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愛がない

美味しかった。飲み放題たらふく飲んだ。の割に安くて驚いた。

・・・二度と行かない。

なぜだろう。

安くするために、決済手段は「現金のみ」としてる。このご時世、文句のひとつも出るだろう。でも、交通系ICだのPayPayだの入れたらマージン分価格へ上乗せしなきゃもともとの利益が薄いからやってられん。

あるハンバーガーチェーン店頭。このマージン分価格に上乗せされてる。だから現金で支払うお客さんが割りを食うことになる。

冒頭の店、なぜ、「美味い・安い」のに二度と行く気になれないか。わかった。

愛がない

のだ。

オヤジさん、立ったら黙ってトイレの方向を指してくれる。

生ビールピッチャー、底に残ってるのに、「底の方はぬるくなってるから新しいの、入れるね」持っていき、新品持ってきてくれる。

でもね。

愛がないんだよ。

客をお金としか見てない。

これは他のフロアスタッフにも伝染する。

STEP1 受注につながる活動(長いプロセス)

STEP2 財務(瞬間)
  売上
 -変動費
 =限界利益
 -固定費
 =営業利益

瞬間に決まる。
お客さんグループのテーブルごとに、いま・この瞬間、決定する。

STEP3 リピートにつながる活動(長いプロセス)

商いは、上の3つのステップで成り立ってる。

STEP1は、一目惚れでも何でもいいんだけど、両思いになるまでの恋愛プロセス。

STEP3、「また会いたい、話したい、ハグしたい・・・」恋愛プロセス。
そして1も3も、アートになり得る。

唯一、STEP2は愛が入り込む余地がない。
1の結果として、数字に美学、アートが宿ることがある。

ただ、世の中、多くのビジネス、商いが、瞬間の財務だけの議論をしてる。活動がそこだけになってる。愛もアートもない。

この愛のない店も、そうだ。瞬間の財務で店を立ててる。

だから、二度と行かない。そもそも店を選んだ起点(理由)に愛はない。

北欧、暮らしの道具店は1と3をことのほか大事にしている。
結果、2の財務につながっている。

「あの まな板の音を息子に聞かせたい」

という起点(購買理由)で、買うことにした人をこの2日で二人知っている。

まな板の音はここで聞けます。

まな板だけ取れば、百均でも買える。

ただ、そこに愛はない。アートもない。ストーリーが生まれない。

お客さんは愛やアートを買っている。

いま、ビジネスの世界が、「いいものを安く」できない環境になっている。
輸送費始め原価が軒並み上がってるからだ。

たとえば先に触れた「決済手段を多様に用意しなきゃ」は、結果、値付けを上げる起点になる。

この一連のCM、「そろそろ対応しようよ」と店主のオダギリジョーにツッコミ入れたくなるが「いやー。メニューの値段、上げたくなくて・・・」かもしれない。

チョコレートを始めスイーツも、上がる。ココア、この通り。

The Economist  Feb 29th 2024記事より

ココアは主に西アフリカの小さな農家で栽培される。ガーナとコートジボワールが世界の60%。ところが昨シーズンはエルニーニョ現象で高温と多雨に見舞われ、作柄に影響した。
その雨のさなか、ココアを狙い撃ちするウィルスによる病気が蔓延した。

このほか、ココア農業の構造的な仕組みが値上がりをやむなくしている(詳細は割愛)。

この、「値上げ」の話はSTEP2であり、1と3に創意工夫の余地がある。

これからのビジネス、特にブランド作りに、STEP1と3は欠かせない。

そしてそこには絶対必要な要素があります。

愛。


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