見出し画像

7/2① 続・結婚式

※写真が多いため、2回に分けます。

朝日に照らされる集落

午前6時半、目が覚める。
家の近くを流れている小川で顔を洗って、歯を磨く。
小川の水は手がかじかむほどに冷たく、眠気が一気に吹き飛ぶ。

すでにトゥントゥプの妻が起きていて、チャイを出してくれる。
居間の暖炉には火が灯され、部屋全体がぽかぽかと暖かかった。

燃料は牛糞を固めたもの

ぼくは昨日のエピソードを思い出しながら、居間でnoteの下書きを書いた。

8時頃ドルマが起きてきて、ぼくと一緒にチャイを飲む。
「昨日は何時に帰ってきたの?」と尋ねると、「2時過ぎ」と彼女は眠そうな声で答えた。

昨夜ぼくは22時には眠りに就いてしまったので、家の主人であるトゥントゥプには会えていなかった。
「お父さんは帰ってきた?」
「ええ、帰ってきたわ。でも、私が帰った後も式場に残ってたから、まだまだ起きてこないんじゃない」
それから、彼女はぼくのためにチャパティを焼いてくれた。

小川で洗濯をしたりして時間を潰していると、10時頃ついにトゥントゥプが起きてきた。
彼を探し始めてからちょうど丸一日、感動の再会である。

ザンスカールの民家
ヤク肉のスープ

寝ぼけ眼のトゥントゥプは「昨日(今日?)は午前3時まで式場にいたよ」と言った。
彼と今後の予定について話し合う。
ぼくは、マナリという街に移動したかった。
トゥントゥプは言う。
「実は結婚式のセレモニーは今日もあるんだ。だから、この家にもう1泊していきなさい。明日マナリに行けるように、シェアタクシーを手配しておくよ」

小麦粉を加工した粉(左)。手で握って固めて食べる。

儀式は昼過ぎから始まるようだったが、すでに人は集まっているということで、11時頃にトゥントゥプと一緒に家を出る。

白馬

トゥントゥプは用事があると言って、どこかに行ってしまった。
一人で新婦の家の裏に張ってあるテントに行くと、すでにたくさんの人が集まっていた。
いつから飲んでいるのか、午前中なのにすでに出来上がっているおじいさんもいる。

ぼくは、昨日の式典で少しだけ話をしたおじいさんの姿を見つけると、隣に座った。
すかさず目の前に小さなカップが差し出され、チャーンが注がれる。
モモやら、パンやら、果物やらが提供され、すぐにお腹いっぱいになる。

チャーンの入った桶を持ったおばさんが現れ、ぼくのカップを覗いて「あら、全然減ってないじゃないの」と言う。
すると、周りのおじさんたちが「飲め飲め」と催促する。
最高にいい気持ちだ。

じょうろ、風呂桶、空き容器。
チャーンは適当な容器で注がれる。

なかなか式が始まらないので、周りを観察してみた。

まず、まだ学校に上がらないくらいの子どもたちが走り回っている。
石や木の枝を投げたり、水遊びをしたり、テントの幔幕に突進したりとやりたい放題だが、周りの大人は見向きもしない。
全くインドらしくて良い。

小中学生くらいの子どもの姿は一人も見えない。
もしかしたら、村外の学校に通って、寮に入っているのかもしれない。

20代前後の若者は意外と多かった。
テントの中心からちょっと離れたところに固まって座り、おじさんやおばさんが騒ぐのを遠巻きに眺めている。
みんな垢抜けた格好をしているので、普段はレーやマナリ、スリナガルなどの高校や大学に通っているのだろう。
ドルマと同じように、今は長期休暇の帰省中なのかもしれない。

お酒や料理を提供して、甲斐甲斐しく働くのは20〜40代くらいの年齢層だ。
ちょうど、遊び回っている子どもたちの親くらいの年代である。

そして初老くらいの年齢になると、テントの下で飲み食いして無責任に騒ぐ。
何だか、日本の町内会などのイベントと同じような構図である。

おじさん「君はいつ、この村に来たのかね」
ぼく「昨日来ました」
おじさん「パドゥムの方から?マナリの方から?」
ぼく「パドゥムの方、プルニから車で来ました」
おじさん「ああ、そう。わしも昨日、プルニから来たんだよ」
ぼく「一緒ですね。あなたも車で?」
おじさん「いや、わしは馬で来た」
ぼく「馬⁉︎ああ、あの白い馬ですか」
おじさん「そうそう」(白馬の写真の伏線回収)

そんな感じで、周りの様子を観察したり、おじさんたちと話をしたり、チャーンを飲んだりしていると、間も無く儀式が始まりそうな雰囲気になった。

(つづく)

この記事が参加している募集

#旅のフォトアルバム

38,329件

#結婚式の思い出

1,431件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?