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『黒船』 サディスティック・ミカ・バンド

第2回目は、加藤和彦が、当時彼の奥さんであった京都精華大学出身のヴォーカリスト・ミカと、1971年に結成したサディスティック・ミカ・バンドのセカンドアルバム『黒船』です。

ビートルズやピンク・フロイドを手掛け、当時世界的に有名であったクリス・トーマスのプロデュースにより、1974年に発表されました。メンバーは加藤とミカの他に、後にYMOを結成するドラムの高橋幸宏、その後日本にフュージョンブームを巻き起こしたギターの高中正義、尾崎亜美のご主人でありプロデューサーとしても活躍しているベースの小原礼、やはりプロデューサーとしても活躍しているキーボードの今井裕という超豪華な面々です。

クリス・トーマスの意向が色濃く反映されているのでしょう。サイケデリックでプログレッシブな、少し憂いを含んだブリティッシュ・サウンドが随所にちりばめられています。74年に日本で誕生したとは思えないほどのクオリティの高い作品であり、後の日本のロック・ポップスに大きな影響を与えました。

加藤とミカの離婚により、1975年にバンドは解散してしまいますが、1989年にヴォーカルに桐島かれんを迎えて再結成しアルバム『天晴』を発表、2006年には木村カエラを迎えて再々結成しアルバム『NARKISSOS』を発表します。

どちらのアルバムも『黒船』に勝るとも劣らない傑作ですが、やはりその時代における衝撃度を考えると、『黒船』に比べるべくもありません。『黒船』の中でミカが歌っている「タイムマシンにおねがい」を『NARKISSOS』の中で木村カエラも歌っているのですが、技術的には木村カエラの方が明らかに上手いにも関わらず、ミカのエキセントリックな歌声の方が耳にこびりついて離れません。聞き比べていただければ面白いと思います。

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