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エレニの旅

[2016年1月10日の日記]

戦争で失われた命の数だけ、こんなに悲しい物語があるのだ、ということを教えてくれる映画にまた出会えた。

この「エレニの旅」、難解なものが多いアンゲロプロス作品の中では突出して「わかりやすい」という印象。

けれど勿論「わかりやすい」はイコール「薄っぺらい」ということではない。

主人公エレニの言葉から、今の時代を生きる僕たちにとても大きな問いかけを投げかけられたような気がした。

わたしたちは、いつも、どこでも、難民なんです。

難民の問題はいつも「受け入れる側」の問題としてしか語られない。

「受け入れられる側」の視点から物語を紡ぐことのできた偉大な巨匠の不在が、僕の心に改めて大きな影を落としている。

アンゲロプロスの新作をもう観ることはできない。でもこれからも何度となく繰り返しアンゲロプロスの映画を観るのだろう。

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