きよぼえ

日常を旅する独身ミドサー社会福祉士。 大阪生まれ、大阪育ち、兵庫の海沿い在住。 津村記…

きよぼえ

日常を旅する独身ミドサー社会福祉士。 大阪生まれ、大阪育ち、兵庫の海沿い在住。 津村記久子さんと瀬戸内海と淡路島とドキュメント72時間が大好きな33歳です。 日々のくらしや本、旅、美術、音楽、食べ物のことについて綴ります。

マガジン

  • 日々のこと

    食べること、思うこと、散歩すること、取るに足りない些末な日常の記録

  • 旅のこと

    電車に乗って、船に乗って、まちあるき。 人が暮らしているところで旅人になろう。 何かが起こるかもしれないし、何も起こらないかもしれない、そんな旅の思い出。

  • 本のこと

    津村記久子さんの本多め

  • 島のこと

    複雑に入り組んだ路地、青くて静かな海。「何もない」が「ある」。島を愛するアイランダーの島旅

最近の記事

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お名前ひらがな組合

8月に、甥っ子が生まれた。 先日ようやく名前が決まったとこのとで、実家から連絡があった。 命名「佑(ゆう)」とのこと。 この字面を見て真っ先に思い浮かんだのが、大きくなった甥っ子が電話口の相手に 「あ、えっと、にんべんに右です!」 などと言っている姿だ。 彼が成長した未来の社会では、さらにデジタル化が進み、もはやそんなことを説明しなくちゃいけないシチュエーションなんてほぼ存在しないだろう。 だけど呑気な叔母ちゃんは、そんな取り留めもない日常の一コマが、佑の未来にあれば

    • まずは返却棚をみてみよう

      図書館に行ったら、まずはどこに向かうだろうか。 私は返却棚だ。 借りていた本をカウンターでピッとしてもらった後に本を置きに行くあの棚。 返却時は当たり前だが、返却する本がない時にも、私はまず、返却棚へ行く。 返却棚を見ると、このまちの中にはこんな小説を読んでいた人がいるんだなぁ、こんな資格取得を目指している人がいるんだなぁと、顔も知らない同じまちの頭の中を垣間見るような、知的な温度を感じることができるような、そんな気がしてなんだか楽しい。 そのラインナップからいろいろと想

      • しまんトロッコに乗って

        間が空いてしまったが、四国読み鉄旅の続きを。 宇和島から高知方面に向かって観光トロッコ列車『しまんトロッコ』で向かう。 予土線では宇和島駅から終点の窪川駅目指すが、トロッコ区間は途中の江川崎駅〜土佐大正駅の1時間弱。 それ以外の区間は普通の車両に乗り、トロッコ区間がやってきたら後ろのトロッコ車両に移動する。 なので、トロッコ分の座席指定券を買えば18きっぷでも楽しみる、めちゃお得な観光列車なのである。 お盆期間ということもあり、車掌さんが車内アナウンスで景色や沿線スポ

        • 炊飯器でチーズケーキをつくっている日

          二度寝で見た夢は、脈絡のない夢だった。 今朝は6:20に目覚めて、今日は仕事の日じゃないんだったと気付いてまた目を閉じた。 それから45分程度の二度寝の最中に見た夢は、自動販売機でお金を入れて、何を飲みたかったのかは不明だが、出てきた缶アイスカフェラテを見て、甘ったるいの。これじゃねぇ…って思った夢だった。 書き出しの一文だけ芥川賞候補作風に無駄に意味ありげな感じで始めてみたが、特に示唆的でもなんでもない夢から醒めた土曜の朝である。 今日は夜の野球観戦(@テレビ)まで

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        お名前ひらがな組合

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          真夏の読み鉄②松山〜宇和島|再訪・双海のおばあちゃんち 

          読み鉄旅のつづき。  9:52 松山を出発 2日目は、宇和島を目指す。 今回はお天気があまりにも良いこともあり、内陸部を走る内子線経路でなく、海岸線を走る「愛ある伊予灘線」を選択。日本屈指の美しい車窓風景が視界の端に映る読書は至高の時間である。 この路線は普通列車の本数も少なく難易度が高いので、そのまま乗りっぱなしで直行し、早めに到着して宇和島どっぷり満喫プランを予定していた。 だが、下灘駅の1駅手前、列車すれ違い待ち停車中の伊予上灘駅で、私の心にある異変が。 降り

          真夏の読み鉄②松山〜宇和島|再訪・双海のおばあちゃんち 

          真夏の読み鉄①神戸〜松山|疲れたら、愛媛。

          乗り鉄、撮り鉄、いろいろあれど 我が鉄道の旅は「読み鉄」なり。 読み鉄旅というのは、過去の記事にも書いたが、主に本を読むことを目的に電車に乗って旅をすることだ。(※個人的定義です) 今年もまた、本を携えて旅に出る。 今回は、私の定番読み鉄コースの四国旅。 お供の本は、ファン・ボルム著/牧野美加訳『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』 読み鉄旅を企み始めた時に、宿を予約するより先に本屋へ行った。 特に目星を付けていたわけではないので、本屋に入って最初に見つけた1番分厚い小説を買お

          真夏の読み鉄①神戸〜松山|疲れたら、愛媛。

          長い長い港から|町田洋『船場センタービルの漫画』

          私の心の中のポケットみたいな場所で、ずっと生きている漫画がある。 web漫画サイト「トーチ」に掲載されている船場センタービルの漫画だ。 私はこの漫画が大好きだ。 しんどい時期に救われた、という大袈裟なものではないが、初めて読んだ時から、心の温度を取り戻すカイロのような存在になった。 ビルは、何も語らない。 ビルの中には、さまざまな人の営みがある。 建物としての寡黙さと、人々の息遣いの温度と、流れてきた時間が矛盾することなくこの静謐な漫画の中にひとつの世界として拡がって

          長い長い港から|町田洋『船場センタービルの漫画』

          くるりのこと|つらいことばかり、のその先で

          30歳を過ぎた頃から、より一層くるりの音楽が心に沁みるようになった。 その理由はこの歌詞に表れていると思っていて それなりにいろんなことがあった30年の、その先の人生で聴くくるりの音楽は、大変味わい深いのである。 昨年行ったライブのMCで「かっこいい曲もかっこよくない曲もやります」と岸田さんが言っていたが、かっこよくなさを惜しみなく見せてくれる、それがくるりだ。かっこいい。 彼らの音楽性や楽曲の素晴らしさについてはいちいち私みたいな者が言及するまでもないので、超・個人的

          くるりのこと|つらいことばかり、のその先で

          ドキュメント72時間出張の旅

          NHKで毎週金曜10時より放送中の『ドキュメント72時間』のやや強火ウォッチャーであるため、隙あらば72時間ロケ地に行ってみたくなる。 今月はここ2週間の間に愛知、静岡、東京、滋賀、埼玉、千葉と出張の連続で、もはや住所不定な働き方をしていることもあり、全国各地の72時間のロケ地(聖地)に訪れている。 それゆけチャンス到来!とばかりに仕事の合間に突撃した場所もあれば、たまたま通りかかった場所もある。 滋賀・草津 巨大パーキングエリア(2018) 滋賀の大学での仕事に向か

          ドキュメント72時間出張の旅

          雑居ビルのスーパーヒーロー

          私の職場は、大阪の大きな雑居ビルに入る事務所だ。 この雑居ビルというのが、地下階には趣ある飲食店街や怪しげなマッサージ屋、2-3階は主にクリニック、それより上はオフィスフロア、最上階には喫煙所、なぜか屋上に稲荷神社(おいなりさん)がある、古くバカでかい正真正銘の雑多なビルである。 ここで働いていると、自分の職場以外のさまざまな「リアルな仕事人」たちとすれ違うことができる。 薄暗い雑居ビルのオフィスフロアというのは「はたらく大人のスキマの時間」の解像度がやたらと高い場所だと

          雑居ビルのスーパーヒーロー

          できない!を楽しむ八重山旅

          年がら年中ぬるっと繁忙期っぽい会社で働いている私だが、2-3月の大大大繁忙期を抜けたこの時期は、次なる大大大繁忙期との隙間時間で、比較的ゆるやかに(当社比)過ごせる時期なのである。 ということで、この期間、八重山諸島(沖縄本島のさらに南の石垣島あたりの島々)を旅することが恒例行事となっている。 と言っても、自分の性分的に、完全なる大連休はなんだかリズムが狂いそうなので、ワーケーションという名目で、平日の午前中だけ仕事をすることにしている。 例年のひとり旅では八重山諸島で

          できない!を楽しむ八重山旅

          こんなはずではなかった今と私と|山本文緒『自転しながら公転する』

          30代に突入して久しいが、最近よく思うことがある。 それは「自分はもう、どうしようもなく”こっち側”にいる」ということだ。 こっち側てどっち側やねん、という感じだが、それはひとまず「社会の側」「世の中の側」とでも表現しておく。 社会に出て間もなしの頃は、思い通りにいかないことや気に入らないこと、うまくいかないことに遭遇するたび「組織がだめだから」「世の中が悪い」「育った環境のせい」と、何かと曖昧な対象(自分の外側にある”社会”的なもの)に文句を垂れていた。 前提として、

          こんなはずではなかった今と私と|山本文緒『自転しながら公転する』

          不完全図書館往来記

          図書館で借りた本をほとんど読まない状態で返却した。 約半年前に引っ越してきてから、2週間に1度、近所の図書館に足を運んでいる。 このペースは単純に図書館の貸出期間が2週間だからなのだが、隔週の土日に返却をし、また新たな本を借りるというサイクルをなんとなく繰り返すようになった。 前に住んでいた街には駅前の大きなビルに図書館が入っていて、通勤や買い物の「ついで」に寄れていたので、わりとカジュアルに貸借が可能だったが、今住んでいる街の図書館は自宅から徒歩25分、自転車で10分程

          不完全図書館往来記

          √400年ぶりの再会|小川洋子『博士の愛した数式』

          はじめて読んだ小説は何だろうか。 私にとってのそれは、中学生の時に出会った小川洋子さんの『博士の愛した数式』だ。 人生ではじめて小説の単行本を最初から最後まで読破した感想は「優しくて、きれいなお話だな」だった。物語の内容以上に、私の心は「読み切ったぞ」という達成感で満たされ、ちょっと大人になれた気がした。 決して登場人物の本名が出てこないことや、「家政婦」という珍しい職業、「ミートローフ」「母屋」といった新鮮な響きの言葉の連続に、なんだか普段の生活とは地続きじゃない不思

          √400年ぶりの再会|小川洋子『博士の愛した数式』

          心にいつも定食を。'23

          青春18きっぷの残り分を使い、1人でなんとなく四国に行って帰ってくるというのが年始の暇な日の恒例になっている。 今も1年前と全く同じシチュエーションで快速マリンライナーの車内にいる。 昨年は帰りの道中にて、1年のうちに食べた定食をひたすら晒すという記事を書いたことを思い出した。 あれから1年、引き続き私は定食を食べていた。 物価高騰により、駅ビルの雑多な中華屋で750円だった定食は830円になり、たまの贅沢で食べる950円の洋食ランチは1100円になった。 酒を飲まな

          心にいつも定食を。'23

          まっすぐじゃなくてすみません(熟成発酵エッセイ)

          noteの下書きには、書き始めたものの収拾がつかなくなって放置している文章が結構あるのだが、ちょうど1年前に書いた文章が出てきた。 毎年11月後半に差し掛かった頃から年末にかけてメンタルを含む体調が底を迎えるのだが、昨年も例に漏れることなく、きっちりと私は落ち込んでいた。 小さなことにクヨクヨしている状況を書き連ねており、一周回って清々しいほど根暗な文章であるが、まさかの展開で過去の自分にしてやられたので、日の目を浴びせてみようと思う。 ----------------

          まっすぐじゃなくてすみません(熟成発酵エッセイ)