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しまんトロッコに乗って

間が空いてしまったが、四国読み鉄旅の続きを。

宇和島から高知方面に向かって観光トロッコ列車『しまんトロッコ』で向かう。

後ろに連結されている、国鉄時代の貨車トラ45000形を改造したトロッコ車両。山吹色が綺麗!

予土線では宇和島駅から終点の窪川駅目指すが、トロッコ区間は途中の江川崎駅〜土佐大正駅の1時間弱。
それ以外の区間は普通の車両に乗り、トロッコ区間がやってきたら後ろのトロッコ車両に移動する。

なので、トロッコ分の座席指定券を買えば18きっぷでも楽しみる、めちゃお得な観光列車なのである。

フォントがかわいい

お盆期間ということもあり、車掌さんが車内アナウンスで景色や沿線スポットの見どころをご案内してくれる。

この日は、今日初めてアナウンス係を務めるという若い男性の乗務員さん。
超絶緊張した声色で「少々無理をして頑張ろうと思います!」と意気込みを語り、車内が拍手で包まれつつ出発進行。

この予土線沿線、わりと険しい山道を走るのでとにかく揺れる。そしてガッタンゴットン、音がすごい。
普段は運転士をしているというアナウンス係の若者が、いかに勾配を登るのが大変かという苦労話などを熱を込めて話してくれた。が、それすら車両の音で掻き消されていた。

各駅近隣の情報をお伝えしてくれるのだが、山間を進むにつれ、本当にのどかな集落しかない、つまり説明すべきものが何もないところでは
「まもなく、進行方向左手に、一瞬ではありますが、ヤギが一匹見えてまいります!」
と教えてくれたのが1番おもしろかった。
この地で頑張る若者の奮闘に、ほっこりさせられた。
ちなみにヤギは見つけられなかった。

しばらくすると、車窓からはあまりにも美しい四万十川と山々と、澄み渡る空が見えてくる。

さすが清流、列車からでも川底が見える

そしていよいよトロッコへ。
「この先のトロッコ区間では車体の揺れと風が凄まじく、会話もままならない状態となります」という注意を受け、そんなに!?と思いながらワクワク乗り込む。

うむうむ。おっしゃる通り。
たしかに本来は人を乗せるためのものではないため、ガッタンゴットン、ガッタンゴットン、すごい振動が直接おしりに伝わる。

先日、日本一乗り心地が悪いと名高い(なんとタモリさんも乗りに来た!)須磨浦山上遊園のカーレーターに乗ったが、それにも匹敵する乗り心地の悪さだった。(褒めてる!褒めてる!)

川面に映る緑がきれい
こんな景色がずっと続く
鉄橋や沈下橋もたくさん見ることができる

そして何といっても風である。
風が気持ちいい。帽子なんて被ってられないほどの強風だが、とてつもない清涼感だ。

旅中に読んでいた本に、こんな一節があった。

あー、ほんとによかった。自分は風が好きで、ほんとによかった。夜風を浴びるとすっきり気が晴れるから、ほんとによかった。地獄には風が吹かないっていうけど、じゃあここは地獄じゃないらしいから、これまたほんとによかった。

ようこそ、ヒュナム洞書店へ_p.190

列車の振動、音、風、川の流れ、受け取るすべてから生きている心地を味わえる、そんな鉄道旅だった。
そしてなんと!土佐大正駅で憧れのホビートレインにも遭遇できた。

この顔!

ふたたび普通車両に移り、窪川駅に到着。
窪川からすぐの乗り換えで高知に向かいつつ、佐川駅で途中下車。
朝ドラ『らんまん』ウォッチャーだった私、植物学者の牧野博士のお家に胸躍る。

スエちゃんじゃあ
おやつの緑茶クリームぜんざい、うまあ

そんなこんなでぶらり途中下車も楽しみ、高知にて宿泊。
次の日は朝から自由民権記念館を見学(板垣退助以上に植木枝盛がフューチャーされていて胸熱だった!)、バスで高松までショートカットし、そこからまた18きっぷで神戸に帰った。

今回持参した『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』もちょうど読み終え、充実の読み鉄旅となった。(我ながら抜群の選書であった)

鉄分補給完了。
次の旅に出る日まで、こつこつと日常をやり過ごそう。

今回の旅路

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