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週刊!転地療養ノススメ:赤穂編

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色々あった「ホーム」レス作業療法士のただのたわごとのような私小説です.生きていることにどんずまりな人にちょっとでも役に立てれば幸いです.もちろん全てがフィクションです。転地療養、…
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#猫

行き場をなくした/赤穂編のはじまりに

行き場をなくした/赤穂編のはじまりに

(今日はちょっとしんどいところも含みますので読まれてしんどくなりそうな方は無理して読まないでくださいね。)

ある夜のこと、アパートの一室で妻を目の前にして、私は身を丸め床に落ちていた。もう10年以上一緒にいる妻を目の前にして自分も世界もばらばらになってしまったようだった。
そのとき私が着ていたTシャツは無惨なまでに引き裂かれていた。
これは比喩ではない。本当にほんとうに身も心もずたずただった。こ

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夜は猫とnight walker

夜は猫とnight walker

赤穂に初めて立ち寄ったのは、それこそ、どこか瀬戸内沿いの帰り道だった。理由はよく覚えていないけど、これも探し当てたのは妻だった。

確か、事前に見たのは野良猫がたくさんいそうとかそんな情報だった気がする。
元来、犬が大好きだったはずが、いつのまにか友達は猫だけになった妻と私の数少ない安らげる時間は夜の散歩だった。
京都は本当に人が多い。人にうんざりした時、サノスの指パッチンを夢想するのを禁じ得ない

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