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推しのプライベートに遭遇してしまった。自分がいま目にしているのは地獄か、それとも…①

本当のようで嘘のお話。
嘘のようで本当のお話。




【※題名の通り、推しのプライベートに遭遇してしまったお話です。フィクションかノンフィクションかは伏せます。プライベートの内容に関しては、人によっては推しを推す中で目を背けていたい対象である人物も登場します。この時点で察しがついた方、どうか自己責任でお願い致します。ただし、この文の中にでてくる゛推し゛について、現在活動されている3次元の誰かを連想させるような表現は一切いたしません。この時点で既に不快に感じた方は無理せず回れ右をしてください。】










では、綴ります。












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自分はいま大好きな街に住んでいる。憧れの街でもあり、どんな自分でも受け止めてくれる寛大な雰囲気のこの街が好きだった。




そんな街を今日も自分は歩いていた。だが、その時に何故その道を通っていたのか、どうしても思い出せない。

ああ、神様。どうかあの時の自分の心に伝えていただけませんか?「その道を通ってはならん」と。道なんて他にいくらでもあるのに。




寿命が1年縮まっても良いので(2年だとちょっと考える)どうかその寿命と引き換えにこの目で見てしまった現実を夢のお話にしてください。お願いします。




願って叶うものなら、もう毎晩のようにひれ伏せながら願っている。だが、もう時間は戻ってくれない。



その道は少し上り坂だった。息を切らしながら歩き、登った所で歪んだ顔を上げた。その先で、見覚えのあるアウターを着た男性が目に入った。




『かっこいい人だな…あ!あのアウター、推しも着てるやつだ!!やっぱり可愛い。そしてあの柄のマスク、あれも推しと一緒だ!!正直あの柄のセンスには驚いたけど生で見ても凄いインパクト…あれ?あのスマホケースも推しと一緒………』

心臓が跳ね上がるのがわかった。


坂を登った時に曲げていた腰を伸ばすと、自分の曲がっていた臓器達が元の位置に戻ろうと動く感じは気持ち悪くて嫌いだが、それよりも意図せず急に心臓が跳ね上がるあの瞬間も、吐きそうで、苦しくて、何よりも嫌いだ。

だが、目の前には大好きな推しがいた。


一人の女性を傍に連れて。

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ここからは ゛自分にとって推しとは何だったのか゛という点に着目したい。


自分にとって、推しは希望だった。



辛い事があっても、推しのTwitterでの呟き、要所での活躍、そしてあの笑顔、推しに関連するもの全てが、自分の身に起きた辛い事を一瞬で忘れさせてくれた。



楽しい事といえば、舞台上の推しを見ている時。会えなくても、映像で見ている時。イヤホンを通じて声を聞いている時。会えなくても十分救われていた。


当の推しに関しては、ファンの事を大切に思ってくれているのが心から伝わるような性格、人柄であった。つまり優しい。たとえ、それが仕事だから…どうせ営業じゃん…と言われても別に良かった。



仕事として、ファンときちんと向き合ってくれていたという事実がファンに伝わるだけで、それだけで推しはもう真っ当に表舞台に立つ人の仕事をしていたのではないか。



大きなスキャンダルもなく、変な噂もなく、コツコツ真面目に仕事をしていた。自分に自信がないと口にしていた推しは、いつしか自分の力で仕事を掴み、右も左も分からない世界でも努力をし、結果を残してきた。





尊敬できる存在でもあった。

そんな優しくて真面目に仕事をしている推しに、自分は惹かれていた。これはリアコというやつか…?いやでも、付き合うとか絶対無理だ。



キモいのを承知で白状するが、きっと、疑似恋愛に似た何かであったと 今となっては思う。

疑似恋愛...「特定の相手と自分のイメージの中で恋愛をすること」を指します。 疑似恋愛は妄想が全て。 マンガやゲームの主人公など実在しないもの、レンタル彼氏やアイドル、また周囲の人間などに想像の世界で恋愛感情を抱き、デートをしたりするようなイメージです。 疑似恋愛では生身の人間同士として、触れ合うことはありません。(webより抜粋)





いつの間にか、自分のなかで都合よく「理想の推し」を作り上げ、現実から逃げていた自分を救ってくれたとでも言わんばかりに一方通行な扱いをした。推しが一人の人間であるという事も忘れ、言うならば推しのせいにして自分の人生から逃げていた。

自分は最低なファンであったと、遭遇したあの日から感じるようになった。


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長くなりそうなので、ここで一旦終わりにします。読んでいただきありがとうございました。

推しのいる生活って、やっぱり幸せですよね?

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