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角@京都
2022年10月26日 16:56
旧友の越し方聞くや秋深しひろしは高校3年になると本格的に受験勉強を始めました。でも他に何もしなかった訳ではありません。男友達5人くらいで交換日記をやり始めました。男同士で交換日記かと気持ち悪く感じる人もいるかも知れませんが、日頃思っていることを書くだけ、それはそれで彼らにとっては受験勉強の息抜きになっていたのでした。その仲間の一人が茂でした。特に変わったところもなく、強いて言えば自分は大人だとカッ
2022年10月23日 17:04
昨日の続きです。まだ薄暗い中、ひろしは重いキスリングを背負ってなんとか駅までたどり着きました。まだサラリーマンの出勤前のせいか駅には人もまばらで、息を吐くとすぐに凍ってしまいそうな寒さです。新宿で仲間たちと合流するといよいよ出発です。中央本線で小淵沢駅まで行くとそこから北沢峠に近いところまでバスに乗りました。計画では北沢峠にベースキャンプを張り、2日目は甲斐駒ヶ岳に登り日帰りでキャンプに戻る。さ
2022年10月22日 16:57
春暁や揺れるリュックに憂う母ひろしは生物班に入ったものの、もともと生物には興味がないので小旅行以外は徐々にさぼり気味になっていました。やはり男友達とやれるものがいいなと思いながらも、殆どの運動部は皆入学時から練習しているので途中からではハンデが大きいなと入るのをためらっていました。そんなある日、ひろしと同じクラスの生徒がワンダーフォーゲル部に入っていることを知りました。これならハンデはないかも知
2022年10月21日 15:58
夕焼けのとうに闇なり吾子帰るなかなかショート・ショートのネタが出て来ません。というわけでもっと古い子供の時代の話を書いてみます。はっきり何年生とは覚えていないのですが、小学校の高学年だったと思います。同級生4人で東神奈川の駅前にあるアイススケートリンクに行った時のことです。それまでにも1〜2回は行ったことがありましたが、まだ棒立ちで足を前後に動かして滑っている、スピードを出す人が近づいて来る
2022年10月20日 16:59
薔薇一輪マツコはやはりデラックスひろしは見たかったフランス映画が新宿歌舞伎町の映画館で上映されているのを新聞広告で見つけるとその週末に一人で見に出かけました。大学生になっていたひろしは映画を見る時は基本一人で行くことに決めていました。誰かに気を使うことなく映画だけに集中出来るからです。映画を見たあと、そのまま下宿に戻るのも何となくもったいない気がして、しばらく新宿をぶらついていました。映画館を出
2022年10月19日 16:47
秋の山色を違えし分水嶺ひろしは高校に入ってしばらくしたある日、自分の教室に戻る途中、廊下で少し憂いを秘めた綺麗な女子生徒とすれ違いました。それがひろしにとって初めて恋に落ちた日だったのかも知れません。胸の高鳴りは今までに感じたことのないものでした。確かに中学の時、学級副委員の山科が気になってはいましたが、こんな気持になったことはありませんでした。なんクラスだろう?名前はなんていうんだろう?教室に
2022年10月18日 16:57
語らいし友との別れ赤き月ひろしが大学生活を始めてしばらく経った頃のことです。高校の同級生だった赤月君から会って話をしたいと連絡が来ました。高校時代、特に親しかったわけでもなく、ただ仲の良かった友達の友達でした。当時としては珍しかった高校浪人を経て入学した彼は一つ歳が上で、無口で皆に溶け込むことを拒否している感じでした。でもすらっとして知性的な顔付きの青年にひろしは何となく興味を持っていました。ただ
2022年10月17日 16:55
秋の蝶迷い飛び入る夜の街芳子はひろしの家の近くにある金物屋の娘でした。ひろしとは小中学校が一緒で見慣れ過ぎて何とも思わないのですが、学校では美人と言う評判で確かにひろしが見ても顔は整っていました。背も高く、すらっとしていますが、どこか人を寄せ付けない冷たさというか覚めた女の子でした。中学に通っていたある日のことです。芳子を気に入っていた直人はいつも彼女にちょっかいを出しては反撃をくらって喜ん