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僕の仕事は、未来を創ることです

「仕事」について考えるシリーズ。学生時代に読みふけった、こんな本の一節を思い出しますね。
“結果としての仕事に働き方の内実が含まれるのなら、「働き方」が変わることから、世界が変わる可能性もあるのではないか。この世界は一人一人の小さな「仕事」の累積なのだから、世界が変わる方法はどこかよそにではなく、じつは一人一人の手元にある。”(西村佳哲『自分の仕事をつくる』晶文社2003)
そんな「仕事の累積」に思いを馳せています。

社会は「仕事のつながり」で動いている

社会はたくさんの人の「仕事」で成り立っています。今日の晩御飯、「おでん」に目を向けると。おでんの具は、大根・玉子・牛すじ・こんにゃく・もち巾着などが入っていました。具材はスーパーで妻が買ってきてくれたものがほとんどです。大根を例にとると、スーパーに大根を並べる人がいます。その前に、大根を箱に詰める人がいます。もっと前には、大根を収穫し、育てる人がいます。そうしてスーパーへ?いやいや、スーパーに来るためには、トラックで誰かが運んでくれているし、トラックにはガソリンが入っているから、ガソリンを入れる人がいるし、なんならトラックを販売した人や、部品を制作した人がいるし、その部品を組み立てた人がいるし…と大根一つとっても、途方もない人の「仕事」が関わっています。

そんな仕事の集積を、僕らは「うまい!うまい!」と言って毎日口にしています。服もそうだし、今記事を書いているパソコンもそう。道路を作ってくれた人がいるし、道路を敷くために山を切り拓いてくれた人がいる。家を建ててくれた人がいて、土地を整備してくれた人がいて……と、生活しているだけで、たくさんの「仕事」を受け取っているんですよね。

つまり、僕らは生きているだけでたくさんの「インプット」をもらっています。大根を体に入れることは、まさに「インプット」ですよね。そして、消化されて栄養素となり、体に吸収され、エネルギーになる。そしてエネルギーを元に僕らは活動、仕事という形で「アウトプット」する。そうすると、自分の仕事は誰かの「インプット」になる……という構図が見えてきます。たくさんの人の仕事を受け取っていると同時に、たくさんの人に与えているんですよね。小学校の社会科でも学ぶけれど、世界はたくさんの人々の仕事のつながりで成り立っているんです。

本当に、僕らの仕事は「世界を変える」のか

学生時代からの最大の関心ごとは「仕事で世界を変えられるか」なんです。就活をしていたころは、「“社会を変える”を仕事にする」なんて息巻いてました。当時、社会起業家という言葉が流行っていましたね。流されやすいタイプ(笑)本当に、自分の仕事は世界を変えるほどの影響力があるんでしょうか?

僕の本業は小学校教員です。基本的には、目の前の子ども達教える仕事です。僕は、「協働する楽しさ」を、教科などを通して教えています。子ども達は、家族と一緒に過ごしているので、子ども達に伝わったことは、家族にも伝わっていきます。家族に伝わったことは、家族が関わる人、例えば保護者の職場の人にも伝わっていくし、友人や親戚にも伝わっていく。友人や親戚の先にはまた家族や友人がいて……と想像してみてください。小学校の小さなクラスの一人の人間が伝えたことが、僕の見えない遥か先まで伝わっていくんですよね。

この影響は、現在だけにとどまりません。心に残ったことは、子ども達の未来にも伝わります。まだ見ぬ未来に、子ども達が関わっていく人たちに、僕が伝えたことが伝わります。この正月に、10年前の教え子から「成人式を迎えました。」という年賀状が届きましたが、この10年の間にどれだけの人と関わってきたのでしょうか。10年前の僕の伝えた言葉が、思いが、教え子たちに届いて、社会に出ていこうとしている。未熟だったあの頃の自分の思いが伝わって、社会を動かす原動力の一つになっていると思うと、胸にこみ上げてくるものがあります。
 
あの時、僕が担任をしていなかったら、教え子たちは今の人生を歩んでいないかもしれない。もちろん、僕が担任をせずに、違う未来になっていても幸せだったかもしれない。いい影響ばかりを与えているとは言えないけれど。僕のあの時の仕事があったから、今という当時の未来が生まれてきている。つまり、自分の仕事が世界を変えて、今ができているんだよなあ。

僕の仕事は、未来を創ること

10年前の教え子たちは、初めて担任をした子達でした。右も左も分からず、思いだけで走り抜けた一年間。「一年間の非日常をつくる」をテーマに爆走。教室に畳を置き、毎日のように歌って遊んで。教室中に飾りがあって、ハムスターも飼っていたな。用務員さんと一緒に本棚を作ったし、学年主任に文句も言った。校長先生と大喧嘩したし、教頭先生には目を付けられた(笑)学級会の授業を見せたら、お局さんに「こんなの学級会と認めない」とはっきり言われたこともあったっけ。

そんな子達と話していたある日の昼休み。目の前の10歳の子が、急に大人に見えた時があったんです。その瞬間、「あ、僕は今、未来を育てているんだ」という思いが湧いてきたことを思い出します。僕の仕事は、未来を創ること。仕事を通して、自分の思いを表現するアーティストでもあります。この記事も、誰かの未来に繋がっていく。そんな思いの積み重ねを受け取りながら、僕は未来を創っていきます。

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