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人生に寄り添い続ける映画たち

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やさしい女

アップリンク吉祥寺にて、ロベール・ブレッソン監督の「やさしい女」を鑑賞。主演はドミニク・サンダ。ブレッソン作品の主演が有名女優だなんて珍しいなと思ったのだけど、これがドミニク・サンダのデビュー作のようだ。 強引な男に迫られて結婚するも、女は一貫して無表情。そして地味な服装はいつも一緒。わずかに心が開かれたと思った瞬間、彼女の服装に変化が訪れたのだけれどちょっとしたいざこざを契機にまた服装は元に戻り、最後までその衣装が変わることはなかった。 男の一方的な価値観に女性が閉じ込

40代最後の日の過ごし方

先日50歳になったんですよ。で、40代最後の日をどう過ごすべきかということをずっと考えていたわけですよ。 20代最後の日は、当時好きだった子をバーに呼び出して告白してフラれた。あの日のことはハッキリ覚えている。でも30代最後の日のことは覚えていない。どうせならメモリアルなことをしたいと思いつつ、これといった名案が思い浮かばなかった。 とりあえず映画館で映画でも観ておくか。 思いついたことと言えばそれくらいだった。吉祥寺アップリンクの会員になっているので、そこのプログラム

サスペリア

小学生くらいの頃にテレビで放映されているのを観て、まるでトラウマのように記憶に刻み込まれたおそるべき映画。久しぶりにまた鑑賞してみた。 ところで少し前のことだけど、近年制作されたリメイクがアマゾンプライムのラインナップに追加されていたのでちらっと見てみたのだが、数分で見るのをやめたということがあった。「ティルダ・スウィントン出演」とか「音楽はトム・ヨーク」とか、結構期待値は高かったのだけど、見る価値がないということが分かったから最後まで見なかった。時間の無駄であると判断した

グランブルー

デジタルリストアバージョンなるものを Amazon Prime で鑑賞。この映画はたぶん「グレートブルー」の時に一回、「グランブルー」の時に一回、それぞれ観たと思うけど、いずれも20年以上前のこと。 実在の人物、ジャック・マイヨールがモデルになっているけれど、実像とは大きく異なるようだ。あくまでモチーフに過ぎない。ジャック・マイヨール本人に興味があるなら、「地球交響曲(ガイアシンフォニー)第二番」という映画の方がお勧めだ。残念ながら今のところオンラインで鑑賞する方法は無さそ

ニキータ

「サブウェイ」を観たので流れで「ニキータ」も鑑賞。「サブウェイ」と同様、20年以上ぶり2回目の鑑賞だ。ジャン・ユーグ・アングラードとジャン・レノがどんな役柄で出ていたのかも覚えていないほどに記憶は薄れていた。ジャンヌ・モローが出演していたことはそもそも今回見るまで知らなかった。 今改めて見直してみると、この時点で既に「レオン」の表現を彷彿とさせる場面が多い。ジャン・レノは同じ殺し屋でもだいぶ役どころが変わっていて、風貌は割とまんまなのに「レオン」の後に見ると違和感を感じるほ

ソーセージパーティー

自称映画好きの20代女子に勧められた映画「ソーセージパーティー」を観てみた。お下劣な映画ですよ、ということは聞いていたけれど、想像を遥かに凌駕する破廉恥ぶりに、うら若い女子に勧められたこともあって終始ニヤニヤしながら観入ってしまった。我ながら最低である。 僕は余り「おすすめ」と言われた映画を見ることに積極的ではない。ということは過去の投稿でも触れている。でもこの映画は観てもいいかなと思った。何しろ馬鹿っぽそうだったから。後でガチめの感想を述べないといけない雰囲気が皆無だった

サブウェイ

2021年、初鑑賞の映画はリュック・ベッソンの「サブウェイ」。Amazon Prime にて。二度目の鑑賞だけど、前回観たのは20年以上も前だからほぼ初見。とはいえ、観た後の「面白かったなあ」という満足感だけは明確に覚えていて、何がそんなに面白かったのか改めて確かめたくなった。 「サブウェイ」「ニキータ」「グランブルー」と来て、「レオン」に至るあの時代。僕にとって映画が一番面白かった時代だ。本当に映画ライフが充実していたなあ。僕の感性が鈍ってしまったのか、映画がつまらなくな

「髪結いの亭主」 変態はつらいよ

この映画、もう30年前の映画になるのか。学生時代に見て強い印象を残し、それからルコントの映画は欠かさず見るようになった。「ハリウッド以外の映画」の原体験を構成する、僕にとっては主要な作品の一つだ。映写も何回もした。 前回の「幸福」に続いて、似たようなラストを迎える作品が続いたけど狙ってチョイスしたわけではない。シネフィル WOWOW プラスが無料体験期間中なので、ここぞとばかりに映画を見ている。 久しぶりに見て改めてルコント作品は親しみやすいということを感じた。難しいこと

「幸福」 男と女の春夏秋冬

アニェス・ヴァルダの「幸福」を鑑賞。前観たのはいつだろう。10年前?20年前?いつだったかは思い出せないけど、主人公の男に対して全く感情移入できなかったということだけは覚えている。 写真は 2015 年 8 月に北海道で撮影したひまわり畑。この映画の冒頭に映し出されるひまわりをイメージして現像し直してみた。 改めて観てみると色々な発見のある映画だった。 どの場面も画面構成が洒落ていて、色使いがとても鮮やかで印象的だ。いかにもヌーヴェルヴァーグの映画という雰囲気。そしてそ

「ラ・ジュテ」 静止画と音声だけで構成された世界

初めて観たのは、今はもうない渋谷の映画館。シネセゾン渋谷だった。たぶん10年近く前のこと。仕事終わりで足を運んだレートショー。 この映画が静止画だけで構成されていることは有名だったから、もちろんそれを知った上で観に行った。仕事の後だし、そんないかにも冗長な映画を寝ないで最後まで観ることができるか不安だったけど、30分足らずの長さだし大丈夫だろうと高を括っていた。 そして見事に爆睡したのだった。断片的な映像の記憶しかない。ストーリーなんてあったのかどうかすら怪しい。その程度

太陽がいっぱい

この映画は図書館のレーザーディスクで観た。取り立てて観たいと思っていた映画ではないけど、若い頃のアラン・ドロンがどんな感じなのか、それは観ておきたいと思っていた。「若者のすべて」を観る前だったし。 正直に言ってしまえば、映画自体は良いとも悪いとも思ってない。「まあこんなものか」という程度の温度感だったのだけど、ラストシーンのインパクトが突き抜けていた。そしてそのシーンで流れるニーノ・ロータの音楽。 映画そのものは取り立てて好きでも嫌いでもないけど、特定のシーンや特定の音楽

エレニの旅

[2016年1月10日の日記] 戦争で失われた命の数だけ、こんなに悲しい物語があるのだ、ということを教えてくれる映画にまた出会えた。 この「エレニの旅」、難解なものが多いアンゲロプロス作品の中では突出して「わかりやすい」という印象。 けれど勿論「わかりやすい」はイコール「薄っぺらい」ということではない。 主人公エレニの言葉から、今の時代を生きる僕たちにとても大きな問いかけを投げかけられたような気がした。 わたしたちは、いつも、どこでも、難民なんです。 難民の問題は

エレニの帰郷

[2014年1月25日の日記] ※前回の記事からぴったり2年後 2014年、初鑑賞の映画はアンゲロプロス作品、しかも劇場ロードショー。東映がアンゲロプロス作品を配給するとは時代が変わったものだなあ。でも配給協力としてフランス映画社が名を連ねていて、どこかほっとした。 テオ・アンゲロプロスの命日は、Wikipedia で見ると1月24日となっているけれど、これは現地時間の日付。亡くなられた時刻が不明なので断言はできないけど、ヨーロッパとの時差を考えると、今日がアンゲロプロス

霧の中の風景

[2012年1月25日の日記] テオ・アンゲロプロスが交通事故で死んだというニュースを目にして言葉を失った。頭が真っ白になった。余りにも突然過ぎて、どうやってこの現実を受け入れればよいのかわからず途方に暮れた。 本当は今日、渋谷ユーロスペースのレイトショー「国境の町」を観に行こうと思っていたのだけど、とてもアンゲロプロス以外の作品を観る気にはなれず、早々と仕事を切り上げて帰宅し、所蔵DVDの中から「霧の中の風景」を鑑賞することにした。 久しぶりに観た「霧の中の風景」につ