鱚沢

あなたの文章は人の心を動かすね、といわれてうれしかった。それを意識して書いているわけで…

鱚沢

あなたの文章は人の心を動かすね、といわれてうれしかった。それを意識して書いているわけではない、けれど、自分が書いたもので他人がなにかを感じてくれるのなら、悪くないよね。

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    実らなかった美しくて汚い恋の物語

最近の記事

皮膚筋炎のこと (3)

月曜日、上司に連絡を入れて休みを取り、朝一番で病院へ向かった。 総合病院にかかるなんて初めてのことだったし、緊張で顔面蒼白だった。 受付で初診の手続きをして、まずは皮膚科に行くように指示された。 皮膚科では手指と、顔面の写真を撮られた。 (まぶたに紅斑が出る症状もあるそう。わたしは出ていなかった) 本命は膠原病科だった。 診察室では根掘り葉掘り訊かれた。 痛みの発生した時期、痛みが広がった順番、生活への影響、 仕事の内容、海外出張の有無、時期だったので周囲にインフルエンザ

    • 新聞のこと

      わたしが小学生(4年生くらいだったか)のとき、母が訊いた、 「将来なにになりたいの?」 わたしは、 「新聞を読む主婦」 と答えたそうだ。(わたし自身は覚えていない) その後、わたしは大学で「新聞」と名の付く専攻に所属した。 いま、主婦ではないが、会社で業界紙を読むのは好きである。 家で新聞は取っていないが、たまに実家を訪れたときには新聞を開く。 言霊ってある気がする。

      • しもじょうたーくんのこと

        3歳のときに通っていた幼稚園に、イヤなヤツがいた。 しもじょうたーくん。タカシなのかタイチなのかタダヒロなのか知らんが、たーくんである。 わたしは毎朝、登園バスを待つ間、「たーくんがいじめるから行きたくない!」と泣いていたらしい。 (バスが来たら泣き止んで乗り込んだのだそうだ。なんと健気なことよ) たーくんがわたしになにをしたかというと、 高いところ(運動場のマイク台みたいなところだったか)から飛び降りろ、と命令してきたのだ。 もしかしたら、そんなに高さはなかったのかもしれ

        • 皮膚筋炎のこと (2)

          肩やら腕やら足やらが痛いので、まずは整形外科だろうか。 近所のクリニックを訪れ、肩やら腕やら足やらが痛いと訴え、心当たりがないと話した。 そのとき一番痛かった左の肩から上腕のレントゲンを撮ってもらったが、異常はない。 医師が「皮膚はどうですか?」と意外なことを訊いてきた。 皮膚? 整形外科で? と思いつつ、 「強いていうなら、手が荒れています」 と例のガサガサになった手の甲を見せた。 医師はこの時点で「皮膚筋炎という病気の可能性がある」と口にし、血液検査で確かめることになっ

        皮膚筋炎のこと (3)

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        記事

          皮膚筋炎のこと (1)

          2018年1月1日、夫とスタバで向かい合ってコーヒーを飲みながら、 「腕が痛いんだよね」 と漏らした。 「年末の“ぎっくり背中”の影響かな」 年末に張り切って大掃除をしていたとき、 正確には、掃除が一段落してダイニングチェアで休憩していたとき、 急に首の直下がビキッッッと引き攣り、激痛が走った。 背中の痛みは数日引きずり、なるべく刺激を与えないようにそろそろと生活をしていた。 その甲斐あって、なんとか大晦日までには痛みも引いたが、今度は肩や腕が痛みだしたのだ。 考えてみれ

          皮膚筋炎のこと (1)

          父のこと

          父はハンカチを持ち歩いていた。タオルハンカチではなく、薄い布のハンカチ。洗濯後に母がアイロンをかけていた。たまにわたしもお手伝いでアイロンをかけた覚えがある。色は紺などのダークな色が多かったように記憶している。 小さいころ、わたしが泣くと父はズボンのポケットからそのハンカチを差し出してくれた。 あのへたへたのハンカチがなつかしい。

          At the end of 2023

          華やかな他人と比べて、 わたしにはあれがない、これもない、 指を折るたびにどんより惨めな気持ちになっていたけれど、 足りない持ち物で生きていたあの子は、果たして惨めだったか? 断じて否、 懸命に生きる彼は格好良くて、愛しかった。 がんばって生きよう、来年も。

          At the end of 2023

          安心して行きなさい - at the age of 40 -

          かつて鹿島アントラーズで10番を背負った 本山雅志さん。 高校時代、彼のことが大好きでした。 そんな本山さんの引退試合「モトフェス」が先日カシマスタジアムで行われまして、 高校生のときには願えども叶わなかったカシマ訪問、 39歳最後の日に日帰り弾丸でキメてやりました。 (6時半出発、23時半帰宅。マジで1日がかり) ゆるーい試合の中でも、やっぱり小野ちゃんは光るものがある。 やなーぎさーわ♪のコールがなつかしい! 名良橋さんの右サイド オーバーラップ、51歳!? すげぇな。

          安心して行きなさい - at the age of 40 -

          Run for Pleasure 20xx - 2023 style -

          散々な2ヶ月だった。 次から次へと悪いことがやってきた。こんなに続く?っていうくらい。 さすが大殺界。戦慄した。 大慌てで厄神さんへ伺い、人生で初めて賽銭箱にお札を入れて祈ったくらいだ。 8月上旬、旅行先に台風が直撃してホテルにカンヅメ食らったのを皮切りに、 その旅行中にインフルエンザ発症(カンヅメだったのにどこで拾ったんだ)、 試験に落ちて凹む暇もなく、愛猫の疾患が判明し、猫とのまったりライフは一変した。 家で点滴したり(猫に自分で針を刺すんだよ!!)、ごはんを変えたり、

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          Spring discovery

          春の服がない、 と毎年言いながら、クローゼットは満杯なのであった。 うまい着回しを考えなければ。そういえば最近そういう情報源がないな。 以前は美容院で渡される雑誌のページを繰りながら、 あ、これ、いいな、とか頭にメモしてたものだけど、 最近、美容院ではタブレットを渡されて、たくさんの雑誌データから自分の読みたいものを選べるものだから、 つい『ねこのきもち』とかガジェット系の雑誌をタップしてしまって、 ファッション誌なんてえらばないもんな。 ひとびとのテレビの視聴時間が減って

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          STAYing GREEN

          いくつになっても未熟なんだろうな、 と最近おもうのです。 過去の自分の文章(ブログ)を読んでいると、とんがってたなぁというか、 なんか妙に自信満々で、今読むと、青かったなぁと苦笑い。 たとえば仕事の面で言えば、 10年前のわたしは、自分のできる範囲でだけ仕事をして、それでデキる気分になってた。 いまのわたしから見れば、ぜんぜんだよ、もっと広い範囲で、大きな仕事をしていくんだよ、とおもう。 10年後のわたしも、いまのわたしを、青いとおもうんだろうな。 でもそれなら、成長し

          STAYing GREEN

          夢の いてまえドッグ

          京セラドーム名物の「いてまえドッグ」。なかなかにデカイものだから、たべる勇気がなくて、じゃあ、オリックスがホームでクライマックスシリーズ (CS) を戦うことになったら(つまりリーグ2位以上になったら)食べようと決めて数年。 万年Bクラス、去年は最下位、アハハ、2位なんて夢の夢だわ、食べられる日が来るといいねえ、なんて苦笑していたものです。 中嶋体制になって今年、やっと”まともに”(選手起用や戦法の面で)戦えるチームになったけど、それでも出足は悪く、まだまだ時間はかかるん

          夢の いてまえドッグ

          絶対に守りたいもののための10万円分の嘘

          iCloudから発掘された不穏なメモについて: 絶妙なところで途切れているのが憎い。 2017年4月9日、なにがあったんだろうとおもい、何がしかの記録がないかと漁ってみたら、 家計簿(その日の行動やイベントを思い出すのに結構役に立つ)から、 お洋服を10万円ほどお買い上げしていたことが判明。 あたらしいお洋服をえらびながら、誰宛の嘘について考えていたのでしょうね。 ”絶対に守りたいもの”のためなら、 嘘の鎧なんてかなぐり捨てる のか、 何の躊躇いもなく嘘を吐いてやる の

          絶対に守りたいもののための10万円分の嘘

          A fact

          あなたの文章は人の心を動かすね、 といってくれたひとは、かつて、 『百聞は一見にしかず』とはよく言ったものやで。 どんなに語っても、実際見たものには敵わない。 それならば、見たものから考えたことを書いた方がいいんでないの? とアドバイスしてくれたひとと、 おなじだったりします、じつは。 (『World Wide World』2020/5/4 記事 再掲)

          マンゴーとコーヒー

          ハワイのマンゴーがおいしかった話。 カウアイ島のツアーで、ガイドさんが連れていってくれたのは 彼のお友達の家の庭。 マンゴーの木には果実がいっぱい。 さらに、木の下には熟して落ちた実が、文字どおり腐るほど転がってた。 マンゴー食べ放題。しかもとてもあまくておいしい。 あの宮崎の高級マンゴー「太陽のタマゴ」と変わらない味。 方や手間ひまかけて育てられた高級品、 方やまったく手のかかっていない無料の産物。 ガイドさん曰く、「日本は手をかけすぎ」。 放っておいてもこんなにおい

          マンゴーとコーヒー

          Dilemma 2019

          なにを、だれを、優先するべきなのか、 台風の被害で苦しんでいる国内の人たちなのか、 イエメンで傷ついている子どもたちなのか、 ガンが発覚した父親なのか、 野良でがんばっている ねこちゃんなのか、 仮に白黒ねこちゃんをお迎えできたとしても、 そうすると痩せっぽちの黒白ちゃんは見捨てることになって、 あの生傷の絶えない茶トラくんも引き取れない、 全員を救うことができない、 そんなふうにねこをたいせつにおもいながら、 今日も牛や豚をたべている、 そんな矛盾に、ジレンマに、あ

          Dilemma 2019