【掌編小説】十二様
ひとつ。
「ねえ、十二様って知ってる?」
ふたつ。
「山の神様らしいんだけど」
みっつ。
「女神様で、一年に十二人の子どもを産むんだってさ」
よっつ。
「だから山の神様の祭りには十二個の餅を供えるらしいよ」
いつつ。
「それとさ」
むっつ。
「山に入るときは十二人にならないようにするんだって」
ななつ。
「山の神様が、自分の子どもと勘違いするかららしいよ」
やっつ。
「間違って連れていかれてしまうんだって」
ここのつ。
「連れていかれたらどうなるかって?」
とお。
「山の木にされちゃうんだよ。
……僕みたいにさ」
じゅういち。
…。
……。
………。
「どうやらきみが十二番目らしいよ」
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