見出し画像

統計学 初学者におすすめの書籍 5選

近年,データサイエンスの流行とともに,統計学が非常に注目されています.統計学は大量のデータから法則性を見出したり,意思決定の判断材料となる結果を引き出すことができ,情報化社会で重要性を増しているといえるでしょう.

私は現在,大学で統計学を教えていますが,実は最初のころは統計学に苦手意識を持っていました(いきなりルベーグ積分から始まったので何がなんだか……といった印象でした).しかし,きちんと本を読み込んでいくことで,理解を深めることができました.

今回は,私が勉強してきたものを含めた,おすすめの統計学関連の本を5冊紹介します.社会科学(社会学や経済学)よりのピックアップになっていることをご了承ください.


1. 神林博史,2019,『1歩前からはじめる 「統計」の読み方・考え方[第2版]』ミネルヴァ書房.

本書は統計(学)の手前,統計の重要性やデータの話から始める本です.統計学というと分析に焦点が置かれがちですが,ほかにも重要な点があることを気づかせてくれる1冊です.

2. スティーヴン・D・レヴィット,スティーヴン・J・ダブナー,望月衛訳 ,2007,『ヤバい経済学[増補改訂版]』東洋経済新報社.

統計学の本の紹介の中で,経済学の本を取り上げるのは意外に見えるかもしれませんが,内容を見ていただければ納得していただけるかと思います.

本書は計量経済学者のレヴィットが統計分析を駆使して世の中の反直感的な結論を示す本です.アメリカの犯罪率を減らしたのは意外な政策だった? 相撲の力士とアメリカの教師の共通点は? 子どもの名前に現れるルールとは? 統計学を使う(応用する)とどういう意外な景色が見れるのかを見せてくれる本です.

3. 東京大学教養学部統計学教室編,1991,『統計学入門』東京大学出版会.

定番の1冊です.この本を,手を動かしながらノートにまとめていくと,間違いなく統計学の知識が身につきます.私もそうして統計学の基礎を身に着けました.

個人的には,本をコピーしてグラフなどを貼り付けながら,行間を埋めつつまとめると効果的です(今ならiPadとかで手軽にできそうですね).ここで「行間を埋める」とは数式と数式の間に省略されている式変形や,つながりを明確にすることです.こうすることで納得しながら,統計学の中身を理解することができます.

↑学部生の頃に勉強していたノート

4. 片瀬一男・高橋征仁・阿部晃士,2015.『社会統計学ベイシック』ミネルヴァ書房.

実際の社会調査データを題材にして,統計分析を手を動かしながら学ぶことができる本です.平均から始まり,クロス表,相関係数,分散分析,回帰分析などの手法を,ユニークなデータ自体とともに学べます.

5. 永吉希久子,2016,『行動科学の統計学ーー社会調査のデータ分析』共立出版.

本書は,統計学の分析手法を実際の社会学的な理論・課題に結びつけて説明しています.本書ではフリーの統計ソフトRで分析するときのコードも一緒に紹介されています.自分で分析したくなった人はこの本を手にとってみると良いかもしれません.

この本は私がレビューしましたので,(個人的な)思い入れもあります.

本noteでは,初学者向けの統計学の本を紹介しました.みなさんの参考になれば幸いです.

初学者向けの社会学の本も紹介していますので,あわせてご覧ください.