忍術とプロダクトデザイン 後編 -モノに縛られないというデザイン思考-

本内容は、「忍術とプロダクトデザイン -忍者の道具のデザインポイント- 前編」の続きです。

「忍術とプロダクトデザイン 前編 -忍者の道具のデザインポイント-」
https://note.mu/kiyo_design/n/n334d05c5c10c

パーソナライズされた忍器

忍器はおのおのの忍者が思考を巡らし、自分に合ったものをパーソナライズしてデザインし、自分で製造します。

他人と自分とは、体格や考え方の違いがあるので、それに適応したものをデザインするのです。自分の体に合うように大きさを決めて、自分が任務をこなす上で必要であるものを作ります。

現代のプロダクトのほとんどは量産品で、多くの人の体に合うように基準が決められ、デザインされています。

量産によって簡単にモノが入手できるようにはなりましたが、必ずしもそれが使いやすいとは限りません。

忍者は、自分が道具を使う上で使いやすいようデザインして、製造までも行うのです。

忍器にとらわれない重要性

ここまで、忍者がプロダクトデザインを行うときのポイントについて書いていきましたが、忍術的究極のプロダクトデザインの思考は「道具を持たない」ことです。

道具はあくまで手段であって目的ではありません。城に忍び込み、情報を収集して帰るという目的を達成できれば、道具なんてものはいらないのです。

これは、忍者の仕事のみならず、私たちが生活する上でさまざまななプロダクトを使用するときも同じことが言えるはずです。

忍者の仕事の場合は特にですが、いざ必要なときに使いたい道具が必ず側にあるとは限らないし、任務決行が明日だったりして十分に用意できない場合があったり、また道具を持ち歩いてたら職質を受けた時に誤魔化せないし、なによりも道具を持っていたら動きづらかったりします。

道具がなくても目的を達成できるように、普段から体を鍛えたり考えを巡らしたりし、その上で忍者の発明品「忍器」のデザインを行います。

<忍術的究極のプロダクトデザインの思考>
①道具無しでもクリアできないかプランを考える。
②もっと楽にクリアできる方法はないか考え、道具をデザインする。

道具を用意はしますが、使うかどうかはそのときの状況によります。重要なのは、道具をデザインして持っていくことではなく、道具を使ってクリアする場合と、道具なしでクリアする場合とで、複数の選択肢を持つことです。

目的を達成するための手段が多ければ多いほど、急に状況が変わった時に臨機応変に対処できるようになり成果を上げやすくなるのです。

忍術的プロダクトデザインのポイントまとめ

忍者が忍器を作る上でのポイントをおさらいしましょう。ポイントは4つです。

・1つの道具で多用途に使える
・環境や状況にあった道具を考える
・使う人に合った道具を作る
・道具がなくても目的をクリアする方法を考える

現代の生活で必要とされる全てのプロダクトに、必ずしももこのポイントが適応するとは限りませんが、プロダクトデザインをする上で究極的に考えるべきポイントは網羅されていると思います。

生死と隣り合わせで、極限状態で仕事を行ってきた忍者だからこそ道具のデザインの真髄に気づき、450年経った今でも応用できるポイントが多々あると考えられます。

現在僕は、忍術研究を進める中で当時の忍者の考え方や道具に触れて、実際に同じ思考状況に立ち、物作りやデザインを行い、実経験することで現代における忍術とは何かを考えを巡らしています。

この記事を読んだ方で、忍術研究をしない人であっても、DIY程度で物作りに興味がある人、デザインを仕事にしている人など、なんとなくこういう視点もあるんだなと思ってもらえたら嬉しいです。

前編はこちら→「忍術とプロダクトデザイン 前編 -忍者の道具のデザインポイント-」https://note.mu/kiyo_design/n/n334d05c5c10c

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