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「数学ガールの秘密ノート 学ぶための対話」を読んでの感想

「数学ガール」シリーズはもともと好きで、いくつか読んできましたが、今回の本は今までとは別の意味で考えさせられることが多い内容でした。

本書の内容は、数学が苦手な中学生「ノナ」が、主人公の「僕」に数学を教えてもらうというストーリーです。

ノナはとにかく分からないことが多く、数学が得意な人からすればすごく簡単なことでも、全然理解することができません。
そこでノナと、ノナの友達のユーリと、主人公の僕、3人が様々な対話を通じて試行錯誤しながら数学を理解するまでの手助けをしていくお話です。

先に言っておくと、この本の中で「数学を理解できない人が理解できるようになるための明確な答え」はありません。
理解するとはどういうことなのか。
その本質を探るための3人の対話が、数学を題材として繰り広げられています。

明確な答えがないからこそ、考えるきっかけを与えられる本です。

本書は実は発売前からかなり気になっていて、発売されたら絶対に読もうと思っていた本です。
というのも、私自身、人に教えることを仕事にしていて、教えたことが理解ができない人に対してどのようなアプローチをすればよいか、日ごろから考えているからです。

だから、本音を言えば、「どうすれば理解させることができるのか」という問いに対しての明確な答えがあるのなら、それが知りたいです。
でも、きっとその問いに対する唯一の答えはなくて、相手と真摯に向き合って対話することが一番大事なことなんだと思います。
本書での対話を通じて、より強く対話の重要性を認識しました。

なぜ対話が大事なのか

教えることにおいてなぜ対話が重要なのか。
それは、理解するのは本人しかできないことだからです。

人に教える時は、分かりやすく教えることはできますが、理解させることや、気づかせることはできません。
「理解する」「気づく」というのは、本人にしかできないことで、私の仕事は、あくまでも理解することや気づくことへのきっかけを与えることだけです。

分かりやすく説明しても理解できない人が理解できるようになるためには、様々なきっかけを与えてあげる必要があります。
そのために必要なのが対話です。

私の経験上、数学やプログラミングなどの学問に対する理解力が低い人は、学ぶことに対する価値観や、仕事に対する価値観、人との接し方に対する価値観など、単に学問に対する理解力ではない、本質的な部分で視野が狭くなってしまっている人が多いような気がしています。

そういう人に対しては、いくら分かりやすく説明してもなかなか理解してもらえません。でも、学ぶことに対する考え方が変わったり、仕事に対する考え方が変わることで、数学が楽しく感じられたり、仕事で扱う技術を学ぶことに対する意識が変わって理解への扉が開くこともあります。

その扉を本人が開いてくれるかどうかは、その扉の外にいる人間がきっかけをつくる必要があって、そのきっかけの一つとなるのが対話です。

本書は、直線と数式を題材として、「理解するためにはどうすればよいか」「理解するとはどういうことか」そして「学ぶとは」「教えるとは」その本質をめぐる物語です。

人に何かを教える仕事をしている人は、大事なことを考えるきっかけになる本ではないでしょうか。



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南の方でプログラミングの講師してます。 たまにエンジニアもしてます。 技術ブログ⇒https://case10.hateblo.jp/

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