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勉強の苦手パターン③「覚えた」という感覚がどういうものなのか、自分でも分からない

(この記事は約5分で読めます)

パターン①、②とパターン③が同時に起こっていることが多いです。どういうことなのか分かりにくいと思いますので、例を挙げて説明します。
塾での漢字10問テストをイメージしてみてください。テスト終了後のやりとりです。

講師:漢字テストが不合格だった人は、練習後に同じ問題で再テストします。練習の回数は自由です。
覚えたよ!っていう人から私に声をかけてね、再テスト用紙を渡すから。

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(10分間くらい生徒が漢字を練習する)
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生徒A:先生、再テスト受けます。

講師: 覚えた?もう完璧?※1

生徒A:はい、覚えました!

→その結果、同じ問題なのに半分もできていない…

こんなパターンがよくありました。

同じ問題なのにどうしてできないのか?
普通はできるはずでしょ?
という大人目線の常識で、「子どもが真剣に勉強していないのだろう」と安易に片付けられてしまうことが多くあります。

しかしこの問題の本質は、真剣さや努力の量とは別のところにあります。

▼このパターンで漢字を間違えてしまう理由

この問題を解くカギは、講師と生徒との会話のやり取りの中にあります。
講師の※1の質問に対し、生徒は「覚えました」とはっきり答えています。つまり…

・生徒自身は「自分はいま、漢字を覚えている状態なんだ」と認識している(=子どもの認識

・でも、実際は覚えられていなかった(=子どもの実際の状態

そう。「子どもが感じている自分の状態」と「実際の自分」との間に、ズレがある状態なんです。

私たち大人にもそういうことはあります。
繁忙期に「まだまだやれるぞ!」と思っていたら急に体が動かなくなって寝込んでしまったり。
自分の意識と実際の状態とは、必ずしも一致しません。

▼パターン③の対処法

私たち大人はそんな時、テクニックを使ってそのズレのリスクから身を守ります
必ず6時間以上は寝るようにするとか、調子が良くてもスケジュールの2割は空けておくとか。

主観に頼らず数字など目に見えるものでルール化してしまうと、自分の状態をうまく管理できることがあります。
子どもの場合も同じです。

具体的には、子どもに自分で確認テストをさせると、この問題を解決できることが多いです。
漢字の練習をした後に本当に覚えられているのか、子ども自身の手と目で確認させます。

確認テストをすれば自分が本当に覚えていた漢字には〇がつき、本当は覚えていなかった漢字には×がつきます。
頭の中のことは自分で正確に分からなくても、結果を目で見れば理解できます。

実は、子どもはこの過程を経て「『覚えた』という状態はこんな感覚なんだ!」と身体的に理解していきます。

おそらく運動神経と同じで、幼い頃から頭の中の認識と体の実際の状態が一致する子どもばかりではないんです。

私は中学生のとき陸上部だったのですが、コーチによく「お前は走る時に腰の位置が低いからタイムが伸びないんだ。もっと腰を高くして走れ」と言われました。
それ以来、自分としては腰を高くして走ったつもり…だったのですが、それからも同じ注意を何度も受けました(^^;)
こういうのはおそらく、自分の走る姿を録画して、自分の目で見ないと今の状態を知覚できないのですよね。

自分の状態を見える化することは、なにかを学ぶことにおいて最も重要な要素の一つです。

▼やってしまいがちな間違い指導

・やる気がない、集中してないと大人が勝手に判断してしまうことは…(以下略)

▼類似ケース

・パターン③はすべての科目について起こり得る問題で、解決法もすべて同じです。
自分で確認テストをして、自分で〇つけをし、間違えた理由を考える習慣づけをすることで解決できます。

▼③のまとめ/学習塾での解決の可否

テストで間違えてしまう理由がパターン③単独なのであれば(つまりパターン①課題の目的を理解しており、パターン②覚え方も正しいのであれば)学習スキルだけの問題なので、解決しやすいです。

とはいえ自分で確認テストをすることは初めは面倒くさいと感じ、反発することも多いです。
確実に正しいやり方で実施できているかを講師が確認し、結果が出た時は思いきり褒めてあげることが大切です。
学習塾で解決が可能です。

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