良い事が舞い込んで来ないかと願ってはいたが、事件に巻き込まれたいなんて願っていないし、ましてや宇宙人と一緒に暮らしたいなんて願うはずがない。
「どうしよ…」
分かりやすく青ざめる彼女に、俺は思い付く限りの提案を投げかけた。
「いやいや、あのー。ルティナ…だっけ?君は宇宙人なんだよね?だったら何かあるだろ?透明になったり、空飛んだり出来るん
小説【REGULATION】《6話》「相殺」
《6話》「相殺」
突如として現れた、得体の知れない宇宙人〝ルティナ・サンタ・ビトニュクス〟に出会った、翌日の朝。
『──チュン、チュン、チュンッ』
鳥の囀りが聞こえる。
──小鳥の鳴き声で目を覚ますなんて、ここは御伽噺か何かなのか?
──あ…。いや、アラームか。
俺は毎日の憂鬱なアラーム音を、少しでも気分よく起きる為に、鳥の囀りに変えていた事を思い出した。
アラームを止め起き上がる。
「──っっ
小説【REGULATION】《5話》「烙印」
《5話》「烙印」
俺には彼女が、冗談を言っている様には見えなかった。
「──マジかよ…」
彼女はどこからどう見ても、ただの人間にしか見えない。
「じゃあ君は…この地球では無い、何処か遠くの星からやって来たって事だよね?」
俺は混乱しているのか、今の話の流れからして分かりきった事を訪ねた。
「──そう」
彼女は、またこちらに向かって歩き始めた。
「じゃ、じゃあ君が居るって事は他にも仲間が来てたりす
小説【REGULATION】《4話》「宇宙人」
《4話》「宇宙人」
俺が今持っているこの槍は、彼女の背丈を優に超える、長さにして一メートル八十センチと言った所だろうか。
材質は鉄、もしくは鋼のような見た目をしている。
もしも俺の推測が正しければ、この槍の総重量は五キロはくだらないだろう。
俺はその槍を手首で上下に動かし、再度重さを確認する。
やはりゼロと言っても大袈裟ではない程、重さを感じない。
まさか、さっきの宇宙人どもが知らぬ間に、怪力仕
小説【REGULATION】《3話》「赤面」
《3話》「赤面」
「た、助けて下さい!!宇宙人に捕まってるんだ!警察でも何でも良いから通報してくれ!」
彼女の容姿は、二十代前半と言った所だろうか。
とてもじゃないが、この状況を打開出来るとは考えにくい。
しかし俺は、藁にもすがる思いで彼女にSOSを出した。
彼女は首を傾げている。
──よし。ひとまず俺の声は聞こえている。
これで助かるかもしれない。
「──貴方。何か勘違いしていない?」
「へ…
小説【REGULATION】《2話》「その女性」
《2話》「その女性」
俺はあまりの衝撃に、そのパチンコ玉?
生き物?何だかよく分からないが、その得体の知れない〝何か〟を投げ捨てた。
『──カン、カン、カン…』
投げ捨てた〝何か〟は本物のパチンコ玉の様に跳ねながら転がって行き、道路脇の電信柱にぶつかり静止した。
「──な、な、な、何なんだよぉ…!!」
俺は驚いた勢いで腰を抜かし、路上に座り込んでいた。
大通りではない裏路地とは言え、それなりに人通