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チームで自分を研究する「当事者研究」スタート

最近、友人とキントーンを使って当事者研究をはじめた。
この記事ではきっかけや手法を紹介する。

当事者研究というと何か特別なことのように感じるかもしれないが、その人自身についての研究として誰もがはじめることができる。

きっかけ1「子ども当事者研究」

取り組むきっかけの一つは『子ども当事者研究 わたしの心の街には おこるちゃんがいる』(著:子ども・子育て当事者研究ネットワーク ゆるふわ)という本だ。

東京大学先端科学技術研究センターの准教授で医師の熊谷普一郎先生に教えていただいた本で「自分の気持ち」や「家族」のこと、「学校」のこと、「自分のからだ」のことをお子さんが研究、発表している。

例えば「お父さんの圧の研究」「どん底に落ちて、はいあがる研究」。

「どん底にはいあがったきっかけは、いちばん怖いことを打ち明けたこと」といったお子さんが体験からつかんだ生きる知恵が表現されている。

当事者研究への取り組み方についても紹介されている。

「当事者研究」とは、「自分のことに関心を持っている人」が、いっしょに、話し合って、今までにない理解やアイデアを生み出す活動と言えると思います。(2022,向谷地)

『子ども当事者研究 わたしの心の街には おこるちゃんがいる』2022,p8

「やりたいときに、ほっとできる相手と、気楽に!自由に!楽しく!自分の気持ちに正直に行うもの」であり「書くのもおすすめ」とのこと。

きっかけ2 体調管理・日記療法

もう一つのきっかけは友人による体調管理や日記アプリの存在。

私がサイボウズの社員だということもあり、体調や気持ちの共有にキントーンというデータベースをつくれるサービスを先月から友人と使っている。

その友人に本についても紹介し、私たちの取り組み名を考えていたところ「当事者研究」をいれようということになった。

タイトルは「チームで行う当事者研究~僕が僕で私が私であるために」。

友人は医師から日記療法をすすめられており、当事者研究のイベントにも参加したことがあるとのこと。

私が所属するサイボウズの社長室では、未来の芽を育む育苗実験の取り組みをしているが、その一つとして無理のない範囲で行っていくことになった。

オフィスにあった『当事者研究をはじめよう』をひもとくと私たちの取り組みにぴったりだと感じた。

■苦労の見える化
「自伝的記憶構築とは分厚い自伝のようなデータベースである。それは、自分が何者で、どのような特徴をもっており、どのような経験を重ねてきたかということすべて、言い換えればアイデンティティ情報を提供するものだ。自分の経験を元手にして、自分の苦労のパターンや物語を構築する当事者研究は、自伝的記憶の構築を行おうととしているとみなすことができるだろう。」
■生きやすさ
「自伝的記憶に注目したもうひとつの理由は、より直接的に、生きやすさにつながりうるだろうというものである」
「今日一日に起きたことを振り返って、なるべく具体的に語る練習をする具体的訓練を行うと、うつ状態からの回復効果ががあるという報告もある(mogoase et al.2013)。」

『当事者研究をはじめよう(臨床心理学 増刊第11号)』

自分が記録したい項目でアプリを作成


友人のアプリを参考にしつつ、私もキントーンで自分なりのアプリをつくり共有しはじめた。

私は2年前に手術や抗がん剤治療をし、今は服薬による治療中で睡眠障害がある。

だが服用すべき薬をのんでなかったり、睡眠や運動が不足気味だったりつい体調管理がおろそかになってしまう現実がある。

この日は、ちょうど人間ドックへいった日で健康意識も高まり、健やかに生きられるよう記録してみることにした。

左側の記録に対し右側にコメントをかきこめる

対話についてはキントーンのコメント欄やスレッドも利用できるが、従来からやりとりしているメッセンジャーやZOOMといったツールも組み合わせている。

新しいチームでの当事者研究

キントーンをつくっているサイボウズという会社は「チームワークあふれる社会を創る」ことを目指している。社長は、熊谷先生と対談し当事者研究についてもこのように語っている。

熊谷先生:研究者的な視点を自分の人生に当てはめて、「自分はいったい、何に困っているのか?」と、目を逸らしていた核心に迫っていくのが当事者研究です。

青野社長 :「当事者研究」で自分たちをより深く知ることが、自分の個性を発揮できる組織をつくる一歩なのかもしれませんね。

サイボウズ式 「誰のせいにもしない」文化が、組織の多様化と問題解決を進めていく──熊谷晋一郎×青野慶久

多様な個性を尊重する文化につながる当事者研究。新たなチームで自分事、私たち事として取り組んでいく。

追記:
▼当事者研究をご一緒する友人のえっちゃんもnoteをスタート。

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