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Run for Pleasure 20xx - 2023 style -

散々な2ヶ月だった。
次から次へと悪いことがやってきた。こんなに続く?っていうくらい。
さすが大殺界。戦慄した。
大慌てで厄神さんへ伺い、人生で初めて賽銭箱にお札を入れて祈ったくらいだ。

8月上旬、旅行先に台風が直撃してホテルにカンヅメ食らったのを皮切りに、
その旅行中にインフルエンザ発症(カンヅメだったのにどこで拾ったんだ)、
試験に落ちて凹む暇もなく、愛猫の疾患が判明し、猫とのまったりライフは一変した。
家で点滴したり(猫に自分で針を刺すんだよ!!)、ごはんを変えたり、
そのごはんを猫が食べてくれないし、薬もうまく飲ませられないし、
あれこれ試行錯誤しても なかなかうまくいかなくて途方に暮れた。

細々とした不幸も追い打ちをかける。
大事なピアスをなくす(数年前にもなくして作り直したのに!)、
九谷焼のお茶碗を落として欠けさせる(金継ぎしよう…)、
夫婦で意見が違ってイライラする、ケンカに発展する(こんな大変なときにゴルフ行き過ぎでしょう!!!!)、
あーあっちもこっちもうまくいかない!!!!!!!

贔屓のチームは優勝したけれど(AREじゃないほう、3連覇のほう)、
それを楽しむ、喜ぶこともままならないくらい、
嫌なことや つらいことが重なりすぎた。

いちばん堪えたのは、もう1匹の愛猫が亡くなったこと。
ガリガリに痩せて、ぐったりしているのを見かねて夫が連れてきた野良の子。
リンパ腫、腎不全が発覚、抗がん剤治療にトライしたけれど、
病気の進行が予想以上に早く、残念ながら もうできる治療がない、
自宅で苦しみを取り除くケアに切り換えてくださいと言われ、
家に帰ってきた子は、そのわずか30分後に旅立っていった……。

うちに迎えて2週間しか経っていなかった。
その間、点滴されたり、強制的に食べされられたり、
そのたびに、ほとんど残っていなかっただろう体力を振り絞って抵抗していた、それくらいイヤだったのだろう。
果たして、保護して加療したのは正解だったのだろうか? 苦しい時間を引き延ばしただけだったんじゃないか?
最後まで慣れた外で過ごさせてあげたほうがよかったんじゃないか?

正解が判らない。
どうすればよかったのか、どうするのが正しいのか。
それがとても苦しい。

止まれないのも苦しい。
先の猫を見送って、いつまでも泣いていられない、生きている子がいるのだから、と決意を新たにしたところで、
そのもう1匹の血液検査の数値が急激に悪化、また別の病変が疑われ、
点滴の頻度は毎日となり、またごはんを変えて、薬を飲ませて、
それでも改善されないようなら大きな病院へ行って手術、
という現実を突きつけられた。

ちょっと、ちょっと、待ってほしい、追いつかない、一旦、立ち止まって考えさせてほしい、準備させてほしい。そんなすぐに判断できない。
それに、こちとら、猫のことだけじゃない、仕事も家事もやらなきゃいけない。
皮膚科にも行かなきゃいけないし、マイナンバーカードも取りにいかなきゃいけない。
スイス出張の準備もしなきゃいけない。
だから、ちょっと、待って、時間ください、

というわけにはいかない。
病は止まらない。世の中も待ってはくれない。
むりやりでも走って追いつかなければならない。
足はもつれそうだし、息も絶え絶えだ。

喜びがない〜・・・(©ちいかわ)
と言いながら、Pleasureに参戦した。
正直なところ、心身ともに疲弊していて、
しんどいなぁ、行くのやめようかなぁ…と思っていた。
行けば行ったでもちろん良かったけれど、
「帰ったら点滴しなきゃ、薬ものませなきゃ」という気がかりが頭を離れず、
申し訳ないながら、心をからっぽにすることができなかった。
ぐちゃぐちゃの心に、音楽が響かなかった。

でも、ライブの最後に思い知った。

怖いものはありますか 守るものはありますか

B'z「Pleasure 2023 ~人生の快楽~」

そう、守るものがある。だから、怖い。
この小さな子の命を守らなければならない。
通じない言葉を解釈しなければならない。
このかわいい子が、今ここからいなくなったら、なんて思うと恐ろしい。
自分の選択がこの子の未来を左右するのだと思うと泣きそう。

止まれないこの世界で 胸を張って生きるしかない

B'z「Pleasure 2023 ~人生の快楽~」

そう、止まれない。ほんとうに、止まれない。
立ち止まって考える暇なんてない。走りながら判断するしかない。
正解は判らない。たとえ結果が出た後でも判らないかもしれない。
それでも選ばなければならない。

猫に手術を受けてもらった。
彼女がそれを望んでいたかはわからない。
お腹に傷を作り、鼻には管を通され、ひとりで入院、つらいだろう。
幸い、手術は成功し、数値は落ち着いてきた。
この選択が正しかったかどうかは判らない。
ただ、少なくとも、わたしがこの世でいちばん彼女のことを思って判断した。
そのことには胸を張れる。

I run for Pleasure 20xx.

守りたいもののために、走り続ける。

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