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Weekends #3『最高の一皿』

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塩、胡椒、醤油、味醂、酒…この世界には数え切れないほどの調味料がある。更には空腹という見えない「最高の調味料」もある。 もう少し考えてみよう。 形のない調味料は空腹だけだろうか。…
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2020年9月の記事一覧

最悪な災厄の日に食べた最高の一皿

最悪な災厄の日に食べた最高の一皿

 あの夜。混乱と不安と恐怖に震えた、あの冷たい夜。停電下の真っ暗な駐車場で見上げた満天の星を、私は一生忘れない。

11日、金曜日。 当時、茨城県内のとある高校で英語教師として働いていた私は、その日に限って昼食を食べそこねていた。珍しく手作り弁当を持参していたのに、トラブルが続出し、電話対応に追われ、気づいたら14時台になっていたのだ。お腹が空いた……でも昼休みはとっくに終わってるし、いつまた電話

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重湯と味噌汁の上澄みと卵豆腐と

重湯と味噌汁の上澄みと卵豆腐と

 

 七日ぶりのご飯は、重湯と味噌汁の上澄みと卵豆腐だった。お椀の蓋を開けた時、誰かの食べ残した食器が間違えて配膳されたのかと一瞬疑った。そう思ってしまうほど少量のお粥と味噌汁がよそられていた。



 原因が分からないまま、布団の上で呍々と唸っていた。思えば朝から気分が優れておらず、下腹部には今まで感じたことのない違和感があった。時間が経つにつれその存在感は増してゆき、どうにも無視できなくな

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病室で食べた茶蛋

病室で食べた茶蛋

氷の滑り台での母との別れ 僕は中国の東北地方に生まれた。日本の中国地方ではない。中華人民共和国だ。冬がとにかく寒い僕の故郷も、世界各地の雪国の例にもれず、毎年冬になると市内の広場で雪祭りが開かれていた。

 三歳の冬、僕は母と二人で雪祭りに出かけた。父は家にお金を入れないアル中DV野郎で、僕の記憶もないうちに両親は離婚していた。

 雪祭りの会場で、僕と母は氷で出来た滑り台で遊ぶことにした。頂上に

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Colore del sole

Colore del sole

「最高に美味いの作りますよ!任せてください!」
若き料理人の卵は不敵に笑った。

今から15年ほど前のことだ。
行きつけのダイニングバーがあった。些細な偶然から通い始めて、気づけば毎週末必ずそこに行くようになり、気の良いスタッフや居合わせた常連客と共に、朝まで飲み明かした。

僕より2,3歳下の雇われ店長と、学生を中心とした数名のアルバイトスタッフで回していた(オーナーは営業に口を出さない)。バイ

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