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【連載】独裁者の統治する海辺の町にて

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過疎の漁師町がある政治結社組織に統治された。否応なく組織に組み込まれた中橋康雄は少女凛子と組んで親友の神学者登坂士郎を殺害する。組織の統治支配の恐怖のなかで康雄と凛子はどうなるの…
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2023年7月の記事一覧

独裁者の統治する海辺の町にて(18)

独裁者の統治する海辺の町にて(18)

(18)

いまさらだが、おれは、子供の時、親父が母親に、源治のやつが電力のお偉いさんと隠れて会っていると、喋っていたことを思い出した。あれがこれだったとはな。源治というのは、当時、保守派の県会議員で、親父の中学時代の同級生だった。こいつの名字は多良崎で、現在の町長だ。あの時からもう既に原発建設の話がひそかにもちあがっていたというわけだ。あれは、何年前だ?おれは、たしか小学4年だった。ということは

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