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熊の飼い方 46

影 24

 久しぶりに心の余裕がある。一人で部屋にいると、心に余裕がないことが多かった。しかし、こんな夜は何かを書き、暇を持て余そうと考えた。引き出しから、ペンと書きかけの手紙を取り出し、久しぶりに中身を書き進めた。

 誰が、何が悪い。それを判断するのは一体誰なのでしょうか?
 親ですか?総理大臣ですか?法律ですか?それとも社会ですか?
 僕には分かりません。この問題に答えがあるかどうかすら。
 なぜ、こんなことについて考えるのかと思うかもしれません。
 それも分かりません。でも、色んなことに疑問を持つことができるようになりました。
 僕は今、元気です。特に変化はなく、日々の生活を送っています。
 不満は特にないです。大きな変化がなく、楽しくは無いですが、普通の日々を送っています。
 毎日、同じことの繰り返しで、変わるのは季節と気候ぐらいです。自分の中で、成長しているという実感はあまり無いですが、これでもいいんだと思います。
 特にやりたいことはないですから。
 
 このぐらい書いて、筆を置いた。なかなか完成が見えないと思いながら、自分の書いた手紙を眺めていた。
 この手紙を送る相手はなんとなく決めている。しかし、住所を知らないため、書き終えたところで机の中で眠るだけだ。また、この手紙を書き終えたところで、何も変わることはない。
 虚しい気持ちで手紙を二つ折りにし、机の中にしまった。

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