さようなら、バナナ|短編小説
黄色い願望は僕の心を乱暴に鷲掴み、握り潰そうとする。
「どうして来るの!」
姉ちゃんは路地裏に出て来るなり、真紅のくちびるを歪ませて僕に投げつけるように呟いた。その煌びやかな手にはハイブランドの財布と携帯とバナナのイラストが描かれたチープなポーチを持っていて、そのアンバランスさが妙に姉ちゃんらしくて良い。僕は姉ちゃんから目を逸らしながら、
「だって…姉ちゃんがお金置き忘れてるから…。」
と、低温で頼りなく呟くと、
「え?あ!そうだった!?ごめんごめん、コレ今日のご飯