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クラシックコンサートでモチベーションについて考えた

先日、東京シティフィルハーモニック管弦楽団の演奏会を聴きに行った。最近よく聞く表現で陳腐でイヤだが、「控えめに言って最高」でした。

なお、声を発しないクラシックコンサートではコロナは感染しません。かつ、席は一つおき、マスク着用になっており、感染リスクは極小です。

指揮者は飯守泰次郎氏。80歳とご高齢で、足はやや覚束ない感じでしたが、背筋はしゃんと伸びておられた。指揮も素晴らしいものでした。

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①モーツアルト 「劇場支配人」 序曲

モーツアルトはオペラが主戦場でした。なかでもオープニングである序曲はもっとも注力した曲です。このオペラ自体はマイナーですが、序曲はやはり素晴らしい。

同時期に作曲されただけあって、名曲「フィガロの結婚」序曲と雰囲気が似ています。音楽の愉悦に満ちた曲でした。

②ショパン ピアノ協奏曲 第1番

ピアニストは弱冠二十歳の新鋭亀井聖矢氏。聖闘士星矢みたいな名前だな。親御さんがファンだったのかもしれない。

これが素晴らしい演奏でした。音楽の精が乗り移ったような演奏。弾き切ったあとに、高く右腕を上げるところ、楽し気に頭を左右に揺らしながら弾くところなど、非常にexcitingな演奏でした。席が近かったので、力を入れるときに大きく吸い込む呼吸まで聞こえました。Fantastic!!

この曲は、「のだめカンタービレ」の掉尾を飾る曲でもあります。のだめのそのシーン、千秋が曲の解説や自分ののだめへの思いを語るところを思い出しながら、聴きました。

③チャイコフスキー 交響曲 第5番

私の最も好きな交響曲です。これが目当てでした。期待通りの素晴らしい演奏で、心の底から感動しました。

冒頭の重低音が特に良かった。重低音はCDなどでは再生が困難なので、ライブでしか聴けない。コントラバスが目の前だったが、必死に弾いていました。その姿勢に心を打たれました。

この曲は「坂の上の雲」を読みながら聴くと心に響きます。満州の凍る大地で、ロシアの大軍と戦って勝利を収める日本軍をイメージしながら聴きます。そして第4楽章のラストは日本海海戦を思い浮かべる。Z旗だ。

楽団員全員が力を合わせて合奏して一つの素晴らしい音楽を作り上げるという姿勢そのものに強く感銘を受けました。

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上記のごとく、販売可能席は半分。埋まっていたのは4割くらいでしょうか。

コロナ前でさえ、演奏会収入ではやっていけず、補助金や寄付金で何とか賄っているのがオーケストラの経営の実態と聞きます。

昨日は半分以下の観客で、おそらく大赤字の演奏会であったにも関わらず、オーケストラは必死に弾いていました。音楽の楽しみや喜びを、思う存分体現していました。

最近、仕事のモチベーションについて考えることが多い。本演奏会も、モチベーションについて考えながら見ていました。儲からない演奏会であったとしても、必死に奏でるオーケストラの姿勢を見ていると、「お金じゃないんだな」と思います。

歌舞伎なども、席を半数にしながらも、それでも上演できることに喜びながら演じていると聞きます。感染症で上演できないという、特殊な極限状態に陥ると、「なぜ俺は頑張るのか」という人間の根源的な意欲の源泉が明らかになります。

オーケストラや歌舞伎を取り上げましたが、これは、彼らのような表現者だけに限ったことではありません。我々ビジネスの世界に生きる人種においても同様です。

人間は、能力を発揮して、それを人様に評価してもらっているときに、最大の幸福を感じる。本演奏会を見て、強くそう思いました。人生、銭金ではありまへん。その境地に至ることができると、人間として1ステップ上がったような気がします。

『人の生涯は、ときに小説に似ている。主題がある。』(竜馬がゆく) 私の人生の主題は、自分の能力を世に問い、評価してもらって社会に貢献することです。 本noteは自分の考えをより多くの人に知ってもらうために書いています。 少しでも皆様のご参考になれば幸いです。